Tip14: 左官壁づくり

解体作業に飽きてきたので、気分転換に独立した空間のトイレだけ先に仕上げてしまうことに。壁のクロスを剥がして、釘の穴などがあればパテで埋めて、ベニヤ壁の表面をフラットにして漆喰を塗っていく。ベニヤ板下地の場合、そのまま塗ると、アクと呼ばれる板が吸い込んだタバコのヤニや水漏れの跡などの汚れが仕上げの漆喰を塗った時に浮き出てきてしまったりすることもあるので、アク止めシーラーを塗って板の面をコーティングするのも忘れずに。漆喰といっても、素人でも塗れるらしい漆喰的な商品なのでなめてかかったのだが、後で痛い目を見ることになった。

エッジを出すということ。

準備が整ったのですぐに塗っていきたくなるが、マスキング作業がある。同居人のK氏はマスキングを省いてそのまま塗って、素人仕上げ風で良い感じになるイメージだったらしいが、そうすると子どもの遊んだ跡みたいになるので、そこはしっかり、もう一手間を加えてもらった。塗り厚さ1mm程度を開けて、壁面と天井や、窓枠、幅木の取り合う部分に貼っていく。もう塗れる準備万端でやろうとしているのに、地味な作業が入るのは面倒だろう。ただ、素人が塗装や左官をするときには、塗ることよりもマスキングの方が大事と言っても良いだろう。きっちりマスキングすると、きっちり壁のラインが出てきれいに感じる。結果、仕上がってマスキングを剥がしながら、やっててよかったという台詞をいただくことができた。きっちりエッジを揃えたりラインを出すのがセオリーなのは、デザインの時に文字を左に揃えたり要素ごとの幅や感覚を揃えると整って見えるのと同じこと。

左官は思った以上に難しくて、おもしろい。

いよいよ左官だが、基本は先のとがったコテを使って隅の方から塗っていく。壁と壁が取り合う部分の入隅と出隅はそれぞれ専用のコテでするのだが、持っていなかったので普通のコテでチャレンジ。結果、どうやってもうまくいかず、素人には難易度が高すぎるので、素人は素直に道具を揃えるのが良いと思う。汚いコテむらは後でやすりなどで飛ばそう。

職人が壁を塗っているのを見ていると、材料を壁にぺたぺた塗っていく楽しい作業だと思いきや、今回の手軽に塗れる漆喰はそこそこ強い力で何度もおさえないとものすごくムラになるので、そこそこしんどい。10平米ほどなので友人Kと同居人Kとで、1時間もあれば終わると思いきや、5、6時間。おそらくそのときは水分が足らなかったのだろう。一度塗りで良いとか、袋を開けたらそのまま使える、手軽に塗れるシリーズも考えものだと思った。そのまま塗れると書いているので、何も考えずに塗るのだが、当然気温や湿度、下地の状態によって水分の調整や塗り方の工夫なども必要なはずなのだが、その製品を初めて使うのでそこまで頭が回らない。

左官は基本的に自然素材。その土地ごとに土には特性があり、それらを配合して無限の表情をつくっていけるのが楽しいだろうから、安易に手軽に塗れるシリーズなどに飛びつかずに、そのへんのことも少し勉強してみたい。そこらにある土を使って配合して、そこらにある竹などを割って下地にして、自由な曲面をつくっていけたら楽しいだろうなと思う。

ひょんなご縁から理想的な環境の古民家に出会ったデザイナーが、その日々の中で身につけた業を、日々の暮らしとともにアーカイブして行くウェブサイト。100の業が溜まったら、cotocotoというタイトルで誌面化予定。

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