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Scraps about Self-sufficient Housing

  • 2017-03-30 (木) 8:41

セルフビルドの実際はどうなのか。

私は自身が施主である建物についてはセルフビルドで建築する。それは、農村地域のヴァナキュラーな風景の生み出し手の一人としてアノニマスなものを作りたいという思いからである。それはツリーハウスを作った学生当時の思いと変わらない。少し工具が使えたら簡単で、田舎のおじさんなら誰だってできるし、そうすればもっとおもしろい世の中になるだろうと信じてきた類の人間だ。農村地域の片隅に建つ農機具を置いておくためのちいさな小屋などからはそこにあるものが偶然にも集ってそこに根付く人の限定された技術によってつくられた佇まいだったり、なんともいえない即興芸術的な美しさを感じる。

だが、日本の法律に真っ向と向き合ってやろうとすれば、多くの壁にぶち当たる。

実際は日本におけるセルフビルドは工作の延長でただ単に自分で材料を調達してブリコラージュを最大限に生かした建物を建てるということは法律的に不可能であり、建築に対する専門的な知識がある程度必要となるのだ。
多くはハーフビルドと呼ばれる専門的で施主が手に負えないところを直接発注する方式で行われるか、小規模な小屋などがセルフビルドの実際だろう。

実際に法律を無視した建物にも多く触れてきたが(たとえば既製品の大型のカーポート等は、多くが建築確認申請が必要であるし、構造に違反していたりする。)、それは建築を専門として業を営む者として、行いたくない。

セルフビルドの建築確認申請について。

防火地域・準防火地域外かつ同一敷地内に建つ建物と不可分な用途として建てる場合であってその床面積が10平方メートル以下であれば確認申請の手続きは不要。

10平方メートルということだが、例えばデッキを設けたりする場合などはその算定にも迷う。以下にはそれを算定するための情報を引用。(以下のPDFより。建築物の床面積の算定方法(PDF))確認の必要があるか否か程度の小規模なセルフビルドに関係あるのは以下の(1)(2)(4)(5)あたりだろうか。

建築物の床面積の算定

建築物の床面積は、建築物の各階又はその一部で、 壁、扉、シャッター、手摺、柱等の区画の中心線で囲 まれた部分の水平投影面積によるものであるが、ピロ ティ、ポーチ等で壁、扉、柱等を有しない場合には、 床面積に算入するかどうかは、当該部分が居住、執務、 作業、集会、娯楽、物品の保管又は格納その他の屋内 的用途に供する部分であるかどうかにより判断するものとする。例えば、次の各号に掲げる建築物の部分の床面積の算定は、それぞれ当該各号に定めるところによるものとする。
(1) ピロティ
十分に外気に開放され、かつ、屋内的用途に供しない部分は、床面積に算入しない。
※「十分に外気に開放されている」とは、ピロティ部分が、道路または空地と一体の空間となり、常時人の通行が可能な状態であること。
※「屋内的用途」とは、居住、執務、作業、集会、娯楽、物品の陳列、保管、格納等の用途をいう。
※ピロティ内の一部を屋内的用途に供する場合は、ピロティ全体を床面積に算入するのではなく、自動車車庫、自転車置場、倉庫等、明らかに屋内的用途に供する部分のみを床面積に算入する。
(2) ポーチ
原則として床面積に算入しない。ただし、屋内的用途に供する部分は、床面積に算入する。
※ポーチと称しても、その部分に、シャッター、扉、囲い等で常時閉鎖的に区画すれば、屋内的用途に利用していると見なされ、床面積に算入する。
※「寄り付き」型については、特定行政庁により床面積に算入しないケースもあると思われるの要打合せ。
(3) 公共用歩廊、傘型又は壁を有しない円型の建築物
ピロティに準じる。
(4) 吹きさらしの廊下
外気に有効に開放されている部分の高さが、1.1m以 上であり、かつ、天井の高さの1/2以上である廊下に ついては、幅2mまでの部分を床面積に算入しない。
※「外気に有効に開放されている部分」とは、特定行政庁が定める方法によるが一般的に、隣地境界線から1m(東京、大阪等では50cm)以上、また、敷地内の他の建築物またはその部分から2m以上離れている部分をいう。
※住戸の入口近くに設けられる風防スクリーンも、プライバシー保護や風雪の吹き込みを防ぐためのものと認められる範囲であれば、その設置にかかわらず、外気に有効に開放されているものとみなしてよい。
(5) バルコニー・ベランダ
吹きさらしの廊下に準じる。
(6) 屋外階段
次の各号に該当する外気に有効に開放されている部分を有する階段については、床面積に算入しない。
イ.長さが、当該階段の周長の1/2以上であること。
ロ.高さが、1.1m以上、かつ、当該階段の天井の高さの1/2以上であること。
(7) エレベータシャフト
原則として、各階において床面積に算入する。ただし、着床できない階であることが明らかである階については、床面積に算入しない。
(8) パイプシャフト等
各階において床面積に算入する。
(9) 給水タンク又は貯水タンクを設置する地下ピット
タンクの周囲に保守点検用の専用の空間のみを有するものについては、床面積に算入しない。
(10) 出窓
次の各号に定める構造の出窓については、床面積に算入しない。
イ.下端の床面からの高さが、30cm以上であること。
ロ.周囲の外壁面から水平距離が50cm以上突き出ていないこと。
ハ.見付け面積の1/2以上が窓であること。
(11) 機械式駐車場
吊上式自動車車庫、機械式立体自動車車庫等で、床 として認識することが困難な形状の部分については、 1台につき15m2を、床面積として算定する。なお、床としての認識が可能な形状の部分については、通常の算定方法による。
(12) 機械式駐輪場
床として認識することが困難な形状の部分については、1台につき1.2m2を、床面積として算定する。なお、 床としての認識が可能な形状の部分については、通常の算定方法による。
(13) 体育館等のギャラリー等
原則として、床面積に算入する。ただし、保守点検 等一時的な使用を目的にしている場合には、床面積 に算入しない。

