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Rocal Design Life -農村デザインの日常- Archive

sensitivity by the window

cottの窓辺
いつもキレイに整理されてるとは言いにくい、どちらかといえば資料が積み上がっていることが多いcottですが、いつもきれいに置いておく場所にひとつこだわりがあります。それは窓辺。

こだわりとはいえ、そこらに生えている植物を適当にスポンジに刺して、置いておくだけ。しかもスポンジも隠さずそのままで、透明ビニールに輪ゴムで留めただけというこだわりのなさですが。近くの自然にこちらからアクションを起こすことで、近くにある美しいものから美を見出せるように、とのことでいつの間にか習慣になりました。グリーンは空間的にも心理的にも内と外をつないでくれる、社会に開いた存在。人が社会を意識するにあたって最もプリミティブなとこにあるもの。それを意識することは社会との繋がりを持っているという自己確認であり世界への意思表示。

まちにも田舎にも東洋にも西洋にも、大統領にも田舎のタバコ屋のおばちゃんにも古本屋のおっちゃんにも学生の安アパートにも、人が日常を暮らす日々の中にはにはたくさんの美があります。身近な暮らしの中で、たくさん見逃していることに少しでも気付けますよう。

June Ambience

田んぼに水が張られて、夜にはかえるの大合唱が聞こえるようになってきた。

慣れない人にとっては結構うるさく、眠れない人もいるほどなのだが、
昔から聞いている私にとってはある種のホワイトノイズのようなもので、なんだか集中できる。
加えて梅雨で、昼も雨で客足が遠のき、雨音もTHEホワイトノイズ。

昼も夜もはかどる、そんな6月のはじまり。
そういえば、蛍も飛び始めてました。
雨蛙

May

マチオモイカレンダー
事務所に貼っているゆうちょ銀行のマチオモイカレンダー。
いつの間にか淡河町の出番も終わりました。
4月に採用されたこの写真はゴールデンウィーク期間中、集団営農の休憩のひとコマなのでした。

花
かえると気泡
GWの楽しみは、新しく届いたレンズで試し撮り。連休明けの提案終えたら、すぐそこの山に登ってマクロの世界の季節を切り取ろう。アートディレクターが教える、農村写真講座しますので、カメラ&山ボーイガールはお声掛け下さいませ。いつも見ている視点とは違う視点から見ること。普段何気なく見過ごしている物に、わざわざ立ち止まって焦点を当ててみること。そんなことを伝えられたら。自分にも。
GWに働くのはいいのだけれど、少しでも開放感を味わって仕事をしようとしたらツバメが事務所に入ってきてフンを落とすのだけは堪忍してもらいたいところ。

Floating Strawberries

いちご農園
大沢町のいちご。その様、五線譜の上を走る音符のごとし。
しかも超絶技巧。

interrogatives

隣町の大沢(おおぞう)町へ。大沢町は三田プレミアムアウトレットなど大型商業施設のすぐそばながら、驚く程の農村景観が広がる。
取材で話を聞けば聞くほど、皆さんの土地への信頼や愛情が伝わってきて、うちの町でもどんどん人に会って、聞いていかねば、と思ったのだった。たとえば自分の家族や恋人など、身近な関係ほど疑問詩をつけて改めて話すことが少ないでしょう。そして、いい記事にしなきゃ、とモチベーションをいただいた。企画から提案させて頂いた人柄を伝える記事で、本当にいい人なんだから、悪い人だと伝わってしまったら困るでしょう。こういう仕事こそ腕の見せどころ。地域の状況さらには文化圏が近いからこそ出来る、ネイティブな方言ユーザーならではの切り口で、Team cott、気合いを入れ直してその想いに答えます。短時間でとっておきの話を聞き出すには信頼関係を築くための材料があると強いのです。
事務所での制作時間が長かった3月。淡河町と同じような農村景観の中をのんびり歩きながらのひとときだったのですが、それにしても、気持ちのいい時間だった。
大沢町エコハイキング
大沢町 棚田のある風景

Spring Has Come

畦とおにぎり
ぽかぽか気持ちのいい日も多くなってきました。
そんなわけで事務所出てすぐそこにある畦に座って昼ご飯。
撮影が終わってから、ですけどね。
まちの奥様方が作られた雑穀入りおにぎりです。

ひきこもりがちな年度末の息抜き。
さ、後半戦も気合い入れてきましょう。
最新のデジタルツールや膨大な資料に囲まれていながらもすぐそこにある自然の心地よさ。
そういえばいつか友人がそんなことを言っていた。

