じめじめした空気は 人間の健康にとっても良いことではないし、家にとってもあまり良いことはない。湿気をコントロールすることは快適で健康に暮らす上でとても大切な業だ。湿度が高いときは換気が大事。つまり、湿気をコントロールするためには風の流れを考えることが重要となる。
湿気との遭遇
今、仕上げの床を張っていて床下点検口を取り付けるために2ヶ月ほど前に張ったコンパネの荒床を開口した。仕上げの床板と平行に、そして床と床の境目がちょうど良い位置に来るよう、点検口は一度床を塞いで張ってしまって後からくり抜いて作るのだ。
丸鋸で床に穴を開けたら点検口まわりの補強をする必要がある。早速補強のために床下に潜って作業をしようとすると床下のコンクリート土間がなんだか湿っぽい。不思議に思ってライトで床下を観察してみるとなんと水が溜まっていて、床下に頭を突っ込むとぞうきんの生乾きのような臭いが充満していた。
湿気対策として土のままだった床下全面にコンクリート土間を打ったのでそんなことがあるとは想像もしておらず、焦った。
床下の湿気は建物の大敵でこのままにしていると床を組んでいる木材を朽ちさせるのでそのままにしておくわけにはいかない。
とりあえず一刻も早く床下の湿度を下げないといけないので床下に潜って溜まった水を雑巾に吸わせてうっすら白いカビのようなものがついている木材はエタノールで全て拭き取った。湿度を下げるためには空気を循環させると良いのでその後、床下に扇風機を置いてそのまま夜通しで回しておくことにした。
床下に水が溜まった原因
床下に水が溜まっているのは以下の3通りほどが考えられる。
- 給水管や排水管からの水漏れ
- 地下水位の上昇による地面からの水の浸透
- 結露
ざっとチェックしてみたところ、配管からの水漏れは確認できなかった。
地下水の浸透についても特に雨が降った後ではなかったのでそうではないだろう。床を組む前に家の中の床下空間には湿気対策で全面土間コンクリートも打ってある。
そう考えつつも、もし地下からの浸透が原因だったら根本的解決にはかなりの時間と手間がかかるので次の日扇風機の力で乾いているか心配で仕方なかった。というのも土間コンクリートの下に防湿フィルムを敷かなかったのだ。土間コンの下に防湿フィルムを敷くのは設計上の常識のようなものになっているが、コンクリートはフィルムに近いレベルで水をほとんど通さない。フィルムの透湿抵抗は10cm厚のコンクリートの透湿抵抗の2.5倍ほどらしい。逆に言えばコンクリートはビニールのフィルムに近い防水性能を持っているのだ。フィルムを敷くとフィルムの上下に通らない水が溜まってなんだか家が不健康な気がするし、ビニールを地面に埋めているのはあまり気持ち良いものではないからその設計上の常識に抗ってみたのだったがそれによって悩ましい一夜を過ごすこととなった。
翌日、床下が乾いていたので原因は地下からの浸透ではないのだと分かり、一安心。台風の翌日も水が溜まっているようなことはなかった。
床下に溜まっていた水の正体は結露だった。結露であれば対処がしやすい。
床下結露の原理と対処方法
結露と言えば冬に暖房の効いた部屋の窓の内側に水滴が溜まる現象をイメージすることが多いが実は夏にも結露は起こる。これが実は夏の床下で起こりやすい。夏の暖かく湿気を含んだ空気が床下で冷やされ、空気が冷やされると含むことのできる水分が減り、含みきれなくなった水分が水になって出てくる。
これを防ぐために床下の空気が入れ替わるように床下換気口をたくさんつけたり床下空間を高くとったり設計上の工夫が建物には求められる。建築基準法にも、地面から床の高さ45cm以上、外壁の壁5m以内ごとに300平方cm以上の換気孔をつくれという規定がある。
うちの場合はその建築基準法の規定ぎりぎりで、リフォームなので耐力上安全を確認して基礎に新しく穴を開ければ良いがそれも大層だ。その場合は床下換気扇を取り付けたりしても良い。
湿度を下げるためには、とにかく床下の空気が十分に入れ替わると良いのだ。
床下の湿気から家全体の風の流れに考えを巡らせる
換気扇を取り付けるしかないかと考えていたら、床下点検口を開けたままにしておくと、床下から涼しい風がかなり上がってきていることに気づいた。風が上がってくるなら床下の空気も動くし室内にも涼しい空気が入って一石二鳥。点検口とは別に床に通風口を設け、5月から9月頃までは開けておくなどでも良いかもしれない。家の2階の窓を常に開けているので空気が引っ張られているのだろう。
そう考えると電気の力で強制的に換気する以外の方法でどうにかなるかもしれない。換気扇はいつでも取り付けられるので、自然の原理を気持ちよく暮らすために制御する方法を、床下の観察を続けながらもう少し考えてみることにした。