また、床面積を増やしたいというのであれば、ロフトなんてものも有効だったりする。下階の床面積の1/2以下、天井の最高内法高さ1400以下なら階数、床面積ともにカウントされない。(ロフトへ通ずる階段の扱いについては地域によってまちまち)

以下は、皆さんがどのように悩まれているかの具体情報。(リンク先のすべての情報が正しいわけではないので注意。素人の意見として見た方がよい。)
フェンスの確認申請は通常不要(goo)
パーゴラの延べ面積(教えて!Ziddyちゃん)
パーゴラは確認申請が必要か(教えて!HOME’Sくん)
東屋の建築面積、床面積(yahoo知恵袋)
カーポートの確認申請(yahoo知恵袋)
ビニールハウスの建築確認(yahoo知恵袋)

ただし手続きは不要なだけで、法には適合させなければならない。
構造はもちろんのこと、開口や換気だってその広さや付属する建築設備に則って算出した基準に適合させなければならない。法22条地域ならば屋根や外壁に不燃材料を使わなければならないし、自治体によって様々な制限もある。

法律上セルフで出来ないものとしては
・電気工事一切(電力会社施工部分と、宅内は電気工事士の資格が必要)
・上下水道宅地内引き込み工事(水道局指定業者のみ。敷地内の工事はセルフOK。)
・電話工事(指定業者でなければ不可)
・ガス工事(ガス取り扱い免許必要)
・設計。(住宅等で延床面積で100平方メートル以下の建物の設計であれば、建築士といった資格は不要。)
・クレーン。

あと、地盤調査は必須ではないけどやった方が自分の為。
(参考「セルフビルドに資格は必要か?」)

結局セルフビルドの魅力はどこにあるのか。

セルフビルドの利点として真っ先に挙げられるだろうことはコスト面である。しかし結論を先に述べるのならばセルフビルドは結局手間を考えると余計にコストがかかったりすることもある。(参考
ただしそれ以上の魅力があると信じているからセルフビルドなのである。

その最大の魅力は建てる過程にあるように思う。
自分たちで自分たちの住まう空間を考え、「誰とどんなふうに暮らしたいか」、それはつまり「誰とどんなふうにこれから生きていたいか」を考えることであり、非常に有意味である。住まうことは、生きることである。

イベント的に仲間を集めて建てることを勧める。
セルフビルドならではの手の跡が残る。
過程は人の集う家とするための儀式のようなものだったりする。
完成してからこの壁は私が塗ったなぁなんて話しながら杯を交わす様子を想像できまいか。
職人に頼んでは生み出せないその家の求心力である。

住まうことは生きること

我々人間は、それぞれが幸福を求めて日々生きている。

物質的欲求は全ての人がほぼ満たされるほど経済的に豊かになったにもかかわらず、日本国における幸福度はほとんど戦後の数値から変化していない。(袖川芳之,田邊健:幸福度に関する研究 経済的ゆたかさは幸福と関係があるのか,内閣府経済社会総合研究所,2007)

世界幸福度マップというものも存在するのだが、世界における日本の幸福度は90位であると発表された。この世界幸福度マップというのは、英レスターLeicester大学社会心理分析学のAdrian White氏らが、ユネスコ、世界保健機関(WHO)、米国中央情報局(CIA)などによる100以上の研究報告データをメタ分析し、さらに世界178カ国、約8万人にアンケートを行い作成したもので、健康、経済(富)、教育という極めて的確な尺度を用いて幸福という漠然としたものを定量化したものである。

その世界幸福度マップでは、どの項目も得点の高い日本が90位と、低い位置にランクされているという不可解な結果が出ている。つまり、単純に健康、経済、教育が十分であるだけで幸福とは言えないようである。

この結果は、日本が経済性、物質的欲求ばかりを追求している結果であろう。凶悪犯罪や少年犯罪の増加、コミュニティ環境の悪化に伴う地域力の低下、などが増加するのも過度の経済性追及社会の産物であり、この問題についてこそ真摯に取り組んでいくべきである。では、日本における幸福度の向上の為に住環境と密接に関わる建築という分野で何かできることはないのだろうか。

