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From R to L, L to R

右から左。
左から右。
なんともなしに風景は過ぎ去ってゆく。

左の真っ暗なトンネルからでてきたさっきの車は
ぼくの車と同じ進行方向を向いてどこまで同じ方角を目指すのだろう。
スピードが早くて追いつけそうになくても
その先の信号機につかまったらまた追いつけたりするのは
どこか人生における節目や分岐点のようなものに似ているようで
なんだかおもしろいななんてちょっと思ってみただけだけど
まぁそんなことはどうだっていい。

もうかなり昔の話だが
当時の私の人生の進路を変えてしまうほどまでに
衝撃的な出来事が起きた。
そのまましばらくふさぎこんだ。
そこまでは仕方のない話だと片付けた。

時は流れ、ふと気付いた。
季節の変わり目にいつの間にか
クーラーのスイッチを入れなくなっていたみたいに
少しずつきみを思うことが少なくなっていた。
時は無常で残酷だった。
というよりは時が変える人の心が怖かったという方が正しいかもしれない。
きみを思うことが少なくなったと思うたびにあんなに一緒だったのにと自分を呪った。

もちろん今はそうは思わない。
全く思わないといっちゃ嘘になるけれど
歳を重ねて僕は
何かを得るためには何かを捨てることが必要なことを学んだ。
得ることと失うこと。
楽しいことと苦しいこと生きること死ぬこと。
全てには裏が存在し
表と裏で一体をなしている。

そんなの当たり前のことなんだけれど
それを意識して言葉に出せるか出せないかの差は絶望的なまでに大きい。

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