Tip5: くぎを抜く

設計が終わったら不要な床壁天井を解体していく。ただの解体であればチェーンソーや重機を使ってダイナミックに壊していけば良いが、内装リフォームなのでそういうわけにはいかない。そのまま残して使う部材や配線もあるので、それらの箇所を中心に傷つけないように丁寧に釘を抜いて行く。プリント合板と呼ばれる、薄いベニヤ板に木目シールを貼った板、あるいは木目を直接印刷した板の壁はきれいに剥がせないし、そもそも好きではないのでそこだけは遠慮なく大きなハンマーや丸鋸でいかせていただく。その合板はよくできていて素人が見ると、無垢の板に見えるのだが、偽の素材を見せかけるハリボテのつくりは見栄のような感じがしてどうにも好きになれない。グラフィックデザインの仕事をしているのにプリントを嫌いというのもなんだが。

話はそれたが、とにかく釘を抜いて抜き回った。使う道具はアナログな金槌と釘抜きが基本で、長年形が変わらないロングライフデザインだ。釘を抜く上で大事なのは小学校で習う、てこの原理だ。釘で接合されている部材と釘の間に金槌で釘抜きをたたき入れたところが作用点となり、下地がしっかりした位置に釘抜きの曲がった部分、支点を据え、力点に力を入れる。力点が支点から離れているほど作用点に大きな力を作用させることができる。支点の部分の木はへこむので、残す柱の釘を抜く時などは傷つけないように支点の下にいらない木を滑り込ませると良い。文字で説明すると分かりづらいが、実際に作業を始めるとすぐに体が理解するはずだ。

分解して考える

釘を抜いていくだけの単純作業ではあるのだが、部材を分解していきながら、この部材はここを外せば外れていくという見当をつけながら外していく。釘は力を伝達する接合部分の要であり、分解していくことを通して部材の組み合わせによる力の伝達を理解していき、部材の重さや大きさにより必要な強度の感覚が少しずつ身についていくので、それはまた部材を組み合わせてものを作っていく時に役立つのだ。デザインを考える時も、分解することは大事だ。

ひょんなご縁から理想的な環境の古民家に出会ったデザイナーが、その日々の中で身につけた業を、日々の暮らしとともにアーカイブして行くウェブサイト。100の業が溜まったら、cotocotoというタイトルで誌面化予定。

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