- 2017-09-30 (土) 14:05
- Tweets -はてしないたわごと-
赤道一周は約4万キロ。中学校の頃に習ってからなんとなくその数字はずっと覚えている。
今、手元にあるiPodで神戸の中心あたりに立てたピンをタップしてみるとアプリは直線距離で19242kmと表示している。4万キロのだいたい半分なので、地球の裏側付近と言っても良いぐらい離れた場所にいるようだ。特に遠くに行きたいとか、海外に住みたいとかを昔から思い続けていたとかではないので、本当にただ何となく覚えていた知識が今、ようやくほんの少しだけ役に立った。
その距離だけを見てみると壮大な冒険をしているように見えるかもしれないが、紙とペンを持ち、普段とそれほど変わらない日常を過ごしているので案外そんな気にもならない。デザインを提供し、報酬をいただいている。報酬をいただくからには手を抜くことはできないし、万全のサポートで臨むのがプロとしての責任だ。だからこちらにいるときも日本時間での平日9時から18時、営業時間内は基本的にいつでも連絡がつくように、電波が届かないような場所には行かないし、行くとしても、その時間外のうちにいってきてきちんと戻って来れるようにきちんと計画を立てて行動する。
ただ、そうじゃないものも含めて楽しみたい気持ちもずっとあって、この前の土日は小さな冒険をしてみた。とても天気の良い日だった。
あるところでたまたま魅力的な教会の写真を見つけた。
それがある正確な場所は分からなかったが、
もっと言うならば今も存在しているのかすらも分からなかったが、
インターネット上に唯一見つかったモノクロ写真はとても美しく、
他のどの場所でも見たことのない建物だったため、どうしても見てみたくなったのだ。
断片的な情報を頼りにバスに乗り、
運転手にこのへんだと言われて飛び降りたところは
人の歩いていない、未舗装の道路。
ゆったりした雰囲気の田舎だった。
平屋で広い庭の民家が立ち並ぶ。
その中でもひときわ美しい手入れの行き届いた茅葺き屋根の民家の前で
仲良く日曜大工をする老夫婦がいたので尋ねてみると、
どうやらその建物のすぐそこまで来ているらしい。
日が暮れるまでに見つかればいいやと思っていた場所には
拍子抜けするほど簡単にたどり着いてしまった。
あれ、もう少し回り道しても良かったんだけどな。
その気があっても冒険にならないこともたくさんあって、
小さな冒険をさせてみたら、思っていた以上に
冒険ができていない自分に気がついた。
しかし、結果それが大した冒険にならなくても、
心に冒険を宿しているだけでずいぶん感じ方が違うものだとも思った。
帰り道のことを考えずに、飛び込んでみる。
画面じゃなくて、人に尋ねてみる。
冒険ってこんなに楽しかったっけな。
プロフェッショナルなら定めたゴールに真っすぐ船を進めなければいけないが、
そうでない旅もできたらいいなと思う9月。