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Treehouse Blog of cott

Spring Has Come

先日カンザワも書いてくれましたが、出会いと別れの春。たくさんの新たな門出のお知らせに胸が躍る春です。みなさま、どんな一歩を踏み出しますか。今年度はどんな一年にしますか。
5年目を迎えたcottは、4年間耕した土にようやくタネを撒くことができそうです。それに少しずつ水をやって、丁寧に育てていければと思っています。ぜひその水やりに関わってもらえたら嬉しく思います。
そして、春のたくさんの決断、想いに触発されて、cottのテーマでなく、個人的な今年度のテーマをたててみました。「後悔ないよう、楽しくやろう。ご一緒に。」が今年度のテーマ。つまらんことをうだうだ言ってないで、自然に自分も楽しく、少しずつそこに関わっていければと思います。やる前にうだうだと頭の中でブレーキをひくのをやめて、人の輪が広がることで出る良さをポジティブなエネルギーに変換していきます。

そしてぼちぼちあったかくなってきたのでカンザワも毎度毎度言ってるように、ぜひお気軽に遊びに来ちゃって下さい。特に目的がなくともふらっと来て自然に親しむも良し。デザインの作業環境を偵察しにくるもよし。自然はもちろん、人の心も本当にいいところですよ。
この地域に潜むデザインはこちらですよー、と声高に言われている部分はないのですが、
どこにでもその要素を発見することができます。
デザインは本来黙っていてこそで、デザインに浸りたい人が祭り上げるものではないのでそれでいいのです。

そして何より無条件に気持ちがいい。
朝日が差す頃に深呼吸してすぅ〜っと入ってくる空気。そうしながらふと見上げると広がる空。
少し個人的精神論が入りますが、ここだったらいろんな枠から飛び出して、どこまでも自由な気がするのです。
もちろん枠の中から飛び出すことは、ときにリタイアを意味することになるので注意がいるのですが。

で、近頃画像はほぼ事務所改修写真か仕事写真ぐらいで画像ネタがないので、今日はカンザワ氏のなかなかの昔に書いた作品をご紹介。
テングイラスト塾大賞受賞作品
左下の大賞のイラストが受賞作。素敵なイラストはイラストなんですが、問題はその掲載コーナー。
知る人ぞ知る、私もチェックしていた某ファッション雑誌の隠れた名コーナーです。

ということでまたお会いされた際にでもつっこんであげて下さい。

そうそう。春には事務所前の畦にたくさんのつくしが生えるそうです。

Yasufuku

春探し

事務所前のしだれ桜

こんばんは。

久々のカンザワです。

今日は暖かかったですね〜
という事で、休憩時間に事務所周りを博士と春を探す散歩に出かけました。

上の写真は事務所の前に立っている立派な、しだれ桜です。

まだ蕾も出ていないけれど、近所の方曰く咲けばなかなか見事だそう。
春がくるのがますます楽しみです。

てんとう虫さん

次に見つけたのが、枯れた草の山からひょっこり出て来たてんとう虫。
久々に見ましたがキレイな赤色です。
枯れ草の中にポツンと赤が栄えていました。

次に事務所前の河原まで移動。

前を歩く博士

博士もカメラ片手にノリノリです。
それにしても、どこを撮ってもキレイな景色がいっぱい。

河原で見つけた梅の木
ちらほら咲き始めてます。

梅

『春がくるよ〜』と聞こえてきそう。

梅

さてさて事務所に帰ると、近所の奥様が来て私が漬け物が好きと前話したからと、手作りのたくあんを持って来てくれました!

たくわん

キレイな黄色のたくあん。
今度漬け方を教わろうと思います!

今日載せた桜、梅の木がまた満開になったら載せようと思います。

本当にここは色んな自然の景色が見れますね。
皆さんも是非、ここに来て大自然味わってみて下さい!