ちいさな求心力

道の駅 淡河から徒歩15秒。
というか道の駅の建物の裏。
えべっさんがあります。
私自身ここの存在を知ったのはごく最近で、実は足を踏み入れたのはこれが初めて。
初めてながら10日はここで御神影を売る当番をさせてもらっていました。
道の駅淡河の裏のえべっさん
小さいえべっさんながら、町民の1/10近くが来たでしょうか。
(ど平日というのも相まってか、参拝者の年齢層は高く、
10〜30代の参拝者はおそらく1名。)
まだまだ根付く習慣。
悪いことが起きたら神頼み。いいことが起きたら神様のおかげ。
そういった原因を他に求める思考は個人的にはあまり好きではないが、
そういった習慣から起こる出来事はそこに住んでいる者にとって
意外におもしろかったりするので否定はしない。

参ったあとは、ぜんざいをすすり、火にあたりながら、生まれるささやかなコミュニティ。
生活に火があり、火の扱い方をよく知っているということ。

こういうちいさな求心力を持つ場所での定点観測もおもしろいなと思った。
剣道をしていた頃以来、15年ぶりぐらいの長時間の正座は辛かったが、
たくさんの方と新年の挨拶ができた。またやってみたい。

草の人


淡河町で活躍する相良育弥さん。カヤブキの魅力を語ります。

一級品を覗き見る

11/3,4と淡河町文化祭でした。

作品がずらりと並ぶコーナーでは手芸作品や花、書や陶芸、写真や絵画。はたまた家にあった刀や蔵から出てきた書物まで。たくさんのジャンルがずらっと並びます。
淡河町文化祭
その中でも今回気になった作品はこちら。
蓮
苔玉
婦人会の苔玉と蓮を使った生け花。日常をここで暮らしておられるだけあって、特に自然に対する態度や世界観は一級品で、所謂世間で言われるような美しさという視点でなく、そういったしつらえを毎回楽しみに見ている。展示空間をちゃんとディレクションすればもっとよく見えるのだろうが、ま、町内でほぼ完結するイベントでそこまでする必要もないか。

私も「マチオモイ帖」に出品した淡河帖のミニブックをすこし大判につくり直して出品していたので、どこに展示されているのかと思いきや、こんなところにキレイにレイアウトされていた。
淡河町文化祭にて淡河帖を展示
まるで共同作品のよう。きのこを育てるじいちゃん、2,3年前から気になっていたので光栄。
しかも一番目立つエリアに、ありがとうございました。

だけど「作品どっかいってもたわー。すまんのぅ。よう言うとってくれの」って…
フリーペーパーに間違えられたのか。。
ま、お持ちの方、いまのところ世界に2冊しかないので
たくさんの方に見せてあげて下さい。

というわけで一冊はどこかにいきましたが、もう一冊は豊助饅頭で有名な満月堂の休憩コーナーに展示させていただいてますので、機会あればぜひお手にとってご覧いただければ。

しゃしんやさん

最近地味に地元利用が増えてきたStudio cott。
今日は遅くまでウェディングの撮影でした。
地元淡河町カップルが結婚ということで嬉しい限り。

ヘルプさんに風船を飛ばしてもらいながら撮影してみたりと楽しくやってました。
ときにはこんな写真も。
風船とかぶった新郎

モデルさんの視点もなかなか新鮮です。
STUDIO cott
studio cott
そしてなんとまぁ楽しそうな私たち。
自分が働く姿を初めて見ましたが、
本当、楽しそうでなによりです。

Photo by花嫁
Photo by 花嫁


フィルムしか使えないというじいちゃんも、
家で眠っているデジカメを引っ張り出してきてデジカメ講習です。

近頃地元の仕事で写真屋さんとして駆り出されることが増えてきました。
町内には写真産業がないというのもあるでしょうが、
デザインやさんと言っても得体の知れないもので、
この場所にある言葉で語るのであれば、写真屋さんコピー屋さんなのでしょうね。

もてなし

古民家に事務所を移してから近所のおばあちゃんが福祉センターへお友達とカラオケ会にいく少し前にコピーをして欲しいと定期的に来てくれる。目が悪い友人も大きい字だったら見えるだろうという心遣いだ。

