Tip68: コンクリートを打つ

型枠が完成したらいよいよコンクリートを打つ作業。コンクリートはセメントと砂と砂利と水を混ぜたものだ。ホームセンターでそれらを買ってきて自分で練ることもできるが、数袋以上の量になるのであれば生コン車を頼む方が値段、品質、労力どれを考えてもメリットがあるのでぜひ自分で生コンを手配したい。ミキサー車を呼ぶ場合、コンクリート打設はコンクリートを早く流していかないと品質に影響するので助っ人を呼んで数時間で一気に仕上げることが多い。一生懸命作業してひとつのものが一気に立ち上がる感じがいつも祭りみたいだなと思って、個人的にはとても楽しい気持ちでいる。

コンクリート打設は段取り八分

一度進み始めたら中断のできない一発勝負なので、準備こそがとても大切だ。もちろん型枠は1mmの誤差もなくきっちり作ったが、当日の動きをイメージしながら事前にできる事は全てしておく。

まず、今回は屋内に流すため、一輪車で屋外から入れるようにスロープをつくった。

アンカーボルトのネジ部分はマスキングテープで巻いてコンクリートが付着しないように養生。

さらに、仕上がり天端より1cm低い位置に型枠の外から線を引き、4,50cm程度の間隔でビスを型枠の外側から内側にビスの先端が少し出るように打っておいて、目標とする天端がわかるようにしておく。コンクリートで型枠は汚れるため、型枠の内側に線を引いておくのみでは消えてしまうのだ。仕上がりより1cm低くするのは、コンクリートを流し込んで少し固まった後、この上に打設後天端レベラーというものを流してより平らな平面をつくるためだ。

コンクリートを発注する

その手配が初心者には少し敷居が高いかもしれない。というのも、発注時に配合等を聞かれるのだ。分からなければ用途を伝えると教えてくれるかもしれないが、一応知っておくとスムーズだと思うので最低限知っておくのが良いと思う。

今回の配合は24-15-20-Nとした。24は呼び強度、15はスランプ。20は粗骨材の最大寸法、Nはノーマルだ。それぞれ細かな説明が必要だが、詳しくはコンクリートを打つなら調べて知っておく方が良いように思う。呼び強度は18、21、24、27など、スランプ値は8、10、12、15、18などとおおよそ3刻みで、粗骨材は20、25、40のいずれかで指定する。

量も伝えないといけないのだが、単位は立米で伝える。コンクリートを打つ部分の縦(m)かける横(m)かける高さ(m)を計算してたすと算出できるので小学生レベルの算数で大丈夫。素人には必要な量の想像がつかないが、計算間違いさえなければ案外ピッタリになるものだ。今回は念のためちょうどより1割ほど多く頼んで、余ったら使える場所も見当をつけておいた。多すぎたら追加料金で持って帰って処分してくれるようだが、せっかくなので全部使いきりたい。

あとは日にちと住所も伝える。ミキサー車のコンクリートをネコ(一輪車)で取るか、ポンプ車、ホッパーなどで取るかなども伝えておくと良い。

さらに今回は道幅が狭かったため小型車の指定もした。車種の指定がある場合のミキサー車の容量は今回頼んだ会社だと、小型の3トン車だと1.75立米、4トン車だと2.5立米入る(ただし積載オーバー)らしいが、細かなところは生コン屋さんに相談すればOK。

金額は配合にもよるのだが、昨今はかなり値上がりしており、立米単価が2~2.5万円で、会社によってまちまちだが、オプションで小型指定やコンクリートを取るのに時間がかかる場合に追加料金となるところもあるようだ。

コンクリートを打とう

発注ができたらあとは予約した日時に生コン車の到着を待ち、型枠に流していくだけ。ミキサー車の後ろに一輪車を持っていくと、運転手さんが一輪車1杯分ずつ車から出してくれる。入れてもらったコンクリートを型枠まで運び、一輪車を倒して型枠の上から流して、またミキサー車の後ろまでの往復を繰り返す。ある程度入れられたらバイブレータ、通称バイブをかけていく。バイブレーターは振動してコンクリートを隅々まで行き渡らせるための工具。かけすぎたら基礎フーチング天端部分からあふれてきたので一部、一旦上から板で蓋をしておいて、少し時間が経って落ち着いてきたら板を外し、余ったコンクリートをレンガ鏝ですくってまた型枠の上に戻していった。

バイブは説明書に書いてある有効範囲以下の間隔でなるべく等間隔に、垂直に、型枠や鉄筋に当てないようにかける。1箇所について振動する時間はおおむね10秒以下とし、かけすぎると砂利とセメントが偏ってくるのかけすぎないのも大事。コンクリートを入れ終わったらコテを使って平に仕上げていく。型枠の外側にセメントが盛り上がっていると型枠が外れないので余分なセメントはのけておく。

少し経てばコンクリートの天端に水が浮いてくるが、もう少し待つと水が引くので、基礎の天端の位置に4,50cm間隔など、やりやすい間隔で釘を埋めてこの後に流す天端レベラーの高さの目標をつくる。天端レベラーは1日待つとプライマーという接着しやすくするものを塗る必要があるようなので、その日の夜9時に体をむち打って流した。1日待たなくてもプライマーを入れる方がより良いらしいが。

天端レベラーは袋に書いている量の水を入れてハンドミキサーで練るとホットケーキの生地より少しやわらかい感じになる。ダマにならないように端の方までよく混ぜたら型枠に流していく。型枠に隙間があるとそこから流れていくので流れ出ていないかも確認する。打ち終わったら上にシートをかぶせて急激に蒸発してひび割れないように養生。

1週間以上放置した後、型枠を外して完成。セパレーターの先っぽは金槌で叩けば金具が折れて外れる。安藤忠雄建築でおなじみの打ちっぱなし仕上の壁の場合はこの穴にモルタルを埋めるが、見えるところではないのでそのままで。今回はバイブレーターのかけかたが甘く、少し表面にジャンカという空洞が残ってしまったのだが、それほど大きいものではないので良しとしよう。塗装コンパネを使ったので表面はツルツルで思わずなでたくなる。

さくっと振り返るコンクリートの歴史

現代の建築物の基礎のほとんどがコンクリートでできているので、言わずもがな、コンクリートは現代において非常に重要な素材だ。コンクリートの材料である水と砂と砂利とセメントのうち、セメントだけが自然の中にあるものではないので、特にこのセメントに人類の叡智が宿っている。コンクリートは最も古くは9000年前のイスラエルにまで遡る。本格的に使われたのは2000年前、ローマ帝国建造の頃で、ローマ帝国建国に大いに役立ち、今もその時代の建物がそのまま残っている。それがなぜか467年のローマ帝国崩壊からしばらく使われなくなり、次に使われるようになったのがさらに1000年以上もの後、1757年のイギリスだったようだ。これが産業革命の頃に爆発的に世界中に広まり、今日も使われるようになった。日本での開発は明治の初め、1875年のことだったのでまだわずか150年というのが信じられないほど、今の日本のどんな建物にも必ず使われているものになった。

コンクリートで実現できる、自由な造形

本当にどんな建物にも使われているので、逆に言えばコンクリートを扱えなければ建物を堅固につくるのは難しいかもしれない。自分で建物に手を入れて暮らす人の多い田舎に暮らすのであればモルタルやコンクリートづくりはぜひマスターしたい。コンクリートが扱えるようになると、強固な石を自由な造形でつくることができる。実際はその作業性と強度計算の観点から垂直、水平、直交といった形状で作られることがほとんどだが、材料の性質に着眼してみると、型さえあればどんな形にだって成形することができるので、次は自由曲面の壁に挑戦してみたいと思う。日本では150年ほどしか歴史の無いものなので、自分たちで試行錯誤し続け、新たに伝統を作っていけば良いのだ。

240330追記 コンクリート打設第2弾。

今回は風呂場の土間と浴槽立ち上がり、土間リビング、床下の土間の3カ所を打設する。風呂場は鉄筋と型枠を組んだ中へ、リビング土間はメッシュと床暖房用温水パイプを組んだ中へ、床下土間は防湿のために土の上にそのまま打設とする。1.75立米入る小型車指定で2車分、計3.5立米注文した。前回が1.3立米だったので2.5倍以上もあり、心してかかった。配合は21-12-20-Nとし、前回より呼び強度とスランプ値を一段階ずつ、どちらも3下げた。強度については土間なので強度はそこそこで良く、スランプ値については前回基礎の立ち上がりとベース部分を同時に打設したときに立ち上がり部分に入れたコンクリートがベース部分からたくさん出てきたので少し固い方が良いと考えた。固い水の少ないコンクリートの方が強くもなる。8:30から打設開始し、8人で45分ほどかかって1.75立米が抜けた。折り返しで1時間15分後くらいにもう1車来てもらい、10:00から6人で1時間あまり、11時すぎ頃に作業完了。午後から土間の金鏝押さえ班と仕上げの土間レベラー班に分かれて作業し、夕方に作業を終えることができた。1週間後、型枠を外すのが楽しみだ。

なお、浴槽は普通は既製品を買って据え付けて工事をするものだが、温泉がそうやってつくられているのと同じように、石でもできると考えた。型枠を外して水勾配を調整したら浴室全面にFRP防水を施し、最後にモルタルか石貼りで仕上げる予定だ。

ひょんなご縁から理想的な環境の古民家に出会ったデザイナーが、その日々の中で身につけた業を、日々の暮らしとともにアーカイブして行くウェブサイト。100の業が溜まったら、cotocotoというタイトルで誌面化予定。

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