きもちのいい自然に加えて、まいにちいろんなヒトが尋ねてくれて、いろんなコトが起こって楽しいです。
でわでわ。

社会性を笠に着るでなく

近頃は「地域」や「デザイン」というキーワードが流布している。当事務所も農村礼讃の姿勢からその系に思われがちかもしれないが、「地域」だったり「コミュニティ」、「環境」、「震災」などの所謂「ソーシャル」なキーワードでデザインをぼかすつもりはない。ソーシャルに対することは当然ながら大切で、デザインにおいて最も考えられるべき問題のひとつ。ただ一方で、最もらしいキーワードを楯にするでなく、おもしろいものはおもしろい、そうでないものはそうでない、というフィールドでも勝負したい。デザイナーという職能として向かい合うべき所はしっかり向き合い、業界の質の向上に寄与したいということ。ローカルがゆえにデザインにおける幅広い領域をカバーせざるを得ない分、少し足をひっぱっているところもあるかもしれないが、ひとつひとつ、丁寧にデザインに向き合い続けること。地域でデザインを発信していくことが「逃げ」ではなく、「攻め」という姿勢と捉えてもらえるためにも、日々「いいもの」に関わり、淡々といい仕事をすること。これからの時代、地方に時代が有意味にシフトしていくためには、それがネットワーク技術の恩恵を受けて地方でデザインに携わる者の務めであるべき。今日はそれをあえて書いたが、本当はモノで語らないと。まだまだ精進。

cott事務所
収入をほとんどデザインの道具につぎこんで、やれることが広がって、スタッフが入って、古民家事務所になって、人がたくさん尋ねてくれるようになって、言葉にしたらあっという間だけれど、ふと思い返せばとても感慨深い。
ここからが本当のスタート。

そういうわけで、質の高い仕事をキープし続けることを誓い、cottもいざ5年目へ。
yasufuku

追記
5年目の最初の仕事はこれでした。中学校に張られる横断幕。光栄。(ただし、画像はボツ案。。)
淡河っ子応援団提案書
新メンバーのカンザワ氏も頑張ってくれています。
ローカルの仕事は、想像力をふくらませる語り口で。

あと、お知らせです。
現在、事務スペースは完成しているのですが、休日に暇をみてコミュニティスペースの工事をしています。
いつも懇意にさせていただいている皆様には簡単にご案内させていだだきましたが、
コミュニティスペース完成次第、正式にオープンのご案内をさせていただきますのでしばらくオマチ下さい。
また、以前の住所宛でも郵便物は届きますのでご安心を。電話等はそのままです。

古民家改修計画1

さてさて、蟻が食って駄目になった材を取り払っていくと、結局床をひっぺがしきることに。
古民家改修中
床下はめくってみないとわからないものです。正直ここまで状態が悪いとは…。
少しだけの補修のつもりだったのですが、なかなか大規模になりそう。
ということでせっかくなのでこれまで実現したかったことを落とし込みつつ夢を広げ、本格的に計画を練ることに。
残せる材、取り払える材の見当をつけつつ、
図面と模型づくりを進めていきます。
古民家改修計画模型
クライアントが自分たちの建築ほど楽しい仕事はない。
ついつい明け方まで作業してしまいます。
(というか朝昼は依頼を淡々とこなしているのでcottのコトはどうしても夜作業になってしまう)
自身が過ごす空間を考えるということは夢を具現化して行く作業。
そこの空間で誰がどんなふうに動いて、自分自身はどこにいてどんなふうに過ごしているのか。
建築士でなくても、空間を夢想する自由はできる限り譲りたくないもの。

今回は自分自身だけがクライアントというわけでなく、いろんな方が関わる物件というのもあり、
自分の独断でプロジェクトを進めるわけにはいかないので、
ひとまず模型ができ次第、夢を共有する仲間たちを募っていきます。
集まってくれるかがどうかが腕の見せどころ。夢を見せられるかどうか。

yasufuku

一升枡をめぐるモノガタリ

先日、部落の中で「あの家に大工さんが入るらしい」と噂が回っていて、
「枡の底が抜けてもたんや〜」と笑顔の素敵な奥様がやってきてくれました。

一升枡は家庭で最も身近に使われ続ける木製品。
木でできていながら、つるつるした手触りで角は丸くなっている。
何世代もまいにち米を母の手で家族のために量り続けられてきたのだろう。
まさに生きた文化財と形容するにふさわしい様を呈している。

