石を搬出するのに石を割った。

搬出したいのは300kgくらいの大きな石で、Tip72: 吊るでやったようにチェーンブロックを使って動かせるが、狭くてチェーンブロックを吊っている足を立てながら搬出するトラックまで移動することができない。クレーン車を借りてくることもできるが、数万円の費用がかかるし慣れていないと危険な作業だ。そこで、石を手で運べるサイズに割って安全に搬出することにした。
Tip15: 石を切るでは石を切ったが、30cmの刃でも10cmほどしか切れない工具が多く、それより深く切りたい時は切っては刃が入るように切った周囲をはつる作業を繰り返せばなんとか切っていけるかもしれない。(今回の石は硬くてはつり機でもほとんど砕くことができなかったのだが。)ただ、大きい石を小さいサイズにしたいときは割るのが断然効率が良い。
石の割り方

大きな石を割るのには「セリ矢」という道具を使う。セリ矢とは要はクサビなのだが、ドリルで開けた穴にだんだん太くなっているクサビを複数打ち込むと割れる。
石は圧縮力には強いが引っ張りには弱いのでクサビが石を開こうとする力を複数かけて割っていくのだ。(この引っ張りに弱い特性を補助するためにコンクリートに鉄筋を入れて鉄筋コンクリートにしている。)
石にセリ矢を打ち込むための穴を開けるにはハンマードリルを使う。セリ矢の太さに合わせた径のキリを取り付け、セリ矢と同じくらいの深さの穴を開ける。(今回使ったセリ矢の下穴径は18mmで、近くにあるどこのホームセンターでも売っている最大サイズのものに合わせて選んだ。)
ハンマードリルは重く、両手で持てるような取手が付いているため強く押さえて作業をしてしまいがちだが、あまり強く押し付けないようにしないと、ドリルの先が摩擦で青焼けして超硬合金チップが割れたり機械を痛めたりしてしまうので注意する。ドリルの自重で押さえるくらいで回転させれば十分に穴が開く。
ドリルで開けた穴の中のゴミを取り、セリ矢を石を割る目と直角方向に力がかかるようにセットし、ハンマーで打ち込んでいく。割れなければセリ矢を追加していく。
大きな石が真っ二つに割れると結構気持ちいい。矢が5本くらい必要だろうかと思っていたが、石の目がうまく合っていたのか、セリ矢3本だけで真っ二つにすることができた。セリ矢は予備を入れて10本用意していたので十分すぎるが、一度打ち込むと石を割り切るまで回収困難ないので十分にあった方が安心して作業はできる。20kgずつくらい、15個ぐらいに分けるのに4時間ほどかかった。
ただ割る作業ではあったが、力ずくでなく、なるべく少ない労力で割るためには石の目に沿うことが大事だ。石を割り続けると石の目も読めるようになってくる。自然石を構造物として使うときも方向による強弱が見える。自然界を観察し、自然界の法則に無理に抗わず、いなすようにデザインを考えたいと思う。









