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Rocal Design Life -農村デザインの日常- Archive
The Ultimate Principle
- 2012-06-13 (水)
- Rocal Design Life -農村デザインの日常-
先日、田んぼに水がはりだす、と書いたが、当然ながら勝手に張られるわけじゃない。
私自身もそのはる作業に関わっている。
休日は父と農作業だ。
田んぼをしはじめてデザインが変わったというK県の某有名デザイナーSさん。
豊かな関係性に支えられたものづくりとでも言えばいいのだろうか。
どう変わったのか、また機会があれば伺ってみたい。
しかしまぁ本当に田んぼでデザインがかわるのか。
私にとっては小さい頃から間近で接し続けてきた現象のひとつだからよくわからない。
たぶん変わってないと思う。
まぁ米づくりは心身のリズムをうまく整えるための時間だったりはする。
わざわざジムに行ったりせずとも自然に体力がつき、体の調子が整う。
太陽の出ている時間帯に体を使い、なんやかんや疲れるので夜は寝ずにはいられない。
という、意外に単純な話だったりするが。
ひとりひろい田んぼの真ん中でぼーっとしながら
水を入れた田んぼをトラクターで全面なぞって水田に仕立て上げる。
田んぼの真ん中をがに股でエンジン音を轟かせながら走ると
住処を追い出された虫がぶわ〜っとたくさん飛んできて
土の中にいたミミズが水面に浮かび上がってくるからか、カラスやツバメがえさを求めてやってくる。
そんな虫や鳥が営む風景の中に自分も営みとして存在しているのだなと感じる瞬間だ。
自然の摂理を身に宿す。それ以上でも以下でもない。単純な話。
「ぼーっとしながら」、といってもトラクターはレバーが多く、なかなかせわしない。
特に田んぼの端まで耕せ、折り返す時には忙しい。トラクターの後ろについた耕すパーツを上に上げてクラッチをふんでバックに切り替える。左カーブをするときは左のブレーキを踏まなきゃうまく曲がらない。
ギアは1つではないのでうまくギア比を切り替えてトラクターの挙動とギアを経験的に体に染み付かせなきゃならない。
まぁ、メカが好きな男の子の遊び道具みたいなものだ。飛行機のパイロットは無理だから、トラクターやコンバインで我慢。
男はいつまでたっても子供だということか。
意外に単純な話。
そう単純な話。
単純なものの道理の中に本質が潜んでいたりするのだ。
世の複雑な挙動は単純な原理の積層で成る。
デザインの対象がこの世界のどういった位置にあるのか。
単純な原理でものごとを思考すると、そんな根本的なマトは外さない。
それが耕すデザイナーだろうか。(、、とはいっても生活の9割はデザイン、農は1割にも満たないのだが。。)
便利だということで省略してしまってはならないものの道理の中に身を委ねよう。
水面に映る群青色のそら。この風景も人工物だ。
ひとと自然がうまくかかわりあっていて、言い換えれば風景が生きている。
営みとしての風景はいつも心に焼き付く。農村、都市と関係なしに。
生きた風景に寄与しようぞ。
y.y.
