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淡路ひとめぐり

いろんな方にお会いしに淡路島をひとまわり。

まず訪れたのが、淡路島で「島じかん」というイベントを中心になってされている平松さんのおられる会社の事務所。島じかんとは、淡路島の生活と密接 に関わる土の文化を新たなカタチで発信していくという趣旨で、陶芸家さんから鬼師、左官職人さんから書道家さんなど、その地で活躍される方々を集めて9月 に10daysで行われたイベントです。

株式会社淡味

来年はまたされるのかはまだわからないということでしたが、是非とも絡ませていただきたいです。

「淡路島の暮らしと密接にかかわっている土をテーマに、その土に生きる人たちの魅力、その人たちから生まれるモノの力強さ、おもしろさ、その周辺に 流れる時間まで感じて頂けたらと思います。

あなたに流れる時間と彼らに流れる時間は同じでしょうか?

淡路島には昔から自然にあるものと共に暮らしてきた時間があります。
それはゆっくりだけど、確実に流れ続ける力強さ、豊かさがあります。
あなたにはどんな時間が流れていますか?」

淡路 島じかん http://simajikan.exblog.jp/

今回一緒に回った友人も実は「しまじかん」というイベントをされていて、おもしろい方です。

来月の、「しまじかん」は、東京ですが、2009年1月18日(日)に、三軒茶屋のOHANAにて。

Island Concierge http://ameblo.jp/island-concierge/

次に訪れたのが久住章さんと早稲田大学の大学生数人で制作されたのゲストハウスで、日本では、これ以上心動かされた建築はないといっていいぐらいい い建築で、私の原点でもあります。

久住章のゲストハウス外観
久住章のゲストハウス宴会棟内観

細い線材や破片による細かな雑作や細かなアイデアたちが存分にちりばめられたやさしい建築です。建築家にはなかなか出せないこの雰囲気。心地よさ。 断熱性や気密性、採光など、居住性能と形状をうまく解くために細かな工業製品を組み合わせて生み出す所謂建築家のディテールなんかは全く気にならないブリ コラージュと建築的思考の狭間にある感じ。

ラスが見えていたって、壁がはがれていたって、隙間があっても、下地がそのままであっても、接着剤の乾いた跡、ステープルや釘や配線が見えていたっ て、言ってしまうのならそんなことはどうでもいい。

今設計に関わらせていただいている姫路の住宅でもそう思うことができるそれ以上の何かを生み出したいと思いました。

久住章のゲストハウス宿泊棟内観1
久住章のゲストハウス宿泊棟内観2

ほとんど淡路にはおられないそうですが、たまたま久住有生さんにもお会いすることができて、お話をお伺いすることができました。Team ZOO 虎設計工房の山原さんも、ありがとうございました。

その次は陶芸家をされている西村さんの樂久登窯へ。

樂久登窯

土を扱われているというだけあって、ご自身で施工されているキャラリーの壁面もかなり綺麗に塗られていました。その地に有るもので生活に関わるもの を生み出すすばらしさ。

古いかたちにこだわらずその場所にあるもので新たな文化を育み続けること。

土についてもっと知りたくなりました。

こうやってされている方とお会いすると、身の回りについてなんて自分は知らないのだろうかと打ちのめされます。

次は新しくできた窯で焼いたピザをごちそうになりたいですね。笑

建築はもちろん、グラフィックやウェブも、場所そして人と密接な関係をもつデザインはできまいか。そんなことを思いました。

次は、全く違った趣旨で訪れましたが、知る人ぞ知る名建築

故丹下健三さんが設計された戦没学徒記念館です。

丹下さんは代々木の体育館やフジテレビで有名な、日本が誇る世界の大巨匠建築家です。

この建物はもうしばらく前から使われておらず、震災でガラスは割れ,石畳はがたがたで、建築作品というよりもむしろいわゆる廃墟として有名かもしれ ません。

3〜4年程度前に一度訪れたときよりも心なしか、若干きれいになっていた気がしましたが。

戦没学徒記念館外観

巨大な石のボリュームとレベルの異なるスラブが混在するヴォールト屋根。天を指す象徴的なシェル構造のモニュメントと献花台。そこにそのかたちであ るべくして建てられたと言わんばかりに場所のもつ力が最大限に生かされた人工建造物の美しさ。その美しさにさらに付加された霊的な美しさ。それに加え、退 廃して環境になじみ淘汰されようとしている美しさ。

丹下さんの建築をたくさん見たわけではないのですが、氏の建築の中で最も素晴らしいものではないかと思います。

戦没学徒記念館から見る瀬戸内海

屋上から瀬戸内海の絶景が360度パノラマで広がります。

戦没学徒記念館内観1
戦没学徒記念館内観2
戦没学徒記念館内部に落ちる光

展示品は寄贈されたようでほとんど置かれてはいませんが、戦没学徒の空気は健在でした。戦没学徒について私の稚拙な文章ではお伝えできるか危ういの で詳しいことはここでは述べませんが、お調べいただくか、可能ならば実際に足を運んで頂きたいと思います。

こちらはご参考までに。

若人の広場復興委員会

http://www.tyo-t.co.jp/wakoudo/index.html

同じく退廃した近所の宿泊施設に置いてあった旅日記ノートの時は、昭和59年で止まっていました。

安藤忠雄さんの建築や石山修さんの建築は既に見たことがあるので今回は訪れませんでしたが、淡路島にはさらに素晴らしい20世紀最高峰の建築群が人 々の生活とともにありました。今回ご紹介させて頂いた2つの建築は、全く対照的なほど建築的であるものと土着的なものではありますが、安藤さんの夢舞台や お寺なんかよりも見るべき名作だと思います。

平松さんから山原さん、久住さん、西村さんへどんどん繋がっていく感覚が最高におもしろく、もしかしたら淡路島に呼ばれているのかもしれません。他 に出会った方達も素敵な方ばかりでした。またきっとこの島を訪れることでしょう。

ネットワークを作り出しつつ、情報におどらされず上手に取捨選択しながら

芯を見据えてその地に生きること

場所を愛することとはそこにいる人を愛し、そこにいる人が育む環境を愛すること

過ごしたい場所

過ごしたい時間

過ごしたい人

もう少し考える必要がありそうです。

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