Tip66: 配筋する

配筋は基礎屋の友人が応援に来てくれた。配筋の前に基準決めやコンクリート型枠の保持のために捨てコンクリート、通称捨てコンを打つことも多いのだが、今回は基礎上の中心線がひけていて、基礎の側面に基準墨を書けたりするので省略。また、友人の職場でマッチングベースと呼ばれるプラスチックの部品をもらって来てくれたのだが、それがあれば型枠を載せられるため、基礎のベースであるフーチング部分と立ち上がり部分を一度に打ち、継ぎ目を作らずより強固な基礎となるようにした。マッチングベースの天端が布基礎のフーチングの天端と一致するようにレベルを微調整し、型枠のパネルを載せやすい間隔で並べていく。既存の基礎との取り合いのところは基礎に振動ドリルで穴を開け、差し筋アンカーを差したものにつなぐ。重ねる長さは鉄筋の呼び径の40倍以上とのことなので、D10で400mm、D13で540mm確保。

鉄筋は専用のカッターで切る。鉄筋カッターがなくてもグラインダーなどで切れるが、時間がかかるため今回新しく購入した。自動でカットしてくれるものもあるが、本職でもないのに購入するには流石に費用対効果が低すぎるので、手動のものを購入。カット&ベンダーと言い、てこの原理で刃を動かして切る以外に曲げ加工もでき、単純な構造なので一生使えるだろう。グラインダーより早いし火花も出ないので誰でも手軽に使える。切った鉄筋を結束線で結んで組むために使うのはハッカーという道具で線が折り返してあるところにひっかけてクルクル回す。他に同じような動きをする道具はあまりないので慣れないと変な力が入ってうまく使えない人もいるかもしれないが、すぐ慣れる。

全く別のものを組み合わせ、新しいものをつくる

ここまで鉄筋を結束してきたが、そもそもなぜ鉄筋を入れるのだろう。鉄はコンクリートと非常に相性の良い素材で、どちらも温度変化による膨張、収縮の具合が近似しているため、温度変化による亀裂が生じにくく、それらが一体になることで引っぱりに強い鉄と圧縮に強いコンクリートの両方の利点を兼ね備え、より強くなった鉄筋コンクリートとなるのだ。鉄のおかげで脆いコンクリートが粘り強くなるし、アルカリ性のコンクリートに覆われているおかげで鉄も錆びにくい。建築をはじめ、近代の文明化の最も重要な役目を担ってくれた素材であり、今もなお、そしてこれからも活躍し続けていくであろう、重要な素材の組み合わせなのだ。全く別の素材を組み合わせ、新しいものをつくる。先人の素晴らしい発明に敬意を示したい。

ひょんなご縁から理想的な環境の古民家に出会ったデザイナーが、その日々の中で身につけた業を、日々の暮らしとともにアーカイブして行くウェブサイト。100の業が溜まったら、cotocotoというタイトルで誌面化予定。

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