歴史ある升を直すのはかなりのプレッシャー。
ちょうど腰に据えていた金槌で文化財を修復するかのように慎重に直しました。

何年も愛してきたもので万人に使いやすいものではないけれど、
「私には結局はそれが使いやすい。」
農村にあるその感覚はきっと大切で、
cottも愛されるものに関わっていきたいものだと再認識。
その意味で農村地域の仕事をするときはとてもやりがいがある。
写真一枚持ってったら家宝のように扱ってくれますからね。

いやはや、まさに便利なおっさん。
大工でもなんでもいいのですが、枡を直しつつ「大工さんみたいなもんやけど、大工さんでない」と一応伝えておきました。
事務所を古民家に移してからは、なんだか漫画のようなまいにちに思わず嬉しくなります。
愛あるものに関われて嬉しい。

ヴァナキュラーなものやひとは基本的に黙っている。が、そこに寄り添ってみるといろんなことばを話してくれる。これからも耳を澄ましてそれを聞き取る。
よく遊びに来てくれた近所の犬の訃報を聞いて、とても悲しい。
世界の片隅の出来事ながら、大切にできるまいにちを暮らす。
きっとそういうこと。

立ち寄ってくださる皆様に感謝しつつ、
今日もモノガタリを楽しみます。

さてさて、5年目に向けて気合いも入れ直しつつ、スタッフも増員でますますがんばりますよ〜。

cott事務所
土日でのんびり工事中。手始めに、床をぶちぬいて蟻が食って駄目になった材を取り払いました。また覗いてみてください。
古民家改修中
何世代も受け継がれて来たこの古民家にまたモノガタリを上書きしていきたいと思います。

yasufuku

今日の博士

『はじめまして!』
cottにグラフィックデザイナー研修生として仲間入りしました(:
カンザワです☆
時折、名言をはく博士(安福)を流しつつ、cottのデザインを叩き込まれています(笑

えーと。。。
プロフィールを書いてみそ。と言われたんですが…
んーーー
好きな食べ物は、梅干し
嫌いな食べ物は、酒粕とピータンとパクチー
後、後….

博士が前でいきなり爪を切り出し、BGMもドラゴンボールの歌で二重で気になってかけません(はは
なので、是非cottまでお気軽に来ちゃって下さい(笑
その時に色々話しましょう!

自分の得意なところを伸ばしつつ、ひとまず当面の目標は
『博士を越える。』
です。
日々頑張りますので、どうぞ宜しくお願いします☆

淡河帖

東京ミッドタウン・デザインハブ 特別展
「my home town わたしのマチオモイ帖」で『淡河帖』が展示されます。
会 期:2月10日(金)〜2月26日(日)11: 00〜19: 00
    会期中無休・入場無料
会 場:東京ミッドタウン・デザインハブ
   (東京都港区赤坂9- 7- 1 ミッドタウン・タワー5F)
淡河帖
↑会場でご覧頂く方もいるかと思いますので画像はあえてぼかしています。全64ページ。
全国各地や海外からも出品され、約340組(!?)も展示されるそうですので、展覧会としても見応えありかと思います。お近くの方はぜひ。

詳しくは以下リンクにて
開催概要 (TOKYO MIDTOWN DESIGN HUB)
関連イベント (TOKYO MIDTOWN DESIGN HUB)
主催団体公式サイト (メビック扇町)
公式サイト
2/26のクロージングに行けるよう、調整中。
また書きます。

yasufuku

Viewpoint

茅の葺き替え
茅の葺き替え
築330年のN家住宅葺き替え現場へ。どうやらここのお父さんと遠い親戚だそうで、1時間程話し込んでしまった。

そんな達者な元大工のお父さん。このお父さんの何がすごいってこれだけの大きさの屋根を葺く茅に加えて、販売すると屋根の工事費を賄える量の茅を毎年刈り続けたのだ。つまり現代において一切お金をかけずに茅葺き屋根を葺き替えているのだ。いまどき田舎にもなかなかこういう親父はいない。それもそのはず。モットーは「自力更生」だそう。しっかり胸に刻もう。
皺と年輪
賞もたくさんお持ちの優秀な大工さんだけあって、ご自身で山から切り出した松の板目の美しさについて語ってくれる。どちらにもたくさんの味わい深い皺が刻まれている。
茅葺き
文化財の茅葺き
しかもほかにも二棟の文化財。
葺き替え担当は初の淡河の現場を大事にしたいと意気込んでおられる淡河茅葺き屋根保存会 くさかんむりさん。
親方の相良さん曰く、一緒に作業をしていると、野良歌が体のどこかしらから響いてくるそう。いまは歌えるひともそうはいない、棟上げの歌もご存知だそうで、竣工したらそれを聞くのが楽しみだ。実に達者なN家12代目将軍でした。

