Tip49: 経理をする

納税は国民の義務であり、個人で収入を得ているなら収入を国に申告するために自分で経理を行うか人に頼むかは必須となる。ある程度事業規模が大きくなってくれば人に頼まざるを得なくなるだろうが、私は独立してから13年間、経理も全て自分で行っている。経理と言っても、領収証や通帳とカードの明細を会計ソフトに入力していくだけで家計簿と要領は同じだ。会計ソフトさえあれば素人が自分で経理をするのもとても簡単になっていて、ソフトが勝手に作ってくれた貸借対照表を添付して確定申告をすれば65万円の控除がもらえるのでとても大きい。年末が近づいてきたこの時期に一度経理を全て入力しておいて、年末年始の支出を翌年に回すか今年にするのがお得かを考えるのもいつの間にかルーティンのようになった。 

13年ぶりに新しくした会計ソフトの機能は基本的には変わらないが、入力がとても楽になっている

先日、会計ソフトとWindowsのパソコンを一新した。移行についてはここ数年ずっと考えていたのだが、会計に使っている15年前のWindows XPも動作が怪しくなってきたのもあるし、車を買ったのでこれまで避けてきた減価償却が明らかに必要だろうし、償却は数年に渡って計算するからその途中でソフトが変わるのもなんとなく計算が難しそうだというイメージがあったこともあったためこのタイミングだと考えた。

これまではソリマチから出ている「会計王」という法人の会計ができるものを使っていたが、弥生会計から出ている個人用の「やよいの青色申告」というものにした。どちらも会計ソフトと言えばまず挙がる最大手2社。データの互換性もややこしそうだったが会社も乗り変えたのは、会計王のウェブサイトのデザインが古いしユーザーインターフェイスがあまり好きになれなかったためだ。どちらも同じような機能と価格だが、時代に沿ったアップデートをしていこうという会社の姿勢を感じられる方が良い。また、ソフトの範疇も法人会計もできるものから個人用のものに。これまで将来的なことを考えて機能がたくさんついているものを選んでいたが、必要十分を見つけていくことが心地よくなった。過去データの移行もせずにとりあえず汎用性のあるデータ形式で書き出しておいて、緊急時に呼び出せたら十分だ。いつでもどこでも入力できるクラウド型も便利そうだが、重要な会計データを他人のサーバーに入れるのにはまだ抵抗があるのでクラウド型は避けた。

いよいよ入力していくが、会計ソフトなのでいくら13年ぶりだとしても基本的な機能は変わっていない。ただ、これまで手入力をしていた銀行口座やカード決済分のお金が自動で取り込まれ、1年分の領収証や明細をひとつずつ入力していかなくても良くなっていて、それだけで十分会計ソフトを新しくした元はとれた。当初は無料だが翌年から有料になるサポートパック的なプランへの加入をしなくても会員登録だけで済むのでソフト購入時の懸念も払拭された。

12年間はまっていた会計ソフトの落とし穴

会計ソフトに入力すれば、確定申告に必要な書類がすべて自動的に出来上がるのはとても楽である反面、落とし穴にもはまっていたことに気付いた。

12年使っていた経理ソフトには「什器備品」、「備品消耗品」という項目があり、何も考えずに入力していたのだが、このふたつには大きな違いがある。「備品消耗品」は経費だが、実は「什器備品」としたものは経費にならずに固定資産にこの会計ソフトでは振り分けられるようになっていた。固定資産は、10万円以上の備品のことで、償却といって、何年かに分割して経費にするもののことを言う。逆に言えば、償却の計算をしないと経費にならないものだ。経費になると収入が減るため、税金を決めるための基準の所得が減り、税金や保険料も下がる。

このように大きな違いがあるのだが、経理ソフトで見れば同じ入力欄にあるため、例えばホッチキスの本体はずっと使うし「什器備品」で、ホッチキスの芯は「備品消耗品」というように長く使うなら什器かなと軽い気持ちで入力ししまっていて、気がつけば「什器備品」の金額は経費にしないまま資産として500万円ほど積もってしまっていた。正しくは、10万円以下は全て「備品消耗品」で全て経費、それ以上の車などは買って経費になるのでなく、それを固定資産台帳に登録すれば自動的に減価償却の項目が帳簿に入り、そこではじめて経費になるのだった。経理ソフトは誰でも簡単に税金の申告ができてしまうが故の落とし穴にはまっていた。

これまで経費にできなかった資産の行方

経理上の誤りをクリアにしようと税務署に相談してみたところ、5年以内であれば遡って申告すれば余分に納めた税金が戻ってくるが、それ以前は戻らず、どのみち宙に浮いてしまって貸借対照表から永久に消えることのない固定資産が積み上がるらしい。それを綺麗にしたい場合は12年分の経理をやり直すか、税金が戻って来なくても良ければ今期の分から資産をなくすよう期首残高を調整してしまって良いとのことだった。費用対効果を考えると1週間経理にかかっても元がとれるだろうが、あまりにも骨が折れるしお金以外に何も生み出さない行為はどうもやる気がしないので、これまで過剰に納めた税金は放棄することにした。よく言われる、税金については知らないと損をすることを私も体現したのだった。

経理を自分ですることで、仕事が楽しくなるかもしれない

自分で行うことで、毎月の売り上げやお金の流れをおおよそ把握することができ、具体的に経営方法について考えることができるし、そこからどういうふうに税金が決まって、保険料がどうなるかも理解できる。今回のように多少の無知で損をすることもあるが、長く見れば知れば知るほど徳になるし、私の場合は自分の暮らしに心地よい消費と仕事のバランスを把握するために重要なプロセスとなっている。どのぐらい仕事をすればどういう暮らしができるのか。それを意識するとお金を稼ぐために働くのでなく、楽しく暮らすために必要なことをするという意識になるから仕事に対する意識も変わるのではないかと思う。どういう暮らしがしたいからどのように働くのかをデザインするためであれば、ただの作業になりがちな経理をするプロセスすらも楽しくなるかもしれない。

ひょんなご縁から理想的な環境の古民家に出会ったデザイナーが、その日々の中で身につけた業を、日々の暮らしとともにアーカイブして行くウェブサイト。100の業が溜まったら、cotocotoというタイトルで誌面化予定。

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