うちのレーザープリンタはグラフィックデザインに特化したのものでコピーはできないのだが、地域の方にはコンビニや福祉センターにあるようなコピー機と変わらない大きさなのでコピーができると勘違いされる。勘違いでも、コピーしたいという要望にやはり答えてあげたくて、スキャナーにオートシートフィーダーのオプションを追加した。A3でもA4でも原稿を重ねてセットすればがしゃがしゃ読み込んでくれる。といってもスキャナーもグラフィックデザイン用のもので、高精度だが読み込むスピードは速くない。

速くないのだが、その間ゆっくりお話ができると思えばそれも悪くない。というより最近はスキャニングとプリントよりも話の方が長くなるくらいだ。はじめよりもおばあちゃんの方からいろいろと話しかけてくれるようになったのが嬉しい。

ご希望のものが印刷され、「はい、ほな今日は6枚やから60円ね~。」と言うと、100円。「今日は24枚やから240円ね~。」と言うと500円。釣りは絶対に受け取ってくれず、さらに「うちにあったもんやさかいに」とビールやジュース、スナック菓子をくれたりする。

はじめはコピー代より数倍も高価なものをいただくのに尻込みしていたものの、そんな話を友人としていたら、「そういえばうちにも来客用のビールのストック絶対あるわ。」とのこと。よく考えればうちの家にもある。

ひとをもてなすためのストックがある。
それこそ田舎の良き心だなと思いほんわかする。

ただし、そのもてなしは無理しない程度で構わないので、相互にないといけません。もし困っておられたら助けてあげなきゃならないし、たまたま喜ばれそうなものを食べ切れないぐらい手に入ったら分ける。そうやって共有する。義務ではなく相互扶助。
(そういうもてなす心が下手な都市農村交流イベントなんかで発揮されて地元が疲れてしまう、というのもありがちな話です。たとえば移住してくるのであればそういう心を一番持っていてもらいたい。)
淡河町木津の風景
カラオケや畑のおかげか、とてもお元気な大正生まれのおばあちゃん。コピーしに来て下さったときに話すぐらいのものですが、また来て下さるのを楽しみにして、後ろ姿(上写真に小さく写っています)をこうやってまた見送るのです。時々元気かなと顔を思い浮かべながら。
たくさんの誰かのことをお元気かなあと思える毎日は豊かなことだと思っています。
神戸市北区山田町の風景

分断に抗う

明後日25日はお隣の三木市吉川町でまちづくり協議会さんの皆様の前で淡河町のこれまでの取り組みとこれからの取り組みについてお話させてもらいにいってきます。
ほんの54年前までこの現在の神戸市北区淡河町と三木市吉川町は同じ美嚢(みのう)郡だったのだ。町や村が合併し、三木市ができて美嚢郡が少しずつ消滅していき、最後に残った吉川町も2005年10月に三木市となり、美嚢郡はついに消滅してしまったのだ。
とはいえ同じ郡であったというだけあって同じ文化圏。生活上の慣習等、たくさんの文化的な共通点がある。文化的連続性がより大きな制度により分断されてしまうのに対してささやかに抗ってみようと思う。

そんなふうにまちづくりのことも多少やるにはやるのですが、基本的には田舎でも世界の先端を見つめながら、朝から晩までデザインのことを考えている所長のやっているデザイン事務所。
もちろんデザインにおいてコミュニケーションは常に意識すべきことなのですが、
この地域のコミュニティだとかはそれほど意識していません。もちろん人との関係性を円滑にするための手法は考えられますが、そういう論理を越えたコミュニティが農村には根付いていて、デザインというものではくくりきれるようなものでもないと感じています。

仕事や学業、結婚などで出て行き、地元の若者たちは減っていると言われるのですが、2、3日前に誘えば集まる若者、これだけいます。
暇なわけじゃなく、遠くにいてもわざわざ帰ってきてくれたり、
他の予定をキャンセルしてくれたり、つながりや信頼関係が強いのです。

というのがこの地域は心配いらないなという変な確信です。
私の世代の1学年が当時で43人。いまどきの中学生なんかは1学年20人程度。
それでもこれだけ集まって、この夏はたくさんのBBQをしました。
事務所でBBQ

いろんな人がやってくるのは。
こいつのせいでもなく、そういうこと。
cottの貼り紙

いや、ずらっと並ぶ酒瓶のせいか。
そういえば昔RPGゲームで酒場で情報をゲットして、モノガタリが進んでくというくだりを思い出した。古来から情報が集まるのはバーなんだな。プリミティブなコミュニケーションの場。BBQができない冬の間に工事をすすめるのだ。

※いつも開けているのはリビングダイニングですので、仕事情報流出等はご安心のほどを。

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