Tip19: HDD交換

巷では10連休のGWが開ける前には仕事道具のメンテナンスをした。GWはほとんど大工仕事をしていたので休み感はないのだが、うちはカレンダー通りの休日にしてきちんとメンテナンス期間を設けるようにしている。メンテナンスとは、自分自身の体調のメンテナンスはもちろん、仕事環境のメンテンンスも含む。そう言ってはみるが、結局農作業や消防団など村の用事が入って来たり、その用事がない場合も仕事時間ではやりきれなかった仕事のフォローや、週明けからのスケジュールが不安な仕事を早めにスタートしていることも多いので、そのバランスはまだまだ考えなければならないのだが。

さて、仕事に入る前にきちんとメンテナンスをすると、「さぁ、やるか」という気になってくる。この仕事とは様々ではあるが、今回の場合で言えば私の本業であり、その仕事道具と言えば、筆記用具、そしてパソコンである。連休前にパソコンが作業中急に止まり、起動しなくなって放っていたものがあったのだが、そのHDD交換をした。(正確に言えば、SSDも安くなったのでついでに早くしてやろうと、HDDではなくSSDに交換した。)これも現代の百姓の業としておこう。

普段私がメインに使っているコンピューターは4台あって、macのデスクトップ機と、画面が大きくスペックも高いラップトップと持ち運び用のコンパクトなmac、windowsを用途によって使い分けている。学生時代と独立当初のことを考えると、昔はそれぞれ4年に一度、つまりほとんど毎年コンピューターを買い替えていたのだが、近頃は性能も頭打ちになってきたし、macはマイナーアップデートばかりで魅力を感じる商品が発売されない。最新鋭のCGや高解像度の動画を駆使するのならともかく、グラフィックデザインには十分なスペックで、いつの間にかMacのデスクトップ機は9年、大きい方のラップトップは7年も使っている。

最近はもっぱらメキシコで中古で買った、何もカスタマイズしていない最も安いMacbook airを使っていることが多いので、それがその2機の長寿に寄与しているのもあるとは思うが、毎日半日以上酷使しているのにこれほど長寿なのは、HDDが壊れたら交換をしているからだ。メインの機械は3度、ノートの方が1度HDD交換をしている。

HDDが壊れなければパソコンは比較的長持ち

普通はパソコンが動かなくなったら買い替えをすると思うが、その原因の多くはHDDの突然故障だと思う。パソコンはHDDの寿命が短く、他のパーツは比較的長持ちなのだ。だから、HDDを新しいものに変え続けるとするのであれば、寿命は格段に延びる。最近の機械はコンパクト化やメーカーの囲い込み戦略に伴って、自力で交換が難しくなっているものもあるらしいが、HDDは基本的に最も交換が簡単なパーツで、その簡単さを知ったらいつの間にか修理に出すのが面倒になり、自分で交換するようになった。手を入れてやると長持ちするのはTip16で触れた刃物などのアナログツールでなくとも案外そうだったりすることもあるのだ。

機種によって違いや相性等はあるが、基本的な手順としては、ネジをはずしてパソコンのフタを開け、ハードディスクを固定しているねじとそれにつながっている線を外し、新しく買ったHDDまたはSSDにねじや線を付け替え、フタを閉めるだけ。ネジは紛失しやすいし、もともとついていた位置を忘れやすいので、テープに位置がわかるよう貼付けておく。温度センサーがついていたり、端子が合わなかったりとイレギュラーなことはあるが、インターネットを検索すれば手元のパソコンのHDDを交換する手順を説明してくれているページがいくらでも見つかるので、それを見ながらすれば安心だ。

HDDを永久に使うためにバックアップが必須

交換を終え、起動したら新しいHDDをフォーマットしてもともとあったデータを入れるだけ。そのデータを入れるのにMacのTimeMachineという機能を使えばしばらく放置しておくと壊れるすぐ前の状態に戻してくれる。これがデータを救出しなければならなかったりすると非常にやっかいなので、普段から常に最新の状態に自動でバックアップさせておくことは大事で、逆にそれがなければこれほど気軽にHDD交換をすることはできない。

デバイスから自由になるために。

余談になるが、これがしっかりしていると、HDD交換をせずともデータがあるため、いつどのパソコンが逝ってしまっても仕事に影響がない。さらにそのバックアップをクラウドでするのであれば、いつどこでHDDやパソコンが壊れても何も影響がない。実際メキシコでパソコンが盗まれたときもすぐに首都に飛んでパソコンを調達したらすぐに盗まれる前の状態に元通りで、デバイスからとても自由になれたのを実感した。それからは念のためにと持ち歩いていた機材をきれいに手放すことができた。持ち物が極端に減り、フットワークがとても軽い。今のMacは製品として洗練されているのだが、アルミの削り出しボディになったあたりからはあまり愛着の湧くデザインではなく、ずっと同じデザインだ。いくらHDD交換をして手を入れて長く使っても、ものとして愛着は湧かないとは言わずとも執着することはあまりない。製品として完成されすぎてしまったが故に昔のような革新性や面白みがなくなり、ただのブランド品になってしまったなと思う。しかしそれが故に、ものへ執着することがなくなり、ものから自由になるためにはそれで良いのかもしれない。

GWは皆が遊び回る中、ほとんど動かなかったのだが、きちんとメンテナンスして、いつも物や場所から自由になって、時期を外してうろうろするのだ。

ひょんなご縁から理想的な環境の古民家に出会ったデザイナーが、その日々の中で身につけた業を、日々の暮らしとともにアーカイブして行くウェブサイト。100の業が溜まったら、cotocotoというタイトルで誌面化予定。

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