解体をするのに建具を外していっていたのだが、一枚だけほとんど建具が動かず外せない。そこで、ジャッキアップの出番だ。
ジャッキアップと言えば車のタイヤ交換などで使うジャッキを使って車を持ち上げることをイメージする人が多いと思うが、家も少しであれば持ち上げることができる。建築用ジャッキは車用とは少し違う形をしていて3tなり5t、20t持ち上げるものもあるのだが、基本的な機能は同じで、車に付属しているジャッキでもだいたい1tはあがるようになっているので平屋の家の鴨居程度であればそれでも良い。今回は2tのものがあったのでそれで代用した。
基本は水平垂直
ジャッキを水平に置き、そのへんにある適当な長さの廃材をなるべく垂直に突き上げて、柱と柱の間の中央付近でジャッキアップしていく。ジャッキアップする重量がそれほど重くはないので今回は本当に適当にあった板を使ったが、板はすぐに割れてしまって危ないので、使う廃材は、例えば60mm x 60mm以上など、できればある程度の太さのまっすぐな角材が良い。鴨居に傷を付けたくないときは、突き当てる先とジャッキの下に土台として平らな板を置いておくとよい。重力に抗うために水平に据えて垂直に上げていくのはジャッキアップでも建築でも基本であり、そういうこと経験を重ねて行くと重力に抗う感覚が身に付いて行くように思う。重力はデザイナーだろうと、農民だろうと、カエルだろうと、りんごだろうと、地球上に暮らす限り皆が離れることの出来ない万物の原理だ。そういえば「垂直に柱を立てることができるのは人間だけだ」と、イギリスのストーンヘンジの図版を出して垂直な柱の尊さを大学時代の先生が説いていたような気がする。
ジャッキは田舎では車が一人1台以上あるので、タイヤ交換は自分でする人も多いが、動かなくなった建具を外す時などにも使えるのでぜひ。