内閣府の調査によると住環境と、幸福の構成要素に深くかかわりがあり、幸福度を提供する為に建築にできることは多く、建築の可能性を示唆する結果が出ている。(袖川芳之,田邊健:幸福度に関するインターネット調査報告書,内閣府経済社会総合研究所,2007)

そもそも、衣食住として人間が生活していく上で必要な三大要素としても挙げられるように、住と幸福は切り離せないものである。つまり、住環境を意識することは何気ない日常生活を意識することであり、幸福な生き方をしているのかについて考えることなのだ。

だが、居住環境を意識するどころか、その幸福の舞台すら、結婚すれば男は働いて庭付き一戸建てを購入し、嫁と子供を養うといった価値観によって支配されているようである。

おおよそ1970年代から、住まいはつくるのではなく買う時代となった。どのような家にするのかを自分の頭で思い描くことすら、特別なことのように思っている人も少なくないのではないのだろうか。できあがった住宅に入り、できあがっている家を舞台に、自分なりの世界観を上書きしていくことは可能であるが、なかなか家に積極的に豊かさを取り入れていこうと、自分なりに手を加えていく意欲をあまり目にすることがない。それは、住居の専門家によって提示され、購入した家の完成形であると思われている形のままの方が美しいと人々は思っているからであろう。購入した箱に家具を入れ、できるだけ元の状態のままを保とうとするが、いつの間にかものはあふれ、日本の住宅の物の氾濫は世界中を見てもかなり異色に映る。(地球家族—世界30か国のふつうの暮らし:TOTO出版,1994)

さらに言うならば、そもそも居住環境を規定する最小の社会集団である家族の意味すら失われつつあるのではないだろうか。かつての大家族制が崩壊し、核家族というより小単位の家族へ。戦後の住宅不足のなかで、大量の住宅を効率良く供給するために工業製品を組み合わせてつくる規格化が進み、生活スタイルも洋室をと取り込んだ個室+LDKの形式が一般に広がった。経済性優先の原理に従い、規格化された工業製品を組み合わせ、より低コストで量産する「無国籍風規格化住宅」とでもいうべき、小綺麗なメーカー住宅が、歴史あるものに替わってこの国の風景を埋めていった。

80年代半ばから90年代半ば頃にかけてnLDKの前提基準となっていた核家族が解体し、家は単に個人の集合といった程度の意味付けしか得られないようになる。ネットカフェ難民という現象は空間が個別化していることを表す最もわかりやすい例ではないだろうか。

磯崎新は空間が個別化していることをおたくという日本発祥の社会現象に着目し、次のように言及する。「おたくという人たちの住宅はホームレスの段ボール箱の住宅と同じ意味のものではないか。さらにもう少し進んでいったら、ケータイをもっていることが住宅だという時代になるのではないか。つまり住宅という形態が姿を消し、皮膚のようなものになる。住宅らしいものを全部身につけて、うろうろ街を徘徊する人たちが現れてくる。それを先取りしているのが、おたくであり、ホームレスで、こうした人たちは、今は社会的に排除されているが、一つの未来社会を先取りした生活形態を、おたくのような人たちで既に実践しているのかもしれない。」(ギャラリー間:住宅の射程,TOTO出版,2006)

このように、現代において住環境に対して積極的に関わっていこうとする意識は非常に貧困であり、その原因は経済性を最優先とする考え方や、空間が個別化していることなどに起因すると考えられる。

私は東南アジアの集落を訪れた際、その生活に潜む豊かさを感じた。集落は元来セルフビルドでその土地にある素材を使い、近所の人や家族と共につくるものであった。その家は、住まい手のコスモロジーを純粋に反映しており、私の目にはとても豊かに映ったのである。

そういうわけで、住環境を意識させるための手法として、具体的に共創型のセルフビルドという手法に注目し、現在も暇を見ては積極的に住空間のセルフビルドのワークショップを実施している。

基礎工事

D I Y 建 築 mini 講 座 基礎工事編
DIY 日曜大工で家をつくるー基礎工事

型枠を作ってブロックの基礎コンクリートの準備をするちいさな小屋だったりの基礎はブロックが手軽か。ただし、建築確認を見越す場合はRCとすべき。木造のあずまや等や10㎡以内の物置やならば基礎の仕様は問われないが、それ以上である場合、基礎は布基礎以上(べた基礎、基礎杭を用いた構造)の耐力を保有するものとしなければならない。
ブロックの基礎に鉄筋を配筋していく
ブロック塀の基礎コンクリートを作る
ブロック用の縦筋を差す
ブロック塀をDIYで積む(作り方)

設計

イラストレータをCAD代わりに使用する→できれば建築CADを使いたい。

Reference

ひとりでビルを建てる男。

セルフビルド都市ペジテ・イズ

個人の‘自立’をうながす住宅システム「Be-h@us 」

都市計画区域と建築確認との関係

セルフビルドで住宅金融公庫から融資受けられますか?

ストローベイルハウス 概説

Design Source

tiny houses
MORFOLL
Tiny House Blog
「流木」という名のAAスクール 夏のパビリオン – Driftwood pavilion AA school 2009

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