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2008-05
田舎ゆえの
- 2008-05-03 (土)
- Way of Working -cottのお仕事-
今日は田舎であるが故のお仕事にいってきました。種をまいて苗をそだてます。


私が事務所を構えるこの村では、しばらく前までそれぞれの家で田を耕して苗を育てて苗を植えてしていました。近年、農業就労人口の減少などの原因に より、田んぼを持つ家の負担は増え、どうしても改革をせまられずを得ない状況になりました。そこで営農組合のとった方針は、みんなでみんなの田んぼを管理 しようということでした。大きな機械を導入することで、各家庭の設備投資費をおさえ、大きな機械を田んぼに入らせるために必要な導線を確保するために、耕 地整理を行いました。その方針に同意せず、その家で全て行う方もいますが、ひとつひとつ手で植えるといったいわゆる土着的な風景は失われていきました。
その風景が失われていることに関して嫌悪感を抱いていました。ここに今日初めてその共同作業に参加して来たのですが、なかなかいいものでした。土着 的な風景を欲するのは外部からこの風景を見るもののたんなるエゴであり、その風景をつくるものとしては、各家庭でゆっくりと農作業する良さもありますが、 村の皆で農作業を行う場は、ただの農作業がコミュニティーの場として成立していました。久しぶりに会ったおじさんも、おばさんも私を知らない人も私を暖か く迎え入れてくださいました。まるで祭りのような空間がそこにはありました。
3,40人程度の人がいたのですが、私と同世代かそれ以下の人は3人しかいませんでした。私の頃には全校生が150人だった小学校も60人程度に 減ってきているので、農業に従事する人口はさらに減っていき、他から来た人間を受け入れるなどの改革をせまられるでしょう。田舎で育った方は、少しでもそ の田舎の風景を頭にめぐらせてほしいと思います。

この調子で世界のこのような風景も失われて行くでしょう。しかし効率性を追求したためなくなってしまった風景とは必ずしも豊かなものでなくなるとい うわけではありませんでした。それは単なる外部から見たエゴであり、それを言うのならそこで一度農業に参加してみてください。生産の現場は豊かです。
大学時代の設計演習ではここは豊かな空間だから、ここに椅子とテーブルおおいたからコミュニティが発生する、ここに木を植えたから自然との共存をは かっているなどといった机上の空論が繰り広げられましたが、現場に居合わせて時間をすごしてみないことには何もなく、空間にできることはあまりない、と感 じ、人間のより豊かな生活を目指す空間デザインの本質は別のところにあるのではと感じました。
村の皆様方、今日はおつかれさまでした。
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