Tip80: 精米する

今年の稲刈りも終わり、例年にない豊作に喜んでいたのも束の間、岡山で緊急の仕事を頼まれてそれによってしわ寄せが自分の会社の仕事に押し寄せ、ようやく一段落したと思ったら年末も目の前だ。山田錦の稲刈りが終わって一ヶ月余り。そろそろ米に関する業を落ち着いて振り返ってみよう。

稲刈りという言葉があるが、稲に実った米は刈ったらそのまま食べられるわけではない。コンバインで収穫した米(=もみ)から籾摺り(もみすり)をしてもみがらを取ることで玄米になる。さらに玄米の表面を削る事で糠(ぬか)が取れ、白米になる。この玄米を白米にする事を精米するという。その糠の削り具合は上白米で1割ほどで、30kgの玄米は上白米27kgとなる。

田舎には精米所というのがだいたいJAやスーパーなど、農家の暮らしに身近な場所にあり、100円で10kgの玄米を精米する事が出来る。使い方は簡単で、お金を入れ、米袋の玄米を投入口につっこみ、希望の精米具合のボタンを押し、玄米を入れていた米袋をセットして精米された米を回収するだけ。

家庭用精米機のススメ

農家は面倒なので皆、米袋一袋、30kgごとに精米するが、米は精米した時点からの劣化が早い。最近、パンを食べる人が増えていたり、家族の人数が少なくなっているところも多く、30kgだと消費するのに何ヶ月もかかるかもしれない。

そこでオススメなのが家庭用精米機だ。1万円程度から買え、一度に5合程度精米できるものが多い。操作は単純で玄米を入れてボタンを押し、数分待つだけ。キッチン仕事のルーティンに組み込めばそれほど負担でもない。精米したての新鮮でおいしい米をいつでも食べられる。

また、その時の料理によって精米具合を自由に変えることができる。たまにはより栄養がある玄米を食べたいときもあるかもしれない。精米で出たぬかはもちろんぬか浸けに使えるし、窒素・リン酸・カリをバランス良く含んでいるので肥料としても優秀。手や顔を洗ったり、食器を洗うのにも良いらしい。

糠の他にももみがらは堆肥や保温材として使えるし、米のとぎ汁も野菜のアク抜きや掃除などに使える。藁は縄にして農作業に使ったり正月飾りに使ったりと、日本人は米のすべてを利用して暮らしてきた。米は長い年月の人の営みの中でつくられた日本人の叡智の結晶のようなものだろう。降ってきた水を池に貯め、田んぼに貯め、そこに生き物が育ち、田んぼの水が水路を流れ、日本の原風景を作り出す。大地に植物を根付かせ、その実るすべてを人の暮らしの中に取り入れ、安定した豊かな暮らしを得る。土、水、栄養素など、すべてが循環しているのだ。

精米する作業は昔は杵と臼で何度もついて行っていたが、手間がかかりすぎる。そのため、白米は一般に食べられるようになってまだ100年ほどしか経たないらしい。作業を今はボタンを押したら機械が勝手にしてくれるようになっているので業でも何でもないが、米を新鮮な状態で食べ、米の含んだ栄養素もうまく利用するという意味では業とも言えるかもしれない。

ひょんなご縁から理想的な環境の古民家に出会ったデザイナーが、その日々の中で身につけた業を、日々の暮らしとともにアーカイブして行くウェブサイト。100の業が溜まったら、cotocotoというタイトルで誌面化予定。

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