Tip67: 型枠を組む

コンクリートを思い通りの形にするために、コンクリートを流しても流れ出ないような枠をつくる。まずは型枠用のコンパネを二等分し、基礎の立ち上がりの側面を抑えるための壁をつくっていく。今回の増設する基礎は見えるところではないため表面の仕上がどうなっても良いのだが、普通の型枠用コンパネとオレンジの塗装コンパネが同じ値段だったので、コンクリートが固まってから型枠を外しやすいように剥離剤などを塗る手間のない塗装コンパネを買った。価格はコロナ前の倍以上なので余らないように計算してから購入。

板一枚だけで型枠を作る事はできなくはないが、強度が弱いし枠の固定が難しいため、パネルの外周に角材を打っていく。角材はちょうど解体してきたときに出た廃材があったため、釘が刺さったまま再利用した。加工は大工の造作ほどシビアなものではないので釘を多少引っ掛けてしまっても良いように、倉庫にあった年代物の丸鋸を使った。重かったりブレーキが付いていなかったりいろいろ真っすぐではなかったりするが、それでも1mm以下の精度で直線が切れるのでとても好きな道具だ。ただ、キックバックして本職の大工さんが指を落としてしまったという話を良く聞く道具でもあるので使い方をしっかり学んでから十分に注意をして使いたい。桟木を釘で固定したら、パネルの完成。

コンクリートを枠に入れたときの圧力で型枠が開かないように枠を引っぱるセパレーター、通称セパと呼ばれる鉄のパーツを型枠下部にだいたい600mm程度の間隔で入れていく。今回はホームセンターで手頃に入手できて組み立ても不要なカップセパとセパ用座金というものを使用。幅は壁厚が100mm用の他、120、150、180、200、250などがあるが、150mmのものを使った。両側の型枠の同じ位置に9mmの穴を開け、まずは片方の型枠に座金で固定。カップセパには羽がついていて、そちらの方を先に差し込む穴にぐっと押し込めばある程度固定されるようになっている。固定し終わったら反対側の型枠と合体させていく。

合体できたら既存基礎や土台にも適宜ビスを打ち、枠が動かないように固定。鉄筋が左右に振れないようにセパと鉄筋も適宜結束。型枠の上部はセパを使わず木の切れ端を上から打って開き止めとし、コンクリートを流す用の一輪車の幅程度の間隔で固定した。さらに地面に何箇所か杭を打ち込み、型枠が水平方向にずれないよう、鉛直方向の垂直が狂わないようにがっちり固定。杭ももちろん廃材の先を尖らせて制作。角材も新品で買うとそこそこの値段になるのでこういう仕上がりに関係のないところできっちり使おう。

最後にアンカーボルトという金具を固定する。これを基礎に埋め込み、土台と基礎を緊結し、地震などの際の引き抜きの力に抵抗できるようにする。アンカーボルトの位置は継手や柱の位置から200mm以内かつ2.7m以内の間隔で入れるような決まりがあり、案外多くの数が必要だ。設計したの位置の型枠に木を固定し、アンカーボルトと同じ太さの12mmの穴をあけ、木でスペーサーを作って、所定の高さまでネジ締めながらレーザーレベラーで高さを微調整。鉄筋とアンカーボルトを結束線で結べば完成。

今回、基礎の仕上がりに関わってくる板材以外は解体に出た釘だらけで半分野ざらしにしていた焼却処分寸前の廃材を使ったが、それをほとんど使い切ることができてすっきりした。型枠を作ると、ちょっとした大工仕事ができるようになるばかりでなく、廃材も宝の山に見えるようになるかもしれない。ただ、その視点が度を超えてガラクタ収集にならないよう、整理整頓には気をつけたい。

基礎の型枠を再利用して給湯器台の型枠も作った

ひょんなご縁から理想的な環境の古民家に出会ったデザイナーが、その日々の中で身につけた業を、日々の暮らしとともにアーカイブして行くウェブサイト。100の業が溜まったら、cotocotoというタイトルで誌面化予定。

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