Tip94: 決算をする

法人を立ち上げて4期目の決算を終えた。初年度は税務署に立ち寄って提出する書類を教えてもらってなんとか済ませ、2期、3期、4期目もなんとなく同じ感じで済ませた感じだ。4度経験したが、慣れた感じにはまだなれない。

決算と言えばよく聞くのは決算セールとかだが、決算は実際に何をするのだろうか。

簡単に言えば個人の確定申告と同じで、会社の1年間のお金の流れを国や所在する自治体に報告し、それに基づいて計算された税金を支払うのだ。その期限は1年が終わってから2ヶ月以内で、うちの会社は8月末決算なので10月末までに会社の決算書類の提出と税金の支払いを行わないといけない。

会社の決算は個人の確定申告より書類は多いし面倒だが、自分でできないわけでもない。一度税務署に予約をして書き方を聞きにいけば、どの書類を提出すれば良いか教えてもらえるので、会計データの入力さえ済ませていれば、なんとかなるだろう。自分で行うことで、会社のお金の流れはもちろん、それ以外にもさまざまなことに詳しくなれる。

法人税の申告をする

決算で提出が必要な書類は会社の規模によってはかなり膨大となり、用意されている用紙の種類も膨大となる。まずどれを提出すれば良いのかかなり迷うので、初年度は税務署にそのことを尋ねた方が良いと思う。

個人事業規模の会社のうちが提出して欲しいと言われて出している書類が6種類で、別表1、別表4、別表5、別表7、法人事業概況説明書、財務諸表(会計ソフトより書き出し)となる。

それらの書類は会計ソフトで1年分の入力が完了し、決算書が準備ができたら作成していくが、紙よりe-Taxが計算が楽だし個人の確定申告で慣れているのでe-Taxを使う。まずはe-Taxのソフトをパソコンにダウンロード。(ブラウザ版サイトもあるが、個人の確定申告と違い、ブラウザ版サイトでは申請できないらしい。ただ、このソフトがmac非対応はもちろん、古臭いインターフェースで、毎年起動させるたびにアップデートボタンを押し、完了まで待つことを申告する種類ごとに(うちの場合11回)繰り返さないといけなかったり使いにくい。) 

決算書をもとに全ての書類で「作成完了」ボタンを押してステータスが完了となると、マイナンバーカード等で「署名」ができるようになり、その後「送信」ができるようになる。送信の際には利用者識別番号と暗証番号でログイン(法人はマイナンバーカードでログインできない)が求められ、送信すれば完了となる。

消費税の申告をする

次に、消費税の申告も同様に、消費税及び地方消費税の申告書、付表1-1、付表2-1を全て作成完了、署名、送信する。それぞれ書類ごとに数字が異なっていると警告が出て作成完了にならないのでその数字を他の書類と照らし合わせるのが、法人税に比べて難しかった。具体的に言うと、課税標準額に対する消費税から課税仕入れ等にかかる消費税額等を控除した税額に100円未満の端数があるときは切り捨てるというルールがあるために、書類間での数字が違ってエラーが出ていたのだった。

なお、消費税はこれまで書類を作成完了してようやくいくらか分かっていたのだが、自身で書類を作成してみることでこの額を事前に想像できるようになった。うちではなるべく法人税がかからないような運営をしているが、法人税のことを気にしてぎりぎり赤字の運営にしていても消費税を結構取られる。取られるというより余分に預かった分を納めるということなのだが、会社の口座からがっつり払うことになるので気持ち的には取られているように感じ、決算期にはその分の余裕を見込んだ資金繰りが必要となる。支払う消費税額はざっくり(「売り上げ」でもらった消費税)-(「経費」で買ったものにかかった消費税)となるが、経費のうち会社が払った給与や役員報酬、社会保険料分は消費税を含んで払っていないため、売り上げ-経費がほぼ0、トントンの運営のときに会社が払った給料や役員報酬と社会保険料の合計から10%くらいは消費税で取られると考えておくと資金繰りに役立つと思う。

納付する

それぞれ申告が完了して税額が決定すると、最後に支払いだが、同じくe-Taxのソフトで「納付情報登録依頼」を支払う税金ごとに行う。依頼後、すぐにメッセージボックスに届いたメッセージが届くので、書かれた内容に従って納付を行う。消費税は地方消費税分も一括で支払いとなる。

地方税の申告と納付をする

国税の手続きが完了したら地方税の手続きに移る。次は所在地の法人市町村民税、法人事業税だが、地方税はeLTaxというまた別のソフトをダウンロードして手続きを行う。eLTaxでも毎年アップデートを求められるが、e-Taxと違って一括で行ってくれるのでいくらかは使いやすいと思った。

e-Taxと同じように決算書を見ながら県民税、市民税、法人事業税それぞれについて同じような申告書を「作成」し、「署名」、「送信」する。それぞれ「納付情報発行依頼」をし、それぞれ「納付」をすれば完了。

法人化で発生するその他の事務手続き

なお、個人のときは確定申告だけしておけばよかったのだが、法人はそれ以外にも発生する事務がかなり多くなる。とりあえず届いた書類を読んで、手続きをしていくだけを数年続けてきたが、ようやく全体像がつかめてきた。

  • 決算日から2ヶ月以内に決算=法人の確定申告を行う。やり方は先述のとおり。法人税や法人住民税、法人事業税、消費税を払う。
  • 7月1~10日までに年金事務所に算定基礎届を提出。電子申請の場合、社会保険届書作成プログラムをダウンロードし、書類を作成し、送信。このプログラムもまたユーザーインターフェースが古臭く、作成されるファイルも複数に分けられ、返戻があった場合、ダウンロードしたデータもうまく開けなかったりと、かなり使いにくい。
  • 10〜11月に健康保険被扶養者資格再確認書類を年金事務所に提出。送られてくる書類に記入し、返送するだけ。
  • 12月の給料日あたりまでに年末調整を行う。具体的には11月頃給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を従業員に書いてもらい、毎月天引きした所得税(=源泉徴収)と、本来支払うべき所得税の金額を調整し、確定させる。源泉徴収票を12月の給与支払い時に従業員に配布。それをもとに1月末までに給与支払い報告書と源泉徴収等の法定調書を税務署と市町村に提出。
  • 3月分の給与支払日までに社会保険料を確認。3月分(4月納付分)より社会保険料が改訂されて微妙に値上がりすることが多いため、毎月役員報酬から社会保険料を天引きし、定額自動振込にしている場合はその金額変更手続きを行う。
  • その他、会社によっては中間申告=半年分の決算(前年度の法人税額が20万円、消費税は48万円を超えたとき)もしないといけない場合もあるし、固定資産がある場合はその申告などもある。たまに郵便で届く経済センサス等のアンケートに回答したりするのも必須らしい。また、営業電話も増えるのでその対応も面倒。

ひょんなご縁から理想的な環境の古民家に出会ったデザイナーが、その日々の中で身につけた業を、日々の暮らしとともにアーカイブして行くウェブサイト。100の業が溜まったら、cotocotoというタイトルで誌面化予定。

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