Tip81: 道をつくる

山を所有したなら道を造るという発想を手に入れるととても便利だ。

当たり前だが地面には必ず土があり、土地を持つということはその地面の土を手に入れたということ。その土はどれだけ掘ってもその下に土があり、周囲の地形が許す範囲であればどんな形にすることもできる。地形が許す範囲というのは崩れてこない範囲という意味で、幼稚園にあった砂場であまりにも急斜面な山が作れないのと同じことだ。

道はどんな時に作るかと言うと、例えば作業をするのに道があって機械や車が入れたら作業や暮らしが便利になるとき。

ただの斜面も道になり、道さえあれば車で山の中にも入っていける。山の中に気軽に入れるようになると、山が荒れないように管理しやすいし、山の恵みだって気軽に享受できるようになるだろう。

作業は土を削って少し盛っていくだけで、幼稚園児の砂遊びの延長のようなもの。盛った土は崩れやすいので山道の場合、基本は斜面の土を削っていく。道は手作業でもつくれるが、とんでもない時間と労力がかかるので、道作りの相棒にはバックホウが欲しい。バックホウが転ぶと死亡事故にもつながるので盛った土は入念に固め、バックホウが水平に走れるような地面をこしらえ、排土板を必ず斜面の下側にしておき、前後にも転ばないように注意して作業する。土がそこに足りないときは別の場所から運んでくる。

道をつくり、風景をつくる

山にはあちこちに高低差があり、高低差があるからこそ山とも言える。道をつくってこの高低差を自由に操ることができれば山の暮らしはずっと快適になる。そうやってまだまだ日常生活の必要に応じて地形を触っているだけだが、既存の地形を生かし、どのような風景を作っていくか考えながら作業をしていると、学生のときに勉強したランドスケープデザインを思い出す。高低差を操作し、木を植えたりしながら、人の集まる公共空間のあり方を考えたものだ。土で作る自由な造形の可能性は大きい。今年は、人の暮らしと自然が調和する景色以外にも豊かなコミュニケーションを生む風景という視点も持ちながら、作業を進めたいと思う。

ひょんなご縁から理想的な環境の古民家に出会ったデザイナーが、その日々の中で身につけた業を、日々の暮らしとともにアーカイブして行くウェブサイト。100の業が溜まったら、cotocotoというタイトルで誌面化予定。

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2021年3月から岡山県加賀郡吉備中央町の山林を譲り受け、セルフビルドで改修中。見学お手伝いは大歓迎!詳細は078-220-7211 (cott)またはこのメールフォームにてご連絡下さい。

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