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2023-08
White Ink
- 2023-08-11 (金)
- Anecdote about Design -業界の小話-
独立当初から約15年間メインで使って来たプリンタがいよいよ壊れてしまったので、現行機種に買い替えました。白が刷れるプリンタです。濃色の紙に刷れるのはもちろん、透明フィルムに刷れたりし、パッケージデザインの出力も外注いらず。

DATE: 2023.06
CATEGORY: Graphic Design
CL: 株式会社満月堂
AD/D: Yusuke YASUFUKU
デザイン事務所のプリンタ事情
以下、デザイン事務所のプリンタについての少し専門的な小話を書いてみる。これまで使っていたのはデザイン事務所向けのレーザープリンタで、OKI社のMicroline Pro 9800PS-Xという機種。デザイン事務所ではデザイン用ソフトのポストスクリプトという言語を読めるプリンタが好んで使われる。色や形の再現性が印刷物の多くを占めるオフセット印刷機で刷った仕上がりと近い出力が可能だ。さらにA3ノビというA3より大きなサイズで出力でき、A4見開きのページものをつくるときにデザインを端まで配置できるので大変重宝していた。
A3ノビ、ポストスクリプト、レーザーの呪縛からの離脱を試みる
デザイン事務所ならレーザー、ポストスクリプト、A3ノビと信じて独立当初に思い切って導入し、今までやって来たのだが、買い替えのタイミングで今も果たしてその条件は必要なのだろうかと考えた。というのも、それは、大きく重く、高価なのだ。
昨今は資料をデータで送り、データでの校正、あるいはデータのみの納品なども増え、安くて良いプリンターも出ている。どうしても必要なときはセブンイレブンのプリンタはそこそこ正確に色が出るのでコンビニでも割と足りる。
さらにどういうわけかA3ノビとポストスクリプトという条件を入れると現行機種ではほとんど出ておらず、出ていても発売からかなり経っているものばかり。前のモデルまでA3ノビのサイズに対応していたけど新機種はA3までというものもあった。単純にデザインをするのにそこまでの設備を必要とする人がいなくなってきたのだろうか。
そう考えて選択肢を広げて調べてみると、確かに、A3ノビでポストスクリプト互換言語(ポストスクリプトではない)が読めるインクジェットプリンターだと、今使っているランクのプリンタより一桁値段が安くなる。そんなにも値段が違うならと試しにEPSON PX-S7110Pを使ってみる事にした。
さすがにデザイン向けのスペックとなっているだけあって色はそこそこ正確に出て来てくれる。ただ、普通紙に出力したときのインクのにじみや使用できる紙種などがどうしてもこれまで使って来たものより劣り、印刷物としても出力見本としても中途半端に思った。
やはりまだ慣れ親しんだスペックがいい。
だましだまし数ヶ月使ったが、出力見本としてそこそこしか使えないのはデザイン作業をしていてとてもストレスだし、クライアントさんや印刷屋さんに迷惑がかかるかもしれないと思い、やはりこれまで使っていたプリンタの現行機種、MICROLINE VINCI C941dnを購入することにした。今度は今までの特徴に加え、白やクリアインクまで印刷できるらしい。クリアはともかく、白は憧れのインク。年々使う道具が厳選されてきてあまり新しい道具を手にする事はなくなってきていたが、久しぶりに道具を手にしてわくわくした。
白インクはどこに使われているか
白インクはパッケージでよく使われている。ペットボトルのフィルム等をめくって裏側からみると、白インクで刷られているのがよくわかる。というのも、そうしないと印刷が透けてしまって書いてあることが読みづらくなってしまうのだ。ふつうのよく見るポテチなどのスナック菓子なども、銀色の入れ物にまず白を印刷しないとギラギラしてしまうので、一度白を刷ってから印刷してあったりする。同じように透明フィルムに印刷するとパッケージのサンプルが簡単に作れてしまう。
では、紙が白いのに紙物をつくるグラフィックデザイナーはどこへ使うのか。紙は白ばかりでなく、濃い色の紙も結構あって、紙の質感を生かしてデザインしたい時に結構使えるのだ。それは単純に白を刷れて便利というだけではなく、白が刷れると感覚が広がるという点ですばらしいと思うのだ。
白を図として捉える
紙やデザイン作成ソフトの背景は白であることが多く、どうしても白い地に絵を描いていく、つまり図をつくる作業になるが、図は地があってこそ引き立つのであり、地を図として捉える事ができるようになると、余白をうまく使えたりする。デザインは絵を描く事ではなく、その場所の環境や背景を読み込む事こそが大切だったりするので、その地を生かす発想はとても重要だ。
だから今回新しいプリンターを手に入れたということより、白を図として捉えるという発想を手に入れたということにわくわくしている。白をデザインするという意識を常に持ち、精進を重ねたい。
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