「そんな撮りよったらフイルムがもったいないがな。」
「いやいや、これはデジタルなんですよ。パソコンの画面で見て確認するからフイルムはいらんのですよ。」
「あーわしゃそんなもんようわからんわ。」
だそう。
また写真を持って伺おう。
永福家住宅葺き替え現場

右を見れば左は見えないし、左を見れば右は見えない。
ぐるっと見回してこそ見える景色もある。
景色がどんどん流れていくものだからぐるぐるぐると見回す人が多い中で、一点を見つめるひとたちがいる。
一点を見つめる強さや美しさに日々触れていよう。

古民家オフィス始動

更新が少し滞っていましたが、やっと事務所にインターネットが開通。ちょっと改造するまでの当面は土間で仕事。

その地区の一等地にある由緒正しき家なのにも関わらず、こまめに覗きにきてくれたり、ふとん持ってきて住み込まんかいと言って下さる地元の方もいて、ここはとてもあたたかいところです。ですが、人が入って来やすいようにいろいろ開け放していたら真っ昼間なのに3℃で、とてもさむいです。
古民家の家紋

こちら、入居当時のキッチン。流しはお手製の石造り。奥様が長年使われていただけあって、大変使い勝手が良いです。
私には少し低く、若干腰にきますが、、

そしてトタンをかぶってはいますが、茅葺きです。
トタンの下の茅葺き

仕事の依頼等でなくとも大丈夫ですので、お気軽にお越し下さい。
平日9時〜18時まで、いつでもWELCOMEです。縁側によく日のあたるお昼頃がおすすめ。
くわしいアクセスはCONTACTよりご覧下さい。

Idle Talk About Photograph

独立当初からほぼ丸4年間。いつもお世話になっている飲食店へ出張撮影に行ってきました。たまには都会に出没しています。だいたいこんな感じでセットを組んでから微調整していきます。(この写真はまだセッティング途中。。)
スタジオ設営中
普段あまり意識されないのが普通だと思いますが、ものを見るアングル、ものの質感や色、背景などによって、ものの見え方は常に変化しています。例えば金属など、いろんな光の反射が起こりますよね。それを読み取るのはとても大切で、撮影のときに「撮影対象物の皆の頭にある共通イメージ」のディテールがどうなっているか、基本を抑えておかなくてはなりません。慣れてくれば日常生活においても、どの角度から見たときに、どこの部分にどの光がどこからどのように入射しているかが見え、どういう光を当てるとそのものらしい絵が撮れるのかがわかるようになってきます。別のものを撮影するとき、アングルを変えるときなど、何かをちょっと変えるだけでもセッティングをいろいろいじっているのはそのためなのです。

撮影道具紹介

今日は撮影の道具を少し紹介しましょう。
まず今回の撮影で一番活躍した秘密兵器はこちら。何かわかりますか?
湯気発生機
正解は湯気発生機。つくられた湯気です。でも嘘ではありません。実際にあったか料理のできたては湯気を発生させているのですから。料理が完成したその瞬間にバシッと一発で撮れればいいのですが、なかなかそういうわけにもいかないため、こういう道具を使います。こういう道具は写真用に売っていることはあまりないので、自分たちで情報を入手しつつ、試行錯誤していかねばなりません。それがまたおもしろかったりするのです。
写真の基本的な考えとしては現実をそのまま写すというよりも、少し大げさに写します。というのも、脳はある程度風景やものごとを誇張して記憶しています。色に関しての誇張された記憶を記憶色といいます。
演出は脳内にある記憶や経験に近づけてやるためにもある程度必要だったりするのです。フィルムも多くはそう作られています。もちろん、そのままの色で撮れるようなフィルムもあります。