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ホンモノ
- 2012-04-22 (日)
- Rocal Design Life -農村デザインの日常-
春の訪れとともにたくさんのお客様。仕事もしやすい気温。
今日はちょっと失敬して、すこし寄ってみた。ツバメのモチーフを使うときに、図鑑いらず。
事務所から出ること10m。夜桜が街灯に照らされて闇の中に浮かび上がる淡いピンク。
ここでは自然を捉える感覚に敏感になれる。ホンモノを知っているということはでかい。
和のモチーフの多くは自然からなる。
日本のテキスタイルの色彩の多くは身の回りの植物から採れる色だ。
今日に日本的であると言われるものの多くが
自然に親しみ、外部空間と絶妙な関係性を保って来たからこそ生まれたもの。
だから「和」、とか「日本の伝統」とかにデザインのメスを入れるのであれば、
表層的にそれを切り取らないために、本当の意味で文脈や知恵に積み重ねていくために、
ホンモノが身近にあり、それを五感で理解できることが必須だと思っている。
だから、cottは「ここ」なんだな。
地域とデザインだとか、コミュニティとか、ソーシャルだとか、田舎だからどう、とかではなく。ここで生まれ育ったから、というのでもなく、一番に考えているのはそういうこと。常にホンモノに触れておくという制作環境を求めた結果がこの場所。ある事象を身体感覚に基づいて理解し、制作物をアウトプットする。都市から見た農村のイメージの断片の総和でなく、農村での実感に基づいたイメージからリアルな文化を発信する。
ホンモノが都市のど真ん中の人が対流するところにあるというのなら都市。町家が連なる伝建地区にあるのなら、そこでもいい。
とにかくデザインは、まちでもいなかでも、ひと、もの含め、外部との関係性が身近で豊かなところで。社会に開いて。
だましだましの知恵やなんとなくイイカンジではなく、可能であればグラフィックスが場所と接続するための方法論を考える。最近流行りの「いつでもどこでもノマドスタイルで」でなく、「ここで」というのもそう考えてみれば大事なことだと思うのです。いつでもどこでものいいところを利用しつつ、意味のあるしごとをしましょう。
yy
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Bloomin
- 2012-04-05 (木)
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事務所裏ではつくしたちも眠りから覚めて食べごろ。
つくしはハカマを取るのが面倒なので、小さい頃はたくさん摘むだけ摘んで、母にハカマをとる作業を任せるから、摘みすぎて怒られていたことを思い出します。このハカマとりは面倒だけれど家族で力を合わせる春一番の共同作業で、テレビをみながら、あるいは黙々と作業をする。面倒なのも、大切なことだったのだなと、今になって思います。
燃やせば灰になって、肥料になって、いのちがめばえる。
ちいさないのちのサイクルに伴ってゆるやかに変化するひとともの、ひととひとの関係性。
その中にいまを見出すのだ。
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DigDigDig
- 2012-03-29 (木)
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今日は出てきたものシリーズ。
近所の方が事務所をがさごそしてきたら出てきたぞーとお金を下さいました。
寛永通宝や一銭はともかく、和同開珎。
富本銭が出土されるまでは日本最古のお金とされていました。
708〜800年に流通していたそうですね。
富本銭が出てからも広範囲に流通する貨幣として用いられたものとしては最古であるとの見解があるようです。
小学校で最古のお金と学んだ記憶がありますね。
とはいえ、自宅にもたくさんあるのであまりなんとも思いませんでしたが、
1200〜1300年前の貨幣がどこの家にもあると改めて考えるとすごいですねぇ。
当時は私鋳銭鋳造が相次いだそうで、ホンモノかは定かではありません。
そんなお金もグラフィックデザイン。
新しいものを新しい見せ方で記述していくのと同様に、
こんな古来の文脈も新しい見せ方で記述してあげなきゃです。
和同開珎(Wikipedia)
寛永通宝(Wikipedia)
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一升枡をめぐるモノガタリ
- 2012-02-13 (月)
- Rocal Design Life -農村デザインの日常-
先日、部落の中で「あの家に大工さんが入るらしい」と噂が回っていて、
「枡の底が抜けてもたんや〜」と笑顔の素敵な奥様がやってきてくれました。
一升枡は家庭で最も身近に使われ続ける木製品。
木でできていながら、つるつるした手触りで角は丸くなっている。
何世代もまいにち米を母の手で家族のために量り続けられてきたのだろう。
まさに生きた文化財と形容するにふさわしい様を呈している。
歴史ある升を直すのはかなりのプレッシャー。
ちょうど腰に据えていた金槌で文化財を修復するかのように慎重に直しました。
