ひたすら壊していく解体作業がだいたい終わり、これからいよいよ作っていく。
近所の友人に相談してみると、荷重がかからない間仕切り壁の基礎程度であればブロックで良いだろうとのことで、既存部分と同じようにブロックで作ることにした。今後、大規模改修することがあれば既存のブロック基礎部分と一緒に耐震補強をすることにしよう。
まずは基礎の位置や地面の下に埋まっている給水管と配水管を通す位置の墨出し。グラインダーで削ったり鉛筆で地面に直接印をつけていく。図面の中で最もわかりやすい縮尺は当然原寸図面で、大工さんも難しいところは原寸図を描いたりする。言わば、平面図を1/1で描いていくのだが、しばらくにらめっこしないといけない紙の上の平面図と比べてイメージがよく湧く。
そうして作業をしていたら近所の友人がふらっと様子を見に来てそのまま手伝ってくれた。
まずは地面を斫(はつ)り、地面をある程度水平にならし、たたいて締めて、砕石をひき、釘等を土に差して水平になるように印を付け、ブロックを載せるためのベースコンクリートを打つ。基礎づくりを経験するまではそれを図面でしか見たことはなかったのだが、基礎まわりの図面を見る限りはものすごく深い穴や分厚い壁や複雑な鉄筋、ものすごい量のコンクリートなどが必要な印象があるし、鉄や石を扱うので相当な専門知識や機材が必要に感じ、なかなかその経験をすることはなかった。しかし、やってみると案外単純なもので、要は固い地盤をつくって木造なら家の土台となる木をのせる台をつくっていくだけで、機材がなくても案外単純な道具を使った手作業で代用できることは多かったりする。もちろん専門知識や道具がある程度必要ではあるが、基本的に田舎の家には一式揃っていたりし、私の家にも友人の家にも実際揃っていた。モルタルはセメント1、砂3、コンクリートはセメント1、砂3、砂利6などを大きな入れ物で混ぜると仕上がる。配合は大きな面積を打つ時はしっかりしておいた方が良いが、DIY程度であれば目分量で袋に入れて足りなければまた入れるなど、ある程度ざっくりでも良いのでやってみると良い。
ベースコンクリートが固まった後は、モルタルをブロックの下に敷いて水平を見ながらブロックを一個ずつ置き、鉄筋とアンカーボルトを入れ、ブロックの穴にモルタルを詰めていく。ブロックを積むだけなので、簡単だと思うかもしれないが、この水平垂直が難しく、初めて作業するのであれば一個積むだけで10分以上かかるだろう。本職の方はそれを1分で置いてったりするのでとてもカッコいい。この作業を経験した方は、Youtubeで職人がブロックを積む動画を見てしまうに違いない。
僕らはみんな土の上に生きている。
基礎作り作業を経験して印象的だったのは、コンクリートを斫ると下に土があるということだった。当たり前のことではあるのだが、都会に行くと土をほとんど見ることはない。東京では土を触ることがないと友人も言っていたし、そういえば私も学生時代は滋賀県の住宅が多く並ぶところに住んでいたが、そこでさえ触れる機会はなかった。どんな場所でも、地面を掘っていけばほぼ必ず土がある。当たり前のことで、田舎に住んでいて毎日土を踏んでいるにもかかわらずそれを忘れていて、なんだかはっとしたのだった。