Tip17: 給水管を通す

キッチンを移動するために給水管と給湯管を移動し、洗濯機置き場をつくるために給水管の増設をした。排水管はTip11で設置したのだが、同じように塩ビの管を接続部分のパーツに接着剤を塗ってつないで給水栓のところまで持っていく。前のキッチンに通っていた管を分岐させて洗濯機にも使おう。基本、床の下、あるいは壁の中を通していくのだが、今回は耐力上支障のないことを確認して、一部基礎に穴を開ける。管はお湯用の赤い耐熱パイプと黒い対衝撃用パイプと、普通の灰色のビニル管がよく使われているが、接着剤の接続には管の種類ごとに専用の接着剤を塗ることと、接続部分の管の面取りを忘れてはいけない。

また、ねじで接続する箇所もあるので、そこではシールテープというものを使う。ゴムパッキンがついている箇所は良いのだが、そうではないねじ同士の接続箇所はそのまま接続すると固い金属と金属同士ではどうしても隙間が空いてしまうので、柔らかいシールテープをネジ部分にぐるぐる巻いてそれをかませることで水漏れを防ぐ。シールテープはねじ込むのと同じ方向にテープを巻くようにする。間違うといけないので、Youtubeを見ながら…。

また、既存の給湯用管は銅管だった。銅管同士を接続するためにはろう付けと言って、ハンダ付けのレベルアップ版のような方法がポピュラーらしいが、今回は既存の銅管を切って塩ビ管に接続するため一カ所のみの継ぎ手で良く、そのために資材やガストーチを買うのも大層なので、そろばん玉という、火を使わない接続方法で接続し、塩ビ管に変換してキッチンの混合栓の下まで延長させることにした。今回使ったのが両側とも呼び径15.88のもので片側はねじにシールテープを巻いてネジ付きの管に、もう一方を銅管の接続に使う。1000円近くするものなので、きちんと管の径を測って間違えないように買う。

床下にもぐりこんで、給水管と給湯管を面取りしてそれぞれの管の専用の接着剤で全て接続し、既存のシンクに穴を開けて付属のパーツで混合栓をシンクに固定したらシンクの下にも潜り込んで、穴を開けた壁に止水栓を取り付け、混合栓から伸びている管とも接続。

水がどれほど暮らしを快適にしてくれるかを知る。

接続が完了していざ、止めていたポンプに呼び水をして動かす止水栓を開けると水がキッチンの混合栓に入り込んでいくような音がする。おそるおそる水栓を開けてみると、水が出た!この水が出た喜びは二度と忘れないと思う。配管が完成するまでトイレも使えないし、お茶も沸かせないし、手も洗えなかったのだが、水が必要なときにいつでも使えることは本当に快適だと感じた。洗濯機も使えるし、お湯も出るので風呂にも入れる。自分で水を引き込む工事をしてようやく暮らしの中での水の大切さをきちんと理解することができたような気がする。

相次ぐ不具合

しかし喜んだもつかの間、接着剤を塗るのを忘れていた箇所があり、当然ながら盛大に漏水したし、セットで買った止水栓とそれに接続されている直管の接続箇所からも漏れていた。おまけに、洗濯機側とキッチン側に分岐させるために使ったチーズと呼ばれるT型のパーツのところでも…。セット商品でねじが付いていてねじの中にパッキンが付いていないものは一度外して自分でシールテープをつけないといけないものらしい。

気を取り直して全部修理し直し、再度ポンプを始動させてみたところ、あれ、出ない。。がっくりきてしまったが、ここはこらえてひとつずつ原因を探っていくことに。どこに原因があるのかというのを探るために混合栓を外し、止水栓をゆるめてみると水が出た。ということは混合栓の初期不良だろうか?疑いながら混合栓の先についたフィルターを外してみると、工事のときに入り込んだパイプのカスなど、ゴミがたくさん詰まっていた。

これを洗い流してようやく水が使えると思いきや、今度はシンクの下が濡れている。水漏れ先を探してみると、どうやら排水トラップのまわりからのようだ。ゴムパッキンが劣化をしているのだろうか。ということでシンクの下にもぐりこんでネジを回すようにしてトラップを外す。手では固くて外せず、専用工具があるらしいが、このためだけに買うのも馬鹿らしいので、ひっかかりを壊さないようにドライバーを鑿のように使ってで少しずつ叩いていく。ただ、ある程度外したところでたたいてもネジとトラップが共回りしてしまって外せない。両足で固定しながらたたいたりしてみたりしたのだが、うまくいかず。せめてもうひとつ手があれば、と途方に暮れかけたが、ロープでぐるぐる巻きにして柱等に括り付けて叩くと、なんとか、ネジだけを回すことができた。外してみると、パッキンは劣化していたが、それよりもトラップのパッキンの下にあったステンレスが一部腐食してへこみができていて、それが水の通り道を作っていたため水漏れしていたようだ。この際シンクを新しくしてしまっても良かったのだが、新事務所の営業開始が5月1日で時間がないのでとりあえずは修理することに。エポキシ樹脂のボンドで穴を埋め、乾燥させてから仕上げ用やすりでやすって平らな面をつくる。苦労して外したトラップをまた苦労してつけるのも気が重いので、トラップは新しいものに交換した。外径が180mm、186mm、150mmなど、いろいろなサイズがあるのできちんと図面を見て合うものを選ぶ。今回選んだものはシンクの絞り段外径187ミリに対応する外径186mmのもの。シンクの穴に丸いゴムパッキンを置いて、シンクの下からネジのパーツを回して完成。手で回せるところまで回すだけで十分漏水しなかった。

何度も手戻りしながら時間はかかってしまったが、水が蛇口から出る仕組みとその素晴らしさを少し理解したのだった。

(2019.6.17追記)後日、水の出が悪くなり、日を追うごとに徐々に出が悪くなっていく。出が悪くなるということは、少しずつゴミが詰まって行っているということだろう。給湯器の電源を切って混合栓のレバーをお湯側にすると水は出るので不便を感じずそのままにしていたのだが、いよいよ水側がポタポタとしか出ない。そこでようやく重い腰をあげてシンクの下に潜り込んで配管を外してみると、逆止弁に接着剤の塊が詰まっていたのと、混合栓との接続部に小さな芋虫みたいなゴミが詰まっていた。それらを取り除いて接続しなおすと、これまで見たことのない水量で水が出始め、詰まっていたゴミも大量に押し出されてきた。こうしてようやく工事の不良をすべて取り除くことができたのだった。

(2019.10.27追記)落ち葉のカスのようなものがどんどん詰まってきて後日、さらに水の出が悪くなる。そこで、近所の水道屋さんの応援に行ったついでにアドバイスを受け、ポンプの箇所に砂取器を付けた。単純にフィルターがついていて、ごみが詰まったらフタを開けてフィルターを取り出して掃除すれば良いというとてもアナログなものらしい。本当はポンプの揚水側に設置するものらしいが、施工性やメンテナンスのことを考え、吐出側の止水弁のすぐ先にあるところに設置した。よりクリーンな水を手に入れ、またひとつ生活が快適に。

ひょんなご縁から理想的な環境の古民家に出会ったデザイナーが、その日々の中で身につけた業を、日々の暮らしとともにアーカイブして行くウェブサイト。100の業が溜まったら、cotocotoというタイトルで誌面化予定。

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