何年も愛してきたもので万人に使いやすいものではないけれど、
「私には結局はそれが使いやすい。」
農村にあるその感覚はきっと大切で、
cottも愛されるものに関わっていきたいものだと再認識。
その意味で農村地域の仕事をするときはとてもやりがいがある。
写真一枚持ってったら家宝のように扱ってくれますからね。
いやはや、まさに便利なおっさん。
大工でもなんでもいいのですが、枡を直しつつ「大工さんみたいなもんやけど、大工さんでない」と一応伝えておきました。
事務所を古民家に移してからは、なんだか漫画のようなまいにちに思わず嬉しくなります。
愛あるものに関われて嬉しい。
ヴァナキュラーなものやひとは基本的に黙っている。が、そこに寄り添ってみるといろんなことばを話してくれる。これからも耳を澄ましてそれを聞き取る。
よく遊びに来てくれた近所の犬の訃報を聞いて、とても悲しい。
世界の片隅の出来事ながら、大切にできるまいにちを暮らす。
きっとそういうこと。
立ち寄ってくださる皆様に感謝しつつ、
今日もモノガタリを楽しみます。
さてさて、5年目に向けて気合いも入れ直しつつ、スタッフも増員でますますがんばりますよ〜。
土日でのんびり工事中。手始めに、床をぶちぬいて蟻が食って駄目になった材を取り払いました。また覗いてみてください。
何世代も受け継がれて来たこの古民家にまたモノガタリを上書きしていきたいと思います。
yasufuku
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Viewpoint
- 2012-01-28 (土)
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築330年のN家住宅葺き替え現場へ。どうやらここのお父さんと遠い親戚だそうで、1時間程話し込んでしまった。
そんな達者な元大工のお父さん。このお父さんの何がすごいってこれだけの大きさの屋根を葺く茅に加えて、販売すると屋根の工事費を賄える量の茅を毎年刈り続けたのだ。つまり現代において一切お金をかけずに茅葺き屋根を葺き替えているのだ。いまどき田舎にもなかなかこういう親父はいない。それもそのはず。モットーは「自力更生」だそう。しっかり胸に刻もう。
賞もたくさんお持ちの優秀な大工さんだけあって、ご自身で山から切り出した松の板目の美しさについて語ってくれる。どちらにもたくさんの味わい深い皺が刻まれている。
しかもほかにも二棟の文化財。
葺き替え担当は初の淡河の現場を大事にしたいと意気込んでおられる淡河茅葺き屋根保存会 くさかんむりさん。
親方の相良さん曰く、一緒に作業をしていると、野良歌が体のどこかしらから響いてくるそう。いまは歌えるひともそうはいない、棟上げの歌もご存知だそうで、竣工したらそれを聞くのが楽しみだ。実に達者なN家12代目将軍でした。
「そんな撮りよったらフイルムがもったいないがな。」
「いやいや、これはデジタルなんですよ。パソコンの画面で見て確認するからフイルムはいらんのですよ。」
「あーわしゃそんなもんようわからんわ。」
だそう。
また写真を持って伺おう。
右を見れば左は見えないし、左を見れば右は見えない。
ぐるっと見回してこそ見える景色もある。
景色がどんどん流れていくものだからぐるぐるぐると見回す人が多い中で、一点を見つめるひとたちがいる。
一点を見つめる強さや美しさに日々触れていよう。
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ツチノコのモノガタリ
- 2011-12-18 (日)
- Rocal Design Life -農村デザインの日常-
町内でツチノコが出たといって、熱心に活動をされているKさん。
福祉センターで紙芝居をされるという情報を聞きつけ、見に行ってきました。
子供の絵に毛が生えたような自由さが漂う味のある絵。
デザインをやっているとどうしてもこういう発想がないので羨ましいところ。
ツチノコがいるいないの議論は地元の視点に任せておいて、
ツチノコのおっちゃんは、すごくおもしろく話してくださり、終始その場が和んでいました。
テーマコミュニティーでなく、地元の皆が楽しめるモノガタリを提供できる、
最高のエンターテイナーたちです。
ツチノコはなぜか昔から日本で議論され続けてきたが、結局見つかっていない架空の生物の代表格。
そうやって見たという人がまたいろいろなモノガタリを提供してくれる。
他にも河童や鬼など、日本の架空の生物は妙にリアリティがあって、皆で想像力を巡らせながら話が広がる。
もしかすると昔の人が村を維持していくために生み出した仕組みのひとつだったと考えることもできるのかもしれませんね。
近頃はゆるキャラブームですが、その地域の文脈をそのまま絵にしたものでなく、
昔からいろんな人の想像力と体験が融合し、皆で創られたキャラクターはそのかたちに哲学を感じます。
いつもそんなキャラクターをつくる妄想会議に携わっていたいものです。
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Masking!
- 2011-08-28 (日)
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