Tip18: 家具を作る

GW明けの営業に備えようと、GWは家具づくりに明け暮れた。

理想的な環境を自分で実現できることを知る

私の大工とデザインの始まりは家具作りだ。高校生のときには都心にワンルームマンションを借りておしゃれに暮らす若者たちの部屋が載っている雑誌に憧れて、自分の部屋の一面に本棚を作ったのが始まりだったように記憶している。その時倉庫から工具を引っ張りだしてきて見よう見まねで作った棚は大したものではなかったが、自分の手からものが生み出される感動に打ちのめされた。自分にも思ったことを実現するための頭と手があることを知った。当時の感情をいまでこそ言語化できるが、何を学びたいのかもわからずとりあえず進学、就職へと向かう絶望感と、絶望を希望に変えられない自分の無力感に対抗する道具を手にした気分だった。ゴールが3km先なのか、42.195km先なのか、1万km先なのか、そもそも存在するのさえも分からないのにただ歩いているのは苦痛だ。自分のスタイルを持って暮らすことを憧れに終わらせず、手を伸ばせば届く方法を見つけた。

自分らしい暮らしを手にしていきたいというささやかな意思の現れから、家具をつくり、建築学科に入り、デザインの奥深さにのめり込み、家具作りの実践を繰り返していたらツリーハウスを建て、今は木を刻みながら古民家のリフォームをして自分らしく暮らして働いて、そんな今をとても気に入っている。だから私は家具が好きで、家具を作ることが好きで、それは言わば原点なのだ。

そんなわけで新事務所用に待望の家具作り。せっかくなので試作してみたかった案を試してみることに。

まずはスケッチを描いたりモデルを作ってみたりしてデザインを検討しつつ図面に起こして、一枚の板からどのように効率的に部材を切り出すかの割り付けが済んだらそれを(友人が)書き写していく。

書き写し終えたら墨どおりに曲線はジグソー、直線は丸鋸、端部は手のこ、というように使い分けながら部材を切断。切り欠き部分は鑿でおおまかに落としてから最後は手のこで削って仕上げいくことと、ジグソーは切り出す板の板目に逆らわない方向からゆっくり切っていくことがより綺麗に仕上げるポイント。

デザインは机を支える梁がクロスしている部分が一部地面に伸びてそのまま脚になるようにした。机ひとつにつき脚をふたつにしたため机ひとつでは立たないのだが、ふたつをくっつけたり、壁等で支えることで、机になる。タイトルをつけるのなら、森の小屋のための森の机。森で例えるのなら机の脚が木々の幹で、それが伸びていき天板の葉っぱを茂らせているイメージだ。強度がミリ単位の施工精度に依存し設置方法を選ぶデザインなので、一般にプロダクト化できるものではないのだが、この場所のためだけに作った机なのでそれもまあ良い。

3つ作るつもりが、1日ひとつしかできず、掃除もままならなかったので、とりあえず今週は断熱材に囲まれつつ営業開始。来週はパソコンをもう1台、置けるかな。

ひょんなご縁から理想的な環境の古民家に出会ったデザイナーが、その日々の中で身につけた業を、日々の暮らしとともにアーカイブして行くウェブサイト。100の業が溜まったら、cotocotoというタイトルで誌面化予定。

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2019年2月から4月まで、セルフビルドで古民家改修中。見学お手伝いは大歓迎!詳細は078-220-7211 (cott)またはこのメールフォームにてご連絡下さい。

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