最近は蛍光灯にもLEDが登場して、何もかもがLED化している。LEDは消費電力が小さく、電気代が安くなるので家の電球をLEDに付け替えている人も多いと思う。
ただし、蛍光灯の場合はと同じように電球を買って来てつけるだけではうまくいかないこともあるので注意が必要だ。白熱灯をLEDに替える時は口径だけに注意していれば良かったのだが、それ以外にも注意することがあって、間違った接続をすると火事になることもあるので、蛍光灯をLED化する前にはきちんと蛍光灯とLED蛍光灯の種類と仕組みについて知っておくと良いと思う。
私も適当にソケットを買って来て工事不要タイプというLEDをつっこんで家庭用電源と接続すればつくだろうと何も考えず購入したのだが、つかず、蛍光灯と直管型LEDのことをきちんと学ぶことになった。電気工事士試験では具体的な器具の種類等は学ばないので、実際の器具を見ながら接続方法や器具の特性等を学んでいく。
蛍光灯をLED化する前に知っておきたいこと
蛍光灯にはグロースターター式、ラピッドスターター式、インバーター式がある。すべて安定器と呼ばれるパーツを通してから電球に電気を送り、放電させて光らせている。家庭でよくあるグロースターター式はそれに加えてグロー球にも接続されていて、蛍光灯のカバーを開けると配線だらけ。素人にはまず配線が無理で、蛍光灯は基本的にセットで買うもの、難しい印象を持っている人もいると思う。
対してLED照明器具はもう少しシンプルだ。家庭の配線に流れる交流電流を直流に変換して光らせるので、その変換する電源ユニットが必要だ。ややこしい機構が必要なのだと思うかもしれないが、パソコンやゲーム機などの電源ケーブルについている重くて大きいACアダプターと同じものだと言えばイメージしやすいかもしれない。
LED電球はその電源ユニット内蔵タイプのものと電源ユニットを内蔵していないタイプのものがある。ほとんどは内蔵タイプだが、当然、内蔵していないタイプであれば照明器具とは別に電源ユニットを配線しなければならないし、電源ユニット外付けの照明器具の場合はそのタイプの電球を買う必要がある。
LEDは電源ユニット、蛍光灯なら安定器が必要で、それぞれ別のものなので通常は蛍光灯の器具をLED化するためには工事が必要になってくるのだが、それは面倒なので蛍光灯のままでいいと思うだろう。そこで登場するのが工事不要タイプというもの。安定器を通してきた電流を使って点灯させるタイプのLEDで、蛍光灯の代わりにそのまま使えるが、今ついている安定器の種類に合わせて買う必要がある。LED蛍光灯には本来安定器は不要なのだが、LED化して省エネにしたいが、配線を触らないでこれまでの蛍光灯器具にそのまま付けたいという市場の需要を経て開発されたものが広まったのだろう。便利なので広く使われているが、本来不要な安定器を通すと無駄に電力を消費するし、安定器の寿命がくれば交換しなければ危険なので、工事を自分でできる電気工事士としては選択すべきでないタイプのLEDだ。蛍光灯を安定器を通さずに給電できるよう、バイパス工事をすれば安定器の寿命や無駄な電力消費は関係ないのだが、免許が必要なので悩ましい。
さらに、配線方法は片側給電と両側給電方式とがあり、それに合わせた電球を選ぶことも大事だ。特に、片側給電式で配線した器具に両側給電式の電球を使うとショートを起こして火花が散るし器具も破損、最悪の場合火事になるので、注意が必要だ。ソケットに合うか口径の規格を確認も忘れずに。
以上の知識を持って器具の選定を行うが、以上を調べるのに時間がかかった。ここまでくれば実際の配線作業はそれほど難しくなく、蛍光灯器具から出ているより線と電源から来る単心の線を専用のコネクターやリングスリーブで接続するだけだ。リングスリーブ圧着用の工具はその作業以外に使うことがない専用工具だが、電気工事士の実技試験で使うので免許を持っていれば必ず持っている道具だ。蛍光灯のより線と単心の線をそのまま圧着すると細すぎるので、不要な単心の線を1本かませるなどしても良い。