- 2013-11-11 (月) 4:07
- Rocal Design Life -農村デザインの日常-
今週末は町内から一歩も出ず、町内で実施されているイベントを巡った。そのひとつが、淡河茅葺き屋根保存会 くさかんむり主催のイベントで、文化財であるものの、未だそこで人が暮らすM邸にお邪魔して、昼ご飯を食べたりしながらゆっくり過ごすというもの。
茅葺き屋根が多くある町内に住みながらもこれほど丁寧な暮らしが伝わって来る上品なお宅を見るのは初めて。庭には丁寧に手入れされた草木や花が暮らしに彩りを添え、ごちゃごちゃしてしまいがちな納屋のものですら長年の暮らしを経て自然に決まったかのような位置にあり、まさに暮らしを容れていたと形容するのがぴったり。家主は生まれてから八十数年、町外に出た事がないそうで、古くからあるものが大切に大切に使われていた。新しいものを次々と追い求め、消費をする事無しに生きられない我々には大変なインパクトだ。茅葺きが美しいのでなく、文化財だから美しいのでもなく、暮らしの中でのさまざまなひとやものの関係性が美しいのだと、改めて見せつけられた思いだ。例えばこれを受け継いで暮らすことを想像してみると、かなり背筋が伸びる。
納屋の壁にさりげなくかけられている古い時計も刻々と正確な時を刻んでいた。
こういう建物と暮らしが一体になっているお宅は開放できないし、
観光物になってしまうとただの建物になってしまう。
しかし、日本の後世に伝えたいのはこういう暮らしの所作ひとつひとつであり、
根底に息づいた思想であり、そこを舞台に暮らす人々をとりまく関係性の中にあるものだ。
それらの多くがそのまま消えゆく現代で、我々には何ができるのだろうと思いを巡らせた一日。
必要とされればだが、草刈りぐらいならお手伝いできるだろうか。
いや、むしろ「関係性」を取り扱うデザインにできることは多いのかもしれない。
そういう場面でデザインが求められるのなら、損得関係なしに喜んで労力を提供したい。
そこに住まう人々がより幸せに暮らせるように。
また、先日お知らせしたOutdoor Crafts Exhibitionは引き続き開催されています。私もちゃっかりソファを仮予約。
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