Tip2: 図面を描く

私は1級建築士の免許を持っているのでふつうの田舎のおっさんの業と言えなくもないのだが、仕事で図面を描くことはほとんどないし、田舎にも平面図ぐらい自己流で書いたりできる人もいるので図面を描くのも農村の業の延長としておこう。リフォームの前には既存の建物の図面を書いて、それをベースにどういう工事をするかを検討する。図面は建物を実際の1/100なり1/50なりで紙に落とし込んだ図で、例えば縮尺が1/100なら図面上の1cmが1mになる。昔は手書きで何時間もかけて書いていて綺麗な図面を書くのは職人技だったが、最近はほとんどがコンピューターで描くので誰が描いても同じように仕上がるし、少し設計を変更しても一から書き直さなくても良く、縮尺を変えたりするのも手軽にできるようになった。学生時代には手書きを散々練習したし、今でも巨匠たちが描く手書きのドローイングにはあこがれるが、実務になるとどうしてもコンピューターに頼ってしまう。図面で一番目にする機会が多いのが平面図だが、建物を正面から見た立面図やある断面で切った断面図も重要だ。それらを見比べながら、空間がどのようにするかを3次元的に検討したり、どのぐらいの材料が必要かということ以外にも、建築基準法で決まっている採光や排煙、そして耐震性がきちんと確保できるかを検討していく。実測した図面にトレーシングペーパーを重ねて違うプランを検討してみたり、透視図を書いてみたり、模型をつくってみたり、また図面を書き直してみたり、ああでもないこうでもないと夢を膨らませて行く楽しい時間だ。

我が家は借家で工期も予算も限られているので基本的にはリフォームで大きく空間を変えることはしないが、導線があまり良くないため、少し空間も変えてみることにした。具体的には寝室風呂洗面所以外の部屋をつなげて、気持ちのよい外部空間と内部空間がつながるようなオープンなつくりとすることに。外を不特定多数の人が出歩く場所ではないので人が入りやすいように内部がまるわかりのガラス張りの玄関とし、内と外をゆるやかにつなぐの中間領域として機能させる。部屋の中だけでなく外でも快適に過ごせるように、庭に内部空間のようにくつろげる場所をつくったり、内部空間を外部のように自然を感じられる場所をつくったりもしたいと考えている。

小さく楽しく暮らすこと

なお、この家は現状の基礎がコンクリートブロック基礎であり、現在の建築基準法に準拠しない「既存不適格」と呼ばれる建物だ。本当は建築士としては建築基準法に準拠した家をリフォームしたいのだが、そうするためには既存の基礎に鉄筋コンクリートの新設基礎を抱かせるなど、家のすべてを壊して基礎からやり直すぐらいの気持ちで工事をしなければならない。家は建築基準法上で通称4号建築物と呼ばれる建物に分類され、床壁天井を変えるぐらいは良いのだが、手を広げて部屋をひとつ増やすなどの大きな計画変更をすると建築確認が必要となる。それを通すためには基礎がコンクリートブロックだと通らないし、通す方法があるとしても設計上の制限が多い。持ち家であれば良いが、借家でそこまでするのは実際厳しい。そこで、せっかくの平屋の小さな家なので、手を広げずそのままの規模のまま、小さく楽しく暮らすことにアイデアを出していくことにした。そう考えるとこれはものが増えすぎた暮らしを見直して行く良い機会かも知れないと思うようになった。ワークライフバランス、ミニマリストなどと言われるように、従来拡大させて行く方が良いと思われていた家や仕事などのものを縮小していく価値を持ち、行動を選択、実践する人も増えたが、縮小とはいかずとも本当に大事な物だけを厳選して、自分たちの暮らしを手に入れていきたい。

ひょんなご縁から理想的な環境の古民家に出会ったデザイナーが、その日々の中で身につけた業を、日々の暮らしとともにアーカイブして行くウェブサイト。100の業が溜まったら、cotocotoというタイトルで誌面化予定。

くわしく見る

お問い合わせ




2019年2月から4月まで、セルフビルドで古民家改修中。見学お手伝いは大歓迎!詳細は078-220-7211 (cott)またはこのメールフォームにてご連絡下さい。

More Stories
Tip6: ジャッキアップ