近頃はシャッターさえ押せば、誰でもある程度の写真が撮れる時代。だからこそこういうことはしっかりと押さえておかないと。

これは電源部。
ジェネレーター
ストロボのバッテリーで、ジェネレーターといいます。通称ゼネ。瞬間に大量の電気をチャージし、一気に放出する撮影に使います。大光量の発光ができるようになります。

そんなこんなでデザイン事務所の割にいろんな撮影機材がそろうcottですが、その中でも特にお気に入りの機材はこちら。
スタジオデラックス
スタジオデラックス。通称スタデラ。入射光式露出計です。スタジオ撮影では使えないくせに、スタジオデラックス。適正露出といって、簡単に言えば綺麗な写真を撮るためのシャッタースピードと絞りを測ることができるものですが、デジタルでバシバシ撮ってその場で確認できる今の時代、ほとんど使わなくなりました。ですが、露出計のついていないマニュアルカメラでは必須アイテムです。半世紀以上前からいま現行で発売されているものまで基本的には設計が変わらず、電池不要のエコ仕様。
そして何よりこのデザインがなんともお気に入りなのです。首から下げておきたい。

写真からデザインまで、それなりに頑張っています。

こちら、お遊びで撮影してみた手帳。
手帳

陰翳を宿す

昨年末の話。
自宅から車で1,2分のところに寺がある。山の方に向かって少し坂を登り、一番奥にある建物が寺だ。村中の家が見渡せ、一休さんの話に出てくるようなTHE寺とも言うべき寺である。以前私がその寺を訪れたのはおそらく20年近く前だったと思う。
そこで除夜の鐘をついてきた。

鐘を撞くといっても撞くだけの人はいない。何をするかと言えば、甘酒を飲んで鐘を何度かつけば後は特に何もしない。灯りと言えばお寺の蛍光灯が少しついているのと、たき火のあかりぐらい。そんな暗闇の中で火を囲い、温かい甘酒をすすりながら年末年始の談笑。何でもない話だ。火のぼうっとした薄明かりで暗闇の中に皆の顔が赤く浮き上がる。人々は代わる代わる鐘の前に向かい、大きくふりかぶって鐘を打ち鳴らす。皆、その闇に広がる鐘の残響音に聴き入る。
永春寺で除夜の鐘を撞く
普段は人も歩いていないような夜中にただ人が集まって、108回目の鐘の音を聞けばいそいそと帰路につく。今思えばあの感じは今の時代には非常に希有で、子供の頃に体験していればひとつの心象風景となっているだろうと思う。残念ながら、私は子供の頃に除夜の鐘を撞きに来たことがないのでその記憶はない。確認はしていないが、おそらく「夜更かしが許される唯一の日に起きておこうとしたが、普段慣れていないためどうしても眠ってしまい、年が変わって起こされて、眠い目をこすりながら家で神様に挨拶をし、またすぐに眠った」というパターンを毎年繰り返していたはずだ。というのも、お寺での他のイベントはよく覚えている。いや、正確に言えばイベントの内容は覚えていない。紙芝居、人形劇の内容は一切覚えていないが、お寺の本堂の広い空間に響く音や奥まった部屋の薄暗さ、裏庭のすこし肌にまとまりつくようなじめっとした感覚やそこから一望できる村の風景の爽快さなどは感覚として焼き付いていた。除夜の鐘の残響音と暗闇の中で、風景が走馬灯のように脳内を駆け巡った。

日本人が大切にし続けてきた風景の生まれ方。

こうして直接的出来事としては覚えていないが、なぜか音や匂い、肌に感じる感覚として心の中に焼き付いている。所謂心象風景というものだろう。経験から心の中に広がる淡い風景。それはきっと日本人が大切にし続けてきた風景だったのだろう。詩的で、曖昧で、朧げで、はかなげで、日本的で美しい。昨今のように陰翳を消すのでなく、陰翳を愛でることで日本古来の感覚が磨かれてきた。自然に親しみ、その場所特有の湿気の多さや季節の移り変わりを認め、巧みに生活と自身の感覚の中に取り込んだ。

