Tip82: マニュアル車を運転する

すっとばしてユンボやコンバイン、大特や牽引などの運転の記事を書いてしまったが、軽トラックの運転について書いてみたい。これを運転するときに必要な業がクラッチ合わせで、田舎暮らしにはまだまだ必要な技術だろう。というのも、ほとんどの家に一台マニュアル車の軽トラックがあり、厳しい家だと嫁入りすれば、AT限定の免許を解除させられるという話も聞く。もちろん嫁のためにおじいさんがAT車の軽トラックを買ってくれたという話も聞くのでそれはその家によるかもしれないが、たとえ軽トラックがATだとしても田舎で農業に関わる暮らしをするならトラクターやフォークリフト、あるいは消防車なども運転する機会があり、クラッチ合わせが必要なものも多い。農ある暮らしに興味のある人は普通免許はMTで取っておくと何かと便利だし、ついでに乗り物の仕組みもよく理解できるようになるだろう。

MT車を運転しよう

運転には両手両足を使い、右足のアクセルを離して左足のクラッチを踏み込んでギアを切って、速度に応じてシフトノブでギアを変更し、アクセルを少しずつ踏みながら左足をゆっくり戻してギアを入れる。この操作を車の速度が変わるたびに繰り返す。文章に書くと余計に面倒に感じるかもしれないが、慣れれば手足が勝手に動くようになるのでそれほど構えることはない。やっていることは変則付きの自転車で発進のときに軽いギアを使い、スピードが乗ってきたら重いギアに変えるのと同じことだ。

そもそもなぜMTか

農ある暮らしにとても役に立ち、ほぼ一家に1台ある軽トラックはマニュアル車にする人が多く、MT車は自分でギアを切り替えて走らなければならない。信号で止まるたびに左足と左手を使ってクラッチを順番に切り替えて加減速していくので走り出してから信号で止まるまでに毎回5、6回ほどギアチェンジをすることになる。AT限定免許の人からすればなぜそんな面倒なことをしなければならないのかと思うかもしれない。

マニュアル車の方が運転が楽しいとか、値段が安いとか燃費が良い、壊れにくい等の理由もあるかもしれないが、大きいのは自動よりも人間の方が状況に合わせた走行することができるためだ。

軽トラックは荷物が空のまま高速道路を走ることもあれば、重い荷物を載せたまま急な登り坂を登ることもあり、走行に必要なトルクがシチュエーションに応じてかなり違う。そのどちらの状況にも対応できるように、軽トラックのAT車はハイギアでの走行が普通よりも高めのトルクに設定されており、必要以上の回転数で走ることも多く、どうしても燃費が少し悪くなる。また、重量物を積んで運転するときは下り坂でエンジンブレーキを効かせるが、その効きも普通のギアだと甘かったりする。最近はATも良くなってきたと言われるが、状況によって変えられるギアの数が多いMT車の方が操作が面倒ということ以外は優れていると言えるだろう。

うちの軽トラは低速の四駆もついている農繁モデル。山の中へでも安心して入っていける。

山暮らしを始めた頃は軽トラックの荷台の大きさのトレーラーがあるので軽トラックはいらないかと思っていたが、気楽さと小回りで劣るため、結局軽トラックも買った。自然の中に落ちている土など汚れのついたものを大雑把に積んで気楽に運べるようになることは、自然に手を入れて暮らす生活を思った以上に便利にしてくれる。手入れのされた里山の美しい風景に大いに寄与していることだろう。クラッチ合わせや運転技術自体はデザインとは直接関係がないが、乗り物の仕組みを理解することと、自然に手を入れる暮らしはデザインに必ず生きてくるように思うのだ。

ひょんなご縁から理想的な環境の古民家に出会ったデザイナーが、その日々の中で身につけた業を、日々の暮らしとともにアーカイブして行くウェブサイト。100の業が溜まったら、cotocotoというタイトルで誌面化予定。

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