Tip62: 万力結び

ロープの結び方にはたくさんあり、ロープを使いこなせれば自然の中で生き延びるのにとても役に立つ。

その中で最も役に立つのがトラックの荷台に荷物を結ぶときによく使う「万力結び」や「南京結び」、「Trucker’s Hitch」など呼ばれている結び方だろう。写真を撮影するのが面倒というか、荷物を結ぶときは大抵急いでいて写真を撮影することをすっかり忘れてしまっていて3、4年越しのアップロードになってしまったが、本当は第一号の田舎ぐらしの技は絶対万力結びだと思って下書きをTip1として最初に書いていたくらいだ。ぐっと体重をかけてきつく荷物を締め込む何気ない農家のおじさんの所作が格好良いと感じたことが、私自身、いつも何気なく見ていた農家の技ってすごいと思い始めたきっかけとなった。都会暮らしでも引っ越しの時にこの結び方を覚えて引っ越しで借りたトラックに荷物を何気なく結べればヒーローになれるだろう。

万力結びの結び方

具体的な結び方は写真の通りだが、Youtubeなどで調べて動画で見てもらった方がわかりやすいかもしれない。写真一枚目のように持って、そこにひもを一回転、その一回転させたロープを抑えるようにもう一回転。そこにできた輪っかにのびているロープを通し、通したロープをトラックのフックに引っ掛けて引っ張る。見た感じがなんだか複雑でややこしそうなのだが、割とすぐに手が覚えるので5秒くらいでできるようになる。

ロープが引っ張れたら輪っかを作って引っ掛けるのを2回すれば完了。

万力結びの力学

多くのロープワークは強い力で引っ張るほどに締まってほどけず、ロープを解くとすぐにほどけるという相反する性質を両立させないといけないのだが、この万力結びがすごいのは、その性質に加え、自分の力の3倍近くの力で締め込むことができることだ。

これは中学校の力学の授業で習った滑車を通すと半分の力でおもりを持ち上げられたりする原理と同じだ。万力結びはその滑車をロープの輪でつくったような形になっている。これを応用してその滑車代わりの輪っかをダブルでつくれば単純計算で5倍力ということなどもでき、大きな丸太を引っ張ってトラックに乗せることだってできたりする。知恵を駆使すればまるでドラゴンボールの界王拳のような技が我々にだってできるのだ。農村暮らしの実践の中に物理学が生きている。

暮らしの中で深めていく世界へのまなざし

農村暮らしはロープワークやTip20: 転がすで説明したように重い物を運んだりするときなど何気ない所作の中に力学が生きていることを実感する場面によく遭遇する。日々実践し、フィードバックを繰り返せば、教科書で学んだことがいつの間にか知恵や知識となっている。

土や植物を触ったりするときにはその種類や特性について少しずつ知識を身に付けていく。毒を持った植物をおいしく食べる方法だったり、植物を食べ物以外にも染料や建材として使う方法だったり、知れば知るほど暮らしの中の先人の知恵は実に奥が深いという気持ちが年々大きくなっていく。自然の中での実践を繰り返すことは、実に多種多様な学びがある。これからもそうやって世界へのまなざしを深めていければと思う。

ひょんなご縁から理想的な環境の古民家に出会ったデザイナーが、その日々の中で身につけた業を、日々の暮らしとともにアーカイブして行くウェブサイト。100の業が溜まったら、cotocotoというタイトルで誌面化予定。

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