Tip85: テレビを受信する

テレビはどんな家庭にも必ずあると言っても過言ではないだろう。
これがないと生きていけないというほど毎日ずっとつけている人も多いかもしれない。テレビが一般家庭に普及し始めてから約50年、日本の家庭の居間に鎮座し、団欒の中心にあり続けてきた。

仕組みはラジオと同じで放送局から送られてくる電波を受信するだけだ。アンテナを取り付けて、アンテナから伸びる線をテレビに繋ぐとそれだけで見られる。

比較的どこでも聴けるラジオより少し複雑に感じるのは、送る情報量が多く、場所によっては電波を増強するブースターが必要だったり、電気工事と同じように家の壁の中を通してテレビ用のコンセントなどを取り付けて配線をする必要があるからだろうか。

あるいは私の実家のある集落がそうだったのだが、共聴アンテナと言って、電波が悪い地域で大きなアンテナを立て、分担金をそれぞれが支払い、そこから各戸に受信をするという仕組みを採用しているところもあって、様々なテレビを受信する手段があるためかもしれない。

さらに昨今は、光ファイバーを介してテレビを見ているところも多いだろう。インターネットや電話とセットで月7〜8000円、間を取って7500円だとすると、年9万円。現代にはインターネットは欠かせないとはいえ、それが必要ない高齢者の世帯にはテレビのみの契約もあるようで、チャンネル数にもよるが、最低限で月3500円ほど。それでも年間にすると4.2万円かかる。

このようにテレビを受信する手段は多くあるが、アンテナで受信できる地域であれば確実に自分のところでアンテナをあげた方が安上がりだ。

アンテナの値段は大きさや電波の強さによって3000〜1万円程度、業者に頼んだとして屋内配線工事がないのであれば3〜5万ほどらしく、ランニングコストは基本的にかからないのですぐに元がとれるだろう。暮らしにかかるランニングコストの再考は、現代社会を生きる上で重要だ。

というわけでアンテナを取り替えた。もともと地デジに対応していないアンテナと地デジ対応アンテナも付いていたがどう言う訳か配線がない。そこで、それらを撤去し、前にTip43: 木に登るで大木に登って受信を試みたときのものがあったのでそれを今回取り付けた。

アンテナから伸びている線を壁の中を通し、使いたい数だけ分岐させ、先端をテレビ線用のコンセントに取り付けた。コンセントに取り付いていた差し込み口は昔の型のものだったので取り替えた。

取り付け方は電気工事でよく使う電線より若干の手間だが、手順通りすれば特に難しいことはない。コンセントを外し、同軸ケーブルの外装だけを14mmほど剥き、網状の編組線を2mm程度残して切り取ってめくり、絶縁体とアルミ箔を3mm程度残して芯線を傷つけないよう切り取り、F型接栓と呼ばれるコネクタの説明書を見て先端を取り付け、コンセントに取り付けるとOK。

面倒なら3000円前後で同軸ケーブルストリッパーというものもあるので買えば楽だが、普通はそう何度も使うものではないのでニッパーやナイフで頑張った。

これをテレビと繋いで完成。

取り付けておいて言うのも何だが、今はあまりテレビが好きでない。
冷静に考えればどうでも良いような話をさも有益そうな語り口でCM明けまで結論を引っ張り、ぼーっと見ていて気がつけば風呂に入る時間。そういう休息の時間が好きであれば良いが、私はいつしかなんとなく自責の念に駆られてしまうようになってしまった。本やネットで自主的に情報を入れるようになった頃からだろうか。どうしても見たい番組はインターネットで見れば良いし、そういえば前住んでいた家はテレビが来ていなかったのだが2年ほど不便を感じることはなかったから実際なくても良いのだろう。

とはいえ世の中の空気を知るのにテレビは有用で、それはデザインに必要なことだ。いつかは何かに駆られることなく、テレビくらいゆっくり見られるようになりたい。

ひょんなご縁から理想的な環境の古民家に出会ったデザイナーが、その日々の中で身につけた業を、日々の暮らしとともにアーカイブして行くウェブサイト。100の業が溜まったら、cotocotoというタイトルで誌面化予定。

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