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旅のいろいろ

先日は讃岐へ。
時を重ねたものだけが持ちうる空気に触れた。
レトロ

味わう。そして生活者になる。

まず見知らぬ地でするのは真似をすること。
今までの自分を空っぽにして、食べ物や好きなもの、習慣、言語、言葉遣い など、徹底的にそこに居る人の真似をする。
つまり旅行者でなくそこの地の生活者になること。
いろんな地域を俯瞰してまわるのもおもしろいが
生活者になってみればまた違った見え方をしてきて格段におもしろくなる。

皆と同じようにそこに寄り添ってみることで
なぜそれがそこにそういう形で存在するのか、少しずつ見えてくる。
いきなりやりすぎてしまうとパロディに近いものになってしまうし、初めはもちろん不自然なこともあるだろうから、ゆっくりでいい。
そのうちまるで役者であるかのように、何にでも染まれるようになってくるものだ。

文化やコミュニティに潜む核心をつかむこと。
それは必ずデザインにも生きる。
だから時間はかかってもいいからそうする。

おぼつかない足下で目先に用意され続けるかすんだゴールに向かって走り続けるよりも
はっきり見える的を見据えて確信のある一歩を力強く。
他が見えれば自分のところも自ずと見えてくる。だから地域ブランディングやコミュニティ、景観に関わる人たちはそんなふうに旅をされても面白いと思う。
亀岡の朝

道中にて。

20年ほど昔はフェリーに乗って島から島へ。船に響く重低音と吹き抜ける風に興奮し、闇夜を再び走るうちに眠気に誘われて気付けばまどろみの中に懐かしい家の匂い。そのまま大人たちの会話をよそに布団の中に顔をうずめた。5時間の長旅だったのが今や2時間弱。
なんだか寂しいというか味気ない。
そう感じるのもその道中に至る道のりが豊かだったからに違いない。

今ならきっと船を待つ時間にふとポケットに忍ばせておいた文庫本を読みふけり
文庫本を閉じてすぎゆく風景を眺めながら物憂げな顔で何か考えごとをしているフリをする。
そんな時の中にすうっと身を委ねて
ザワザワして落ち着かない心を静める。
まるで僧侶にでもなったかのようにわざとキザったらしくその道中を味わう。

今日の交通網にはそんな時にふけるために十分な余裕がないのである。

無駄のない移動のためのみに特化した行為は、ため息で曇る窓ガラスの先に浮かぶぼやっとした淡い風景を眺めながらもの思いにふけるには不十分だ。

しかし、毎日の生活の中にそんな空気を感じられる時間は今こそ必要なものではないだろうか。そんなことを思いながら二十数年間の軌跡をこの地で結うべく西へ東へ東奔西走する今日。

さて、今日もまた、どこ行こう。

神戸発高松行きフェリー
トンネル
道路建設中のくもりぞら
竹ドーム

東京ミッドタウン・デザインハブ 第27回企画展「日本のデザイン2011」- Re:SCOVER NIPPON DESIGN デザイナーが旅する日本

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