バックホウは工事現場で必ずいて、その便利さに気づいたことを書いたが、それと同じように単純な機械で見ない日はないくらいよく見るものがもうひとつある。トラックにクレーンがついたトラッククレーン車、通称ユニックだ。大変高価な機械でそれに見合うほど吊る作業をするのかと思っていたが、この吊る作業の奥が深い。吊ることができると、トラックに重量物を積む事ができ、そうするとどんなに重いものでも車が入るところであればどこへでも届ける事ができる。他にも石積みをつくったり、庭に大きな木や石を据えてみたり。フォークリフトもクレーンもユンボも、ざっくり言えば重い物を持ち上げるだけの機械なのだが、物を販売する会社にはどれかは必ずあると言っても良いくらいかもしれない。人力ではとてもなし得ない重力に反する力が出せる道具は世の中で思っていた以上に役に立っているようだ。
吊るためには重量物の重量に耐え、重量物を固定するための柔軟性を兼ね備えた、ワイヤーやバンドなどの道具が必要だ。クレーンのフックに荷物をかけたり外したりする作業を玉掛けと言い、仕事で使うときは講習を受けないといけない。その定格重量やバランスの事を考えないで持ち上げると重機が横転したりワイヤーが切れたりして大きな事故に繋がることになるので、DIYで安易に使うのはあまりおすすめはできない。
しかしDIYで吊る作業は縁のないことではない。手動でも重量物を吊る事はでき、それは重機を使うよりも危険度は下がる。例えばチェーンブロックという滑車の原理を使った道具を使えば手動でも重量物を持ち上げる事ができる。
持ち上げることさえできれば、移動させることもできる。3本の木やパイプをインディアンのテントのように組んでそこからチェーンブロックをつり下げる。重量物を紐やワイヤーで固定したらチェーンを引くと少しずつ物が持ち上がる。この3本の木の中心と物をずらして引き上げる。引き上げると物が中心に寄ってくる。また物を下ろしてから柱の位置を移動して中心を少しずらす。この作業を交互に繰り返す事でクレーン車がなくても重量物を少しずつ移動させる事ができる。
農村の日々には重力に反する実践が多く潜んでいる。
他にも人力では抜けない杭や根っこを引き抜くときにも使えたり、引っぱる垂直方向以外にも引っぱったり。物体を持ち上げるだけのことなのにこんなにも応用が利くのかと、日々驚きつつ、引き続き、勉強中だ。