目を瞑れば闇の中からふつふつと湧き出てくる。そういう故郷の心を宿らせた風景はその土地の文脈を継いでいくための仕組みとしても重要な役割を果たしてきたのだろう。日に日に農村地域の生活に潜在する哲学に感服する日々。そういった闇や湿気を愛でる作法は今の日本にどれほど残っているのだろう。この場所にそれがまだまだ残っていたのは私にとっても新たな発見となった。というのも、うちの集落の全世帯が同じ宗教で(近年は一部違う家もあるそう)、その寺の檀家さんだそうだ。まだそういうものがかたちのみならず、思想として残っているのだ。そういうところを考えると、まだ新規住民が入って融和するというのも少し難しいところもあるかもしれないが、ひとまずその議論は今は置いておこう。

陰翳を自身の中に。

もちろんそのような日本人が生きてきた風景をむやみに肯定するつもりはないが、私個人としてはその地域の文化コードを引き継いでいくという意味で大切にしたいと誓った年明けだった。きっとそれは論理で語る高尚な方法論よりも優れたものであり続けうると思っている。コミュニケーションの対流を生み出すために、頭を使うのではなく、寄り添うのだ。ひとまず寺子屋などと呼ばれていた頃のように、もっと生活の身近な所に取り込みたいと思った。陰翳を礼讃しているだけでなく、陰翳を日々に宿そうと思った。年始に和尚様の奥様と少しお話させていただいた際、お寺にはいつでもぼ~っとしにきてほしいとのことだったので後日ぼ〜っとしに行った。そうすると、ご丁寧に寺中の所蔵している歴史的なものから建物まで全てご案内いただき、おまけにお茶までよばれてしまった。
今度、月一回細々と開催している写経の会に混ぜてもらうことにした。次はぼ〜っとできるのだろうか。(いま写経に来られている村の方々は饒舌な方ばかりだそうで…。)

座禅や写経、精進料理などが流行っているようだが、観光でなく、できるだけ日常として体験して欲しい。
ぼ〜っとしている時間を優雅と捉えるか、退屈と捉えるか。(決してスローライフという意味ではない。)
そんなところにいろんな問題をほどく結び目があるような気がしている。

淡河町勝雄の風景
神戸ルミナリエ
神戸イルミナージュ

余談だが、神戸市中央区では「神戸ルミナリエ」、神戸市北区のフルーツフラワーパークでは「神戸イルミナージュ」なるイベントが開催されているが、「ヤミナリエ」なんてものをお寺でしてみたいな、なんて思っている。
yasufuku
永春寺からの風景

つながる辰

あけましておめでとうございます。

cott 2012

これまでcottは、地域内また地域外に関係性を広げながら地道に活動してきましたが、これからはコミュニケーションが対流する場を積極的につくっていくことを考えています。そのため年始より茅葺き屋根の古民家に事務所を移すことにしました。また、事務所を地元のまちづくり研究会とシェアすることで、より地域に根ざしたコミュニケーションの対流づくりに寄与していきたいと考えています。年始から春にかけて少しずつ手を入れていきます。環境が整い次第また改めてご案内させていただきますので、ぜひお気軽にお立ち寄り下さい。

cott 2012

事務所を移して心機一転。5本の線を引けばつながる2012年。線には色がなく、上画像のとおり光の加減で見えなくなります。できるだけ自然に、隠れた線を引きたいとの意図です。ある方より「じいちゃんからこれ何にも書いてへんぞ〜といって渡された」との話を伺い、しめしめ。そこでは引いてある線の存在が消えています。主張をするでなく、そこに根付きながらじわじわとなじんでいこうと思います。デザインという武器は、攻めるためでなく、守るために使っていけたらといつも思っています。(もちろんどんな武器もそうですが。)

ふと裏をめくってみれば「たつ」という文字。
cott 2012

拠点をベースに、これまでつながったモノガタリをこっそりつなぎます。

デジタルツールに囲まれながらも、宛名とメッセージはまだまだ手描き。年賀状の目的は、印刷物のデザインの可能性を訴えることでなく、お世話になった方々へ感謝の気持ちを伝えることですからね。

では、茅葺き新事務所ともども、今年もcottをよろしくお願い致します。

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