Tip53: トレーラーを取り付ける

発想広がる牽引のススメ

急遽、入用となり、中古トレーラーを購入することにした。トレーラーといえば大きなトラックをイメージしするかもしれないが、動力を備えた車に牽引されて動く車のことで、小さいものもある。広義にはシンデレラが乗る馬に引かれるカボチャも、歩いて世界一周する人が引く荷物を載せるリヤカーもトレーラーである。バイクやボートを運ぶのはもちろん、普通の乗用車の後ろにキャンピングトレーラーを引けばキャンピングカーになるし、軽トラックのの後ろに軽トラックの荷台と同じサイズのカゴをもうひとつ取り付けたら2倍の荷物を一度に運ぶことができたりする。用途に応じて付け替えれば新しい車を買うほどの費用を使わずに、さまざまな用途に使える車に早変わりする。アメリカでは台車の上に家を建て、それを牽引していろんな土地を巡って暮らす人がたくさんいるイメージをなんとなく抱いていて、それはどこか遠い世界の話だと思っていたが、リモートワークがポピュラーとなり、数年前より飛躍的に土地から自由になっている今だからこそ、日本でもとても想像しやすい世界になったように思う。普通の車が作業にも暮らしにもサイズと重ささえクリアすれば割と自由に拡張でき、発想は無限大だ。もちろんそれ自体は車と同じなので自賠責保険や、車検が必要だが、軽ならば税金も安いし、そのほとんどは実は免許なしで牽引することができる。車両総重量が750kg以下は免許が不要らしい。田舎で暮らしていてあまり持っている人を見たことがないのだが、実は駐車場代が必要のない田舎ととても相性が良いと思う。必要に応じて付け替えれば最小の家にすらなるというのはこの世に存在する最強のガジェットなのではなかろうか。

牽引をする前に必要なパーツを取り付ける

トレーラーを車で牽引するためには連結できるように、車の後ろにヒッチメンバーというパーツを取りつける必要がある。手順としては取り付けパーツをボルトなどで固定するのと、車から配線をひっぱってきてトレーラーのコンセントをつなぐためのコンセントをつくる作業に分かれ、車屋さんに頼むと2〜4万円ほどかかるらしい。車を預けると結局1日仕事になるし、自分でやっても1日仕事ならそれくらいのことは自分でやりたい。ついでに引き取り予定のトレーラーが灯火不良で、そのまま牽引で引き取りにいくと整備不良で道路交通法違反のため現地で直せるようになりたかったのでそれ以上にやる価値があった。

まずはヒッチメンバーの取り付けから。説明書通りに車のパーツを外し、ボルトなどで取り付ける。これは説明書どおりにやれば良いのでそれほど難しくない。強いて言うなら10kg以上の鉄の塊なので、クランプで左に寄せたマフラーをよけながら設置位置に持ってきて、動かないように脚で支えながら、最初のねじを取り付ける作業がちょっと苦しかった。できれば二人作業が良い。

次に配線だが、100V以上を主に扱う電気工事士にとっては車の12Vの配線は楽勝だと思いきや、配線を見ても違和感があり、よく理解できない。というのも、車の配線はバッテリーからランプなどに届く線はたくさんある一方、電源に戻っていく線がランプなどからは出てはいるのだが、いつの間にか消えたりしているのだ。

車に戻り配線がない理由

結論から言えば、電気は車の金属のボディーを伝ってバッテリーのマイナス端子に戻っていくようになっていて、車の金属部分は全部がマイナス線と同じことらしい。配線は消えているのでなく、ボディーアースにつながり、車体を通じてマイナス端子まで戻っている。家の配線などをしているとアースは漏電した時に電気を大地に逃すのものだと思ってしまうが、車はそもそも地面とはゴムのタイヤで電気的につながっていないので家の配線で言うようなアースはされていない。車の配線のアースは家の配線と意味が異なり、車の配線で言うアースに繋ぐことは、バッテリーのマイナスに繋ぐのと同じことなのだ。

理由が分かったらあとは電気工事士なら難しくない。車のテールランプ付近に来ている配線から牽引車と連動したい信号を送っているプラス線はどれかを電気工事に使うテスターをあてて判別し、それを分岐させてヒッチメンバー側のコンセントにすれば良い。

新しく用意した線は7芯のVCTFケーブルの0.5sqの細さのもので、コンセント部分から車の下の他のテールランプ類の配線と同じ穴から車中にいれたところで5本の線を新しい線に分岐させる。内ばりを剥がしたら配線が出てきた。

連動して取り出したい信号は、スモールランプと連動するテールランプ、ブレーキランプ、右指示器、左指示器、バック時のライト、の5種類なので、それらの配線を探して分岐させ、それにアースの配線を追加してコネクターに取り付ける。リレーというパーツを取り付けると、電流を別のところから取り、既存の配線からは信号のみを検知するようにできて電流が安定するが、今回のトレーラーの電飾類がLEDで電力消費が小さいしなかなか高価なので使わずに、そのまま分岐させて並列回路とした。また別のトレーラーを買ったら考えよう。

テスターは直流のダイヤルに回し、プラス側の接点を調べたい接点に当て、マイナス側を車の金属部分やアース線などに当てる。キーをONのところまで回してバックに入れたとき、右ウインカーを入れたとき、左ウインカーに入れたとき、スモールランプをつけたとき、ブレーキを踏んだときに12Vを示すかどうかで信号を判別する。カプラーという接続するパーツの金属部分にテスターが入らない場合は配線を切らないとどの信号なのかわからないのだが、バンパー裏の配線を見ながらある程度何色の線がどの信号なのかアタリをつけておく。配線を切って繋ぎ直すという無駄な作業をしたくなかったのでこのアタリをつける作業が一番時間がかかった。参考に書いておくと、ジムニーJB64の場合、ブレーキは水色、左ウインカーはうす緑、右ウインカーは緑、バックは茶、スモールランプと連動するテールランプは赤だった。(赤は2本あり、もう一本は調べていないので何か分からない。)

コンセント側の配線だが、7ピンのよく見るコンセントの配列は決まっていて、上から時計回りに白(アース)、茶(スモール)、緑(右)、赤(ブレーキ)、黄(左)、黒(使わない)、真ん中が青(バック)。トレーラー側は反時計回りにその配列となる。

ギボシ端子をかしめる

配線は車によく使うギボシ端子を専用の工具を使ってかしめることで分岐し接続した。オスメスの端子があり、それらを状況に応じて外したり取り付けたりすることができる。メスを電源側、オスを電気が流れていく方向に使い、それらをそれぞれ2カ所を専用のペンチで圧着することで固定し、電気を通せるようにする。芯線をかしめる前に絶縁キャップを線に通しておくのは忘やすいので注意。まずは芯線に食い込む端子の先の方の圧着箇所をかしめる。このとき、圧着部が電工ペンチにぎりぎり入るサイズのもので軽くかしめ、1サイズ小さいもので強く握り込むときれいに仕上がる。もう一箇所はかしめた部分がビニル線に食い込むようにする。ジムニーの配線が0.2sqという予想外に細いサイズで、新しく用意した7芯ケーブルの配線が0.5sqなので普通のサイズのギボシ端子は0.5〜2.0sqしか対応しておらず専用の接続コネクターを使った方が良かったが、手元になく、無理矢理芯線を二重に折り込んでかしめた。

配線後、内ばりとバンパーを元に戻し、コンセントの端子にテスターを当ててウインカーを出したりバックに入れたりしてきちんと12Vが来ているか確認できたら完成!牽引することでモノを運んだり空間を運んだり、あるいは夢だって運べたりするかもしれない。土地から自由になって、発想を広げていこう。

バックは難しいのでしばらく特訓だ

ひょんなご縁から理想的な環境の古民家に出会ったデザイナーが、その日々の中で身につけた業を、日々の暮らしとともにアーカイブして行くウェブサイト。100の業が溜まったら、cotocotoというタイトルで誌面化予定。

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