Tip57: 庭木を植える

実家の庭が家の前を通る用水路の工事のために壊されてしまったので、またいちから作り直すことになった。

土を改良する

工事後に埋め戻された土は粘土のような土なので、一般的に植物には向いていない。粘土質の土は水捌けが悪く、根腐れを起こしたり根をうまく張れなかったりするためだ。そこで、まずは土の改良から。

改良といってももとの土が粘土質で植物を植えるにはどうにも適さないのでいらない土を表面から30cmほどすきとって、田んぼなどに捨て、新しく良い土を入れるだけ。土は建材屋さんに注文して2tダンプ1杯の真砂土をお願いした。今回はダンプ1杯だけだし、せっかく庭に使うのでより良いものと思い、山東真砂土と呼ばれる兵庫県朝来市の山東町で採取されるマサ土にした。色味も良く安定しており手触りもサラサラで水はけも良好とのことで、真砂土のブランド品のようなものらしい。配達料込みで2万円ほど。土が来るまでに石もなるべく撤去して、植物が根を張りやすい土壌にしていく。

これに近所の牧場の牛糞ともみがら、仕上げに肥料を少し混ぜる。牛糞は発酵が十分進んで匂いのない完熟したものがベターで、2t車一杯配達してもらって3300円。田んぼの脇に捨ててもらい、運搬車2、3杯を混ぜた。稲刈りで大量に出たもみがらも運搬車1、2杯入れたら耕運機で混ぜていく。均等に混ぜるためにバックホーで一度底の方からすくって切り返し、もう一度。

これで植えるための下準備が完了。機械の力に頼ると半日ほどでできた。

木を移植する

植え替えの適期になると、軽トラックとトレーラーに乗せて運び、植えていく。樹種によって植え替えの適期があり、基本的に新芽が芽吹き始める前が良い。とはいえ全ての植物に時期を合わせるのも難しいので、落葉樹の葉っぱが落ちて休眠している時期に合わせた。

運搬した大きな木から順番に位置を決めていき、穴を掘って仮置き。穴は実際に必要なサイズよりもひとまわり大きめにし、底は平になるように堀ることで、仮置きしてからも位置を調整しやすく、また、土がきちんと底に回って根を張りやすくなる。

常緑なのか落葉なのか、高さはどのくらいなのか、日の当たり具合はどうなのか、お客さんや住人からの見え方はどうなのか、将来的にどういった土地利用をするのか。様々なバランスを考えながら位置と方向を決める。木の向きは鑑賞者の方向から見て樹木らしく枝が広がって見える方向で決めるのが基本。もちろんおおよその配置は図面で決めているが、建築と違って計算と全く同じようにはできないので現場でそのモノを見てデザインを考えるのがとても重要だ。さまざまな角度から見てみて全体像が見えてきたら掘った穴に土を戻してく。土を戻すときは土を少し戻してから位置を調整し、木がきちんと座ったら完全に埋めていく。大きな木などは木の根の周りに小さな土手を土で作ってその内側をスコップで軽くこぜて水が入らなくなるまでどんどん水を入れてやる。こうすることで木の根の周りに土が回り、木が動かなくなる。これを水極め(みずぎめ)と言うらしい。

1年ほど、畑で養生していたヤマボウシとハナミズキもようやく庭に戻った。

余白のあるデザインと庭と。

庭木はなくても人間は暮らしていけるが、一戸建てに暮らす大半の人は自宅の庭に木を植える。人はなぜ庭に木を植えるのだろう。一戸建てには庭付きというのが世の中の標準だからと刷り込まれているのもあれば、権威を誇示する役割もある。ただ、それ以上に大事なのが、庭木を植えることでそれ自体がやわらかな境界として機能し、人々の目や心を和ませ、人を出迎え、内と外を明確に分断する建築の輪郭を和らげ、家と社会をつなぐ接点を広げてくれることだと思う。昨今は家はメンテナンスフリー、あるいはローコストが好まれ、庭をあまり重視しなくなったようだが、ぜひとも暮らしに木々を取り入れて、より豊かな空間体験をしてもらいたいと思う。富裕層でなくとも自ら手を入れることで豊かな空間と暮らし方が手に入る。また、空間をつくる際には自然を配置でき、人もいきいきと動き回れるような余白をデザインに残しておくことを心がけたい。

取り急ぎ、モミノキだけソーラーの電気を置いて夜は自動でライトアップするように。クリスマスに滑り込み。

ひょんなご縁から理想的な環境の古民家に出会ったデザイナーが、その日々の中で身につけた業を、日々の暮らしとともにアーカイブして行くウェブサイト。100の業が溜まったら、cotocotoというタイトルで誌面化予定。

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2021年3月から岡山県加賀郡吉備中央町の山林を譲り受け、セルフビルドで改修中。見学お手伝いは大歓迎!詳細は078-220-7211 (cott)またはこのメールフォームにてご連絡下さい。

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