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エーテル

甘い蜜の香りに誘われて窓の向こうの森の中に迷い込んだ
きみはとりつかれたように闇の奥へと消えていった
ぼくはきみを見失った

太陽の下にいるときはこの影が僕から離れることがないのと同じように
ぼくは全てのものと離れられなかった
離れようと思っていること自体が
離れられない何よりの証拠だった
それはまた 時は止められないことをも示していた

きみをこの視界から見失ってから、どうしようもないぐらいに迷っていた
いつの間にか光を失っていた
必死に光を探した
どんなに探しても見当たらなかった
ある時 光を探すのをやめて 静かに目を閉じた
それは僕なりの死ぬ覚悟だったのかもしれない

そうすれば、真っ暗闇の中でも進んで行けるようになっていた
毎日は果てしない旅の道中にあった
迷っているかいないかを決めるのは自分だった
もう光を見失わなかった

ぼくはときおりこうやって言葉を吐き出す
そうしないと今にも何かに潰されてしまいそうでこわくて
その何かが何なのかを表す言葉をぼくは知らない
だがその何かは確実に存在した
それはいろもかたちもなくて
この世をつなぎとめる
まるでエーテルのような存在
なんとなくだけれどそれがなくなってしまえばぼく昔憎んでいたそれもなくなってしまう
なんだかんだでぼくにはその目に見えない何かが必要だった

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