Tip64: アースをとる

アースとは地球のことで、電気工事においては電気の逃げ場を言う。電子レンジや洗濯機等のコンセントに差し込むプラグによく緑の線があって、その線がアース線である。コンセントにアース端子がついていなかったり、ついていてもネジ締めが必要なタイプだったり、緑の線を剥かないといけないタイプだったりすると億劫でそのままに放置している人も多いかもしれない。それでもほとんどが問題なく器具が使えるのだ。では、アースとはいったい何のためにあるのだろう。

アース工事の意味

アース工事とは機器の故障などによって電気が漏れてしまい、その漏れた電気で人が感電したり機器が損傷したり、下手すると火災などになったりするのを防ぐため、漏れた電気をアース、日本語で地球、つまり地面に逃してやるための工事だ。そういう概念の話をすると少し難しいかもしれないが、具体的に何をするかと言えば地中深くに金属の棒や板を埋めるだけの作業だ。その金属と分電盤をつなぎ、分電盤から各コンセントなどのアース端子と繋ぐことで、アースの必要な器具ごとに地面にアースを設置しなくても家全体のアースを分電盤に一度集約してから地中に逃すようにできる。

アースの電極をどこに接地するか考えた

金属棒や板など電極の設置場所はなるべく電気の流れやすそうな地面がよく、例えば家の北側など、湿気が多いところ。また、岩盤でなく粘土質なところが良い。屋外にアース線が露出して配線するのは嫌だったので屋内の北側の土を掘り返してみて、アース棒を打ち込みやすそうな場所を探すとちょうどトイレの床下辺りが良さそうだった。

深く埋めれば埋めるほど良いのでとりあえず穴を掘れるだけ掘ってみた。住宅の場合はD種接地工事と言って、接地工事の中で一番基準の緩い工事で良く、アースの深さの規定はないが、より厳しいA種とB種の接地工事では地中75cm以下に埋めるという規定があったのでとりあえず75cm程度を目安にした。

アース棒はどの程度の長さのものがいくついるか値を測ってみるまでまったく想像できなかったが、とりあえず連結もできる長さ1.5m、直径1cmの銅の棒を1本用意した。掘った穴の底に棒を差したら電動ハンマーの先にアース打ち込み用アダプターを着けて沈めていく。穴の深さが75cmで棒が1.5mなら棒は地下2.25mにまで達すると考えるとなかなか深いが、もっと深くすることもよくあるらしい。

先ほどアース工事は棒を地面に埋めるだけの作業だと言ったが、もちろん埋めるだけで工事が完了するわけはなく、埋めてきちんと電気が地面に逃げるようになっているか確認することが重要で、地面の電気抵抗を計測して基準値以内であることを確認できたら完了となる。この値を接地抵抗値と言うのだが、逆に言えばこの値が基準値に満たなければどれだけアース棒を地面に打ち込んだとしても工事が完了とならない。地面の電気抵抗が小さいと電流が地面に流れてくれるので、接地抵抗値は値が小さいほど良い。

とりあえず地面に1mほどアース棒が沈んだら一度接地抵抗値を測ってみた。まったく基準値に達していなければ打ち込み場所を変えるか、アース棒をさらに長く深くするか、電極を複数埋め込むか、今後の工事方針を考える必要があると思ったためだ。

接地抵抗値を計測する

アース棒を埋め込んだ場所から10m先に杭を刺して黄色の端子を設置。さらに10m先に杭を刺して赤色の端子を設置。アース棒にも端子を接続し、各ケーブルを接地抵抗計につないだら機器の電源を入れて計測。

計測結果は101.3Ω。住宅に必要な値はブレーカーをつけるなら500Ω以下、つけないなら100Ω以下なので、これでも合格ラインだ。さらに5cmほど沈めてみると96.9Ω。ブレーカーを付けない場合の基準もクリア。このまま予定通りの深さに沈めてみると84.2Ω。棒を深く埋めるほどどんどん値が小さくなっていく。

雨か晴れかによっても値が違うだろうから念のためもう1本棒を連結させるか迷ったが、自邸だし基準を十分クリアできているのでOKとしておこう。連結用アース棒の頭に取り付けていた打ち込み用の頭を外し、リード線付き端子を軽く打ち込んで、リード線とアース線を接続する。アース線の太さは分電盤容量75ATx0.052=3.9<8sqより8sqとする。リード線は14sqだったので径の異なるより線同士を繋ぐ時に使うPスリーブを使い、裸圧着端子圧着工具で圧着した。圧着するときは工具のハンドルを最大に開いた状態から一番閉じた状態まで閉めないといけないが、堀った穴が狭いのでなかなか作業がしづらい。アース線の反対側を分電盤につなげばアース工事の完了。

電気はどこからきてどこに流れてく?

アース工事は電気工事士でないとできない工事だ。ただ、電気がどこからどのようにきてどう使われたり使われなかったり、電気の流れを意識することは暮らしを考えることにもつながるのではなかろうか。ますます電気とは切り離せない近年において、電気の流れがどう人間の暮らしに作用し、それをどんなふうに良くしているのかが見えるようになれば、電気の使い方を再考できたり、機器のデザインはどうあるべきかを考えてみたりできるかもしれない。

ひょんなご縁から理想的な環境の古民家に出会ったデザイナーが、その日々の中で身につけた業を、日々の暮らしとともにアーカイブして行くウェブサイト。100の業が溜まったら、cotocotoというタイトルで誌面化予定。

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