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2010-12

篠山探訪

遡ることふた月以上。

篠山で庭師をされているお方の古民家にお邪魔させていただきました。

篠山は全国にも誇れる左官技術で有名な土の文化があります。
荒壁仕上げの大きな壁面や、自由曲面の風呂など、そのお宅の空間にも感動したのですが、今日は別の話題を。
泥団子
さて、このピンクの玉なんですが通称、泥団子といって、土からできた光沢のある玉です。
一目したところちょっとしたガラス玉のようにも見まごうほどの重量感と艶。とても土からできたものだとは思えません。

左官を身近に感じてもらおうと、大津磨きという左官最高峰の伝統技術を応用して作られたもので、最近ではワークショップが各地で開催されています。

詳しい作り方などの説明は以下リンクにおまかせしておいて、
光る泥だんご(ハマニ株式会社)
ピカピカ土団子(スズキ土建)

篠山氏左官技術研究会の会長から素敵な話を伺えたので、その断片をいいトコどりでご紹介。

泥団子はしばらく経ったら艶が沈んでくる。
せやけど後からまた磨けば光るんや。
何でも一緒。家でも嫁はんでも一緒や。

手入れしたらなどんなええ家建てても嫁もろても意味あれへん。

そうやって愛着が湧いていく。その愛着がもっといい家にしていい心を育むのですね。

自分の国の文化財ぐらい自分の国の職人だけで守れへんでどうすんねん

本当にごもっとも。伊勢の式年遷宮の時期ですが、いくらグローバル化の時代だからといって日本の魂である建築を海外の職人に手伝ってもらうというのは少し寂しい気がしますね。

近頃は高気密高断熱はやっとるけどそんなもんあかん。

やっぱり空気は循環せな。
それにはやっぱり貼りもんやのうて生きた材料使わな。

高い金はろて病気になる家建ててどないすんねん。

まぁわしの家はクロスやってんけどな。笑
バブルの頃に建てたんやけどその頃はほんま忙しいて自分の家の壁なんかする間なんかあれへんかったわ。

耐震の問題かてそうや。
わしらいっつも設計士に言うんは5寸の柱してくれ言うねん。
かべも貫いれてしっかり竹小舞して塗ったらもつがな。
伝統的なもんはほんまにようできとるで。

建て売りの業者から左官壁にしてくれとか言うて電話かかってきてんけど初めに言うたるねん。
高いでってな。
左官がどんな手順でやるんかを知らへんからよう見たらほんまとんでもない見積もり出しよる。

建て売りとか基礎のモルタルぐらいしか左官の出番ないしな。
せやから今の職人で漆喰すら塗ったことないやつもぎょうさんおるでな。

職人は扱いにくいで。大概自分が正しい思て聞かへんからのう。

技術もないもんがいらんプライドなんかもたんでええねん。

専門職全般においてもそうですよね。
左官職人

他にも作業をしながら快く、しがない若い設計士の話に付き合って下さるどこまでもおおらかで謙虚な心意気に感動しました。ベテランになったときにそうあることができるって本当にすごいことだと思います。ライブ感を大切にされる姿はもはやアーティスト!

久住章氏などをゲストに迎え、定期的に伝統技術を伝えて行くための講習を開いておられるみたいなので、またタイミングが合えば参加させてもらおうと思います。

ちなみに、泥団子を磨く行程で使う瓶はなぜか小山ロールのプリンの瓶が一番良いそうです。

凸版印刷DIY

活版印刷事業を展開するデザイン仲間に触発されて、凸版印刷DIYに挑戦。

その活版印刷熱は私に一般的な手帳の4倍ほど値段がはるモレスキンの手帳の皮の表紙にロゴの空押しをしたいと思わせ、今年の手帳をチョイスさせたぐらいです。
とはいえいまのところ弊社にプレス機はないので、原始的に金槌で叩く叩く。線が太いから強めに叩く叩く叩く。
どうでしょう?
モレスキンの手帳に活版印刷
少し圧が偏って、真ん中の方のへこみが甘く、上の方がやけにへこんでしまいましたがそれもDIYならではの味。
空押しっていうと本当は熱も加えるのですが。
まず、圧力だけでどんなものだろうかと。
とりあえず、実験成功でしょうか。
奥に見えるのが亜鉛版を木に固定したオリジナルハンコ。
大量に刷るときは機械を貸してもらいにいこう。

さりげなく
母のやってる障害者就労支援事業などとからめてもおもしろいななんて思いつつ。
ちゃんとブランディングをして所謂福祉のイメージをCOOLに一新。
と思ってググってみたらありました。が、さみしいニュースでした。
年賀状印刷今年限り 三好の障害者施設、箸蔵山荘

ちなみに活版印刷自体は古い技術で、要はハンコの原理。いまは本来の純粋な意味での活版印刷の会社は日本にもうほとんどないという。詳しくはWikipediaさんにでも聞いて下さい。→活版印刷

他に樹脂版も頼んだのでそちらの実験も楽しみ。

年末年始の営業のお知らせ

平素は格別なるご高配を賜り厚く御礼申しあげます。
cottの年末年始の営業についてお知らせします。

2010年12月30日〜2011年1月3日まで休業させて頂きます。
12月29日18時以降のお問い合せにつきましては、1月4日(火)午前9時以降に対応させていただきます。

今年もあともう少しです。来年を迎える準備は万端でしょうか?
来年も、cottをどうぞよろしくお願い申し上げます。
模様

藁版築

普段の生活から神々の世界まで。

藁は、ちょっとした農作業から生活の場面、神事までと、ありとあらゆる面で活躍し、田んぼに還り肥えとなる。大きな循環の中にある変幻自在な素材だ。

草鞋(わらじ)、蓑(みの)、むしろ。先人たちの知恵は豊富で、どれほどの使い方が発見されてきたかをもし文献にできたのならば広辞苑の厚さを超えてもおかしくないだろう。
昔の人が発見し続けてきた変幻自在な藁の使い方。
いま、その文脈の延長線上に藁を考えよう。

そういうわけで倉庫から藁を引っ張り出し、草のプロフェッショナル、くさかんむりと共同で
新事務所建築にあたってのテクスチャーLABO。

軒先の茅の束がそろったテクスチャのおもしろさが発想の原点。
藁を積んで、鉄筋で押さえ、切断。
藁を積む
藁を切る
藁の版築サンプル
ヨシやススキと違って断面の手触りがやわらかくてとてもきもちいいです。

利点:
そこまで特殊な技術は使わずちょっとしたDIY能力があれば可能。
まっすぐ切り揃えなくてもいいだろう。
他にも焼いてみたり、表情で遊べそう。
ちょっとした棚を刺せたりも。
この地域で一番身近な藁で。
屋内外壁に使う場合、断熱性は良さそう。

欠点:
放水してみたところ、水はどうしても吸ってしまう。仕上げや使用箇所については要検討。
壁面垂直方向への耐久性。

検討点:
曲がらない鉄筋の径を検討。φ13以上は欲しい。
間柱的な部材の有無およびスパンについて検討。
下端の押さえが軟弱かもしれない。
厚みをもう少しつけてもいいのでは。
テクスチャのバリエーション検討。
押さえる番線のスパンももう少し短く@150程度など。細さも少し心もとないか。18から16に。

おまけ:
いろいろと刺さります。
傘を藁に刺す

はしる茅葺き

2009年11月に開催した淡河そら祭りのワンシーン。
日本初、いや、世界初、走る茅葺きです。
とっても素敵な風景を肴に、
茅葺き職人 相良育弥との数分のドライブをお楽しみ下さい。

補足ですが、4トントラックなので3.8m以内なら積載可能です。一応道交法には適合しています。

実は立派な機材で撮影してもらったものの、家庭用と同じようにはPCに取り込めず、遅くなりましたが映像がやっと届きましたので少しずつ公開していければと思います。
あまり当時の記憶が鮮明ではなく、自分が話をしている場面もなんだか他人のよう。
それほど必死だったということだろうか。
記憶が蘇ってきて思わず笑ってしまう場面も。

畳む茅葺きや歩く茅葺きもありますのでお楽しみに!

アノニマスだけど気になった言葉

私の心臓の音をお聞きいただきありがとうございます。

とても不思議な縁ですが
いまあなたは私の心臓の音を聴き、
私のために人生の一部を費やしてくれました。

そしてこの同じ世界を生きている。
そう思うととても不思議な気持ちになります。

私とあなたが出会うことはきっとないでしょうが
どうか私とあなたがお互いに健康で、幸せに過ごせますように。

クリスチャン・ボルタンスキー「心臓音のアーカイブ(Les Archives du coeur)」
2010年8月 瀬戸内国際芸術祭にて。

cott撮影現場の裏側

おまけ。
撮影の裏側を少しだけご紹介。農業用倉庫も兼ねているので撮影環境に抜群に適したかと言えばそうでもないのですが、それでもこのぐらいは十分に撮れるのです。

広い空間と大容量の電源容量、昼でも暗い空間を有効活用した例。
農村地域に資源はたくさんあるので発掘してクリエーティブと関連づけてどんどん利用していきたい。
なんでもかんでも新しいものばかりに飛びつく前に、地域の資源にしっかりと向き合いましょう。

ロケ中に、1台軽トラが通りがかる。脚立やアンブレラ、レフ板をセットしている様子を見て「なんや電波を受信しよるんか。」というおっちゃんのつっこみも素敵なコミュニケーション。

自社スタジオ兼農業倉庫での撮影風景。堀内氏、タイムスリップ中。
農業用倉庫で撮影
さて、明日は堀内康広の活版印刷ワークショップです。
個展は26日まで。
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Paper Design Show
12.6(月)18:00→12.26(日)
トランクデザインのアートディレクター堀内康広の初個展「Paper Design Show」
紙の手触りやあたたかさ、デザイナーの個性を活かしたアイテムを展示しています。
より一層紙が好きになる。そんな紙を集めましたので、ぜひお立ち寄りください。

12/11(土)活版印刷ワークショップ
東京とUSTREAMでつなぎ、みんなで作品をつくりあげていきます。
参加費:1500円(カレー、ドリンク、ワークショップ)

Cafe,Bar&Gallery en+(エンタス)
650-0012
兵庫県神戸市中央区北長狭通2丁目31-49
(阪急三宮駅西口より西へ徒歩2分、高架下北側)

若さについて

楽しんで仕事してる人って総じて見た目も若い人が多い。
もちろん実際よりも老けて見える人もいるが、そういう人はこれから歳を積み重ねてもほとんど変わらぬ風貌で、そのうち若く見えるようになる。(私はそちらのタイプだと勝手に信じている。笑)
センスが若いというのも重要だがむしろ
日々、よく笑って泣いて楽しんでる人というのが大事なポイントだ

現実的な話をするのなら
人が外見から年齢を推測するとき、顔のしわとやたるみ、髪の薄さなどの顔の部分でで無意識のうちに判断しているだろうが、楽しんで仕事をされている人はそれが出にくい。
お肌のたるみがとかを気にされる奥様方なども多いが、原因は筋肉の衰えなので
朝鏡を見てああまたシワがと気にして高い美容液でケアしなきゃというよりは
「最近笑ってるかな」
と自分に問うてみるとどうだろう。

おまけによく食べてよく寝れば
最高のスキンケアだ。

単純な話が、よく笑えばいいのだ。それだけ。

なんて、全くクリエーティブには関係のないことをJAGDA大阪企画展「BODY WORK 5」にて思っていた。(Nさん、写真拝借しました。一応、無断転載禁止で↓。)
JAGDA大阪企画展BODY WORK 5
神戸組も負けないよう、ときに反発もしあいながら、盛り上げていきましょう。
受賞作品一覧はこちら。
http://osaka.jagda.org/bodywork/bodywork2010.html

淡河町まちづくり研究会ロゴ

淡河町まちづくり研究会ロゴ
淡河町まちづくり研究会ロゴ ツール展開
DATE: 2010.11
CATEGORY: Graphic Design
CL: 淡河町まちづくり研究会
AD/D: Yusuke